北米と英国でPS5が絶好調のようです。
1.半導体不足の中で頑張って生産できているなぁという話。2.欧米のユーザーはソフトを買うから本体供給に力が入るのも必然という話。
北米でゲーム機史上最速の販売ペース
NPDグループのMat Piscatellaが、PS5が北米市場において史上最速の販売ペースであることをツイートしています。2月終了時点では金額ベースで史上最速とのことでしたが、3月終了時点だと台数でも史上最速みたいですね。
@MatPiscatella
英国で2ヶ月連続1位
GfK Entertainmentによると、英国ではPS5の販売台数が2ヶ月連続で1位だったとのこと。
2月: 1位PS5 2位Switch 3位Xbox Series
3月: 1位PS5 2位Xbox Series 3位Switch
ソニーの新型ゲーム機は、これまでのところ2番目に大きな月となり、英国における販売台数では、すでにPlayStation®Vita、Wii U、Dreamcastを抜いています。
これは、GfK Entertainment社のデータに基づくものです。
PlayStation 5 enjoys second biggest month so far | UK Monthly Boxed Charts | GamesIndustry.biz
「欧米はたくさん出荷されて羨ましいなぁ」と思っちゃいそうですが、日本も3月最終週時点だとPS4が約50万台、PS5が約60万台ですから、深刻な半導体不足の中で悪くはない出荷量です。
即完売で供給が足りてない事情は北米も英国も日本も同じ。
これらのデータを見て
PS5の供給不足の理由と国内割当が少なめな理由 – PSちゃんねる Pro
↑この記事で書いたことを見直し。
深刻な半導体不足の中で供給できている
深刻な半導体不足でありながら、PS4と同等以上の出荷ができているんだなぁという驚きがあります。同じ7nmのプロセスノードを用いるシステムオンチップ(SoC)を使うXbox Seriesは出荷できていないのに、PS5は半導体を確保して出荷できているというのは、超有能なんじゃないでしょうか。
現時点では両ハードとも品切れ状態であり、ハードやソフトの人気ではなく生産数だけが差をつける要因ですから、この点におけるSIEの強さが凄いところというか「なんで?」という疑問もある。もしMSが半導体を確保していれば、普通にXbox Seriesのほうが多く生産され、両機種とも品切れなら生産が多いほうが販売台数でも勝ってた。ここが勝負を分けたのは疑いようもない。
VGChartzの集計精度に疑問はありますが、PS5はXbox Seriesの倍ほど出荷していると推定されている。
北米、英国、日本のデータを見ても、PS5のほうが大幅に多そうだというのは予測できます。
需要が強すぎて慢性的な品不足にはなっておりますが、ゲーム業界以外にも深刻な影響を与えている半導体不足の中、PSだけで見ると4と5も変わらないどころが、5のほうが出荷が多いのは異常なほど。
シェア競争は非常に有利
過去記事で、AMDのリサ・スー氏の「2020年上期はまだ供給はタイトなものになるが、下期には供給量を上げられ、年間を通じては需要に見合う供給ができるだろう」というコメントを紹介しましたが、状況が悪くなっている可能性が高いです。
PS5の供給不足は長期化しそう。
しかし、ゲーム機のシェア争いという面では、実はPS5に有利な状況になっていると思います。
もし半導体不足でなかったら、2000万台くらいまではPS5とXbox Seriesが同等に近いペースで伸びたと予想できます。このくらいまでは両ハードとも勢いが止まらないはず。現時点でも同等だったはずであり、「どっちだ?」「どっちだ?」とメーカーや静観する人は先が読めない状況であったはず。Xbox Gamepassに家庭用ゲーム機のみで『アウトライダーズ』や『MLB ths Show 21』が来たりして、本来ならXbox Seriesの強い追い風になるはずでもあったが、生産できないんだから数字での効果はまったく見られない。
半導体不足で増産できない中、PS5のほうが生産を確保できていますので、この状況が続けば差が開くばかり。
過去記事で1年先行するハードの有利さに関しても書きましたが、同時期に発売したゲーム機が抜きつ抜かれつの競争をする事はなく、先に抜け出たほうが勢いをつけて差をつけます。ユーザーもソフトメーカーも売れているほうを重視する。
半導体不足が続き、今のPS5とXbox Sreiesの生産状況が続くなら、PS5の先行逃げ切り体勢が固まる。
ちなみにSwitchは発売して4年1ヶ月が過ぎ、今が最盛期にあります。PS4は4~5年度目が最盛期でした。最盛期には永遠に続きそうな勢いを感じるものですが、6~7年目には周期を終えますので、PS5の競争相手にはなりません。おそらく任天堂の次世代機はPS5とXbox Seriesの周期の中間に入って、現行機と同じように最盛期をズラす戦略をとると思います。
限られた生産数の振り分け
過去記事で「半導体の不足により増産という手が打てない中、限られた生産数を上手に振り分けて、各国でシェアを奪う必要がある。」と書いていますが、北米と英国を重視するのは大正解だと思う。今回の北米と英国での発表もそうですが、ハード販売数がニュースになりやすい国ですし、市場としても大きいから目立つ。
2019年時点でPS4の国別販売台数は、
- 北米: 3,204万台
- 日本: 893万台
- ドイツ: 784万台
- イギリス: 713万台
これでPS5は1位、2位、4位の市場を確保して出足は盤石。ドイツは不明。
日本に関しては過去記事で「日本はXbox Series X|Sに負ける可能性がほぼない」と書きましたが、思った以上に差が開き、最新のデータではPS5:61.6万台とXbox Series:4万台という非常に大きな差になっており、シェア争いを意識して振り分けた時に、日本に注力する必要がまったくない状況になっている、
北米と英国はソフトが売れる
欧米はハード供給に合わせてソフトも売れる。特にロンチ直後は日本と極端な差があります。これは日本のメーカーは次世代機への動きが遅いという理由もあるかと思う。
過去記事に書いた↓
3月の北米と英国のソフト販売ランキングに、これらのタイトルが入っています。欧米では大人気の売れるAAA級タイトルなわけですが、日本では売れません。まだまだPS5の普及台数が少ない中でソフトを売る事を考えたら、欧米優先は当然の戦略というのが、予測ではなく結果とした出たと言える。
PS5は本体だけ売ると赤字なので、「ソフトを買うこと」が特に供給が制限されている初期は重要になってしまう。
限られた供給数を奪い合うなら、ソフトを買う地域が強い。欧米が優遇されているというか、こうなるとむしろ、ソフトがあまり売れないのに60万台も出荷されている日本が優遇されているとすら思える。
世界的にはPS5は安泰でしょうけど、日本でゲームが売れないというのはPS5世代の難しい問題になるかと思う。
まぁ、まず高いですからね。UBIのゲームにしても、$59.99と9,240円は差が大きすぎる。いくら欧米で人気でも、日本価格の$89.99ならガクッと売れなくなるはず。$69.99への値上げですらも不満の声は当然ありますしね。
サブスクリプションサービスや基本無料ゲームが目立ち、すぐにセールされる事もユーザーが知っている中、ゲーム1本の価格に対する見方も変わってきているでしょうし、噂されるゲームパスに対抗するサービスだったり、日本におけるダウンロード版の価格見直しだったり、変化があるかどうか。なんにせよ、1本のゲームを8,690円や9,240円で売るという「今のまま」なら日本は衰退するのみだと思う。ただ、停滞や衰退の時だからこそ変化を求めて活路が見出される期待もあるので、そういう事も期待しながら楽しんでいきたい。
という事で、半導体不足の中で頑張って生産できているなぁという話と、北米と英国のユーザーはソフトを買っているんだから、PS5の供給にも力が入るのは当然なんじゃないかなという話でした。
ちなみには今はPS5版『ファイナルファンタジーXIV』にハマっており、ゲームプレイに関する記事は、しばらくないかもしれないバイオ体験版があったわ。『ファイナルファンタジーXIV』は初期のコンテンツが難易度調整されていて楽になっており、レベルがサクサク上がる。このサクサク感が心地良いので続けていますが、停滞したらやめるかもしれない。
コメント
DQ11、MHW、KH3、FF7Rはあの値段で売れていましたから、日本ではソフトが売れないというより日本で売れるソフトが出てない状況ですね。
Xboxが日本に注力しているといってたがやっぱり諦めたか
ps5買えないから結構売れると思ったんだけど
PS4でもMHWが北米だと59ドルに対して日本では8,980円+税でしたからね
売れる見込みがあろうがなかろうが足元を見られてる感じが否めません