2019年9月26日にリリースされた『イースIX -Monstrum NOX-』クリア後の感想
- 戦闘が爽快で面白い
- スパイダーマンかインファマスのような異能アクション
- 戦闘の割合が減った
- キーコンフィグが素晴らしい
- ストーリーも楽しめた
- ロードが多い
- やや退屈なアドルの単独行動パート
- グラフィックとモーションは前世代感がある
- プラチナトロフィーは狙いやすかった
- イースらしさを残しつつ変化も加えた
戦闘が爽快で面白い
前作と同様にキビキビ動く戦闘アクションがとても気持ちいい。リアルを求めて慣性をつけるゲームも多い中、イース8や9はゲームとして動かしやすくて楽しい。求めていた物が提供されたし、今後も変わらないでほしい部分。
攻撃手段は通常攻撃、4つのスキル、ブースト状態で使用可能なエキストラスキル、中盤で習得する溜め攻撃。スキルの使用に必要となるSPは短時間で自動回復するのでスキルは惜しまず使用できる。ゆえに攻撃はスキルの使い方が軸となります。派手なスキルが多くて無双的な爽快感があるし、1キャラにスキルが10個あって全60個もあり、どのスキルをセットするかいろいろ試してビルドしていくのも面白い。
派手にバッサバッサと攻撃するゲームですがボタン連打ゲーではなく、敵の攻撃を寸前でガードすると発生するフラッシュガードと敵の攻撃を寸前で回避すると発生するフラッシュムーブも健在。派手なスキル攻撃とガード&回避を絡めるという爽快感と緊張感を兼ね備えたアクション。
攻撃属性は斬・打・射の3属性。3人パーティーですのでバランスよく割り振れるし、複雑さがなくて良いです。敵の弱点属性を攻撃し続けるとブレイクが発生する。
そして今作は異能アクションが戦闘でも使える新アクション。
クリムゾンラインはロックオンした敵に使えば敵との距離を一気に詰められる。空中の敵にも有効。FF15のノクトみたいでもあります。
ヴァルキリーハンマーは溜め攻撃です。ガードを固めている敵のガード解除ができるのがとても有難い。
前作の良さを継承しつつ、スキルの自動回復と異能アクションの追加で面白さが増した。戦闘の面白さが安定しているのでゲームの面白さも安定しているなという印象。
カメラはグワングワン揺れることもあり、ロックオン時に下層の敵をロックオンすることがあるなど多少の問題がある。
スパイダーマンかインファマスのような異能アクション
イース9はオープンワールドゲームではありませんが、最近のオープンワールドゲームは「どうやって移動を快適にさせるか」「どうやって移動を楽しませるか」というところがポイントになっている印象。スパイダーマンやインファマスのようにスーパーパワーで快適にしているゲームもあり、普通の人間の場合でもパルクールはトレンドから定着して定番になった感じです。ワイヤーフックのアクションもよくある。別路線では乗物にこだわるゲームもある。なんにせよ、広い世界をただ走るだけでは物足りなさを感じるようになってきている。
イース9もこの流れに乗っていて、今作では異能アクションとして実装している。
ポイントにワープできるクリムゾンライン。これはワイヤーフックと似たような効果。ただ、固定のポイントにしか使えないので自由度は低い。
垂直な壁を走って登れるヘヴンズライン。イースの移動アクションを劇的に変えたのがこれですね。インファマスみたいに走って建物の屋根にも登れる。
カメラにやや問題があり、上に向けられる角度に限界があって真上に近いところを見られない。壁の出っ張りで引っかかることが多いのに、上が見られないから壁に出っ張りがあるか確認できないという使い勝手の悪さがある。これはアップデートで改善してほしい。
ジャンプ中に滑空するハンターグライド。これもよくある要素。ハンターグライド中に翼が出現して、ゴッド・オブ・ウォーのイカロスの翼みたいです。
移動系ではないですが、見えない物が見えるようになるザ・サードアイ。壊れそうな場所を破壊できるヴァルキリーハンマー。影の中に潜るシャドウダイブもあります。
監獄都市バルドゥークという大きな都市で、屋根に登って滑空して自由自在に動き回れる。スパイダーマンやインファマスのような移動の楽しさと便利さがある。ヘヴンズラインの出っ張りの引っかかりとカメラの問題は改善してほしいですが。
今作でここまでやっちゃうと、次回作で通常移動に戻ったらダルさを感じてしまいそう。
戦闘の割合が減った
イース8に比べて戦闘の割合が減りました。舞台が監獄都市バルドゥークという大きな都市なので、非戦闘のサブクエストもチラホラある。そして移動系の異能アクションを取り入れた影響も戦闘の割合が減った要因。
特に前半は戦いたいのに戦えず焦らされた。後半は外にも出て戦闘の割合が増えた印象。ゲームを進めると異能アクションが追加されていくし、ゲームとしての面白さは右肩上がりでした。
良くも悪くもトレンドに乗った感じもあり、昔のアサシンクリードのような大都市で収集物を集める要素もあります。宝箱、花びら、落書き、ロケーションを集めつつ、地図を埋める。異能アクションを生かすための要素でもある。
異能アクションは生かせますが、イースにこの要素は求めていないと思うところもある。宝箱とロケーションは良いですが、花びらと落書きはただ集めるだけの要素で、しかも合計140個以上ある。上記したヘヴンズラインの微妙なストレスもあり、集める作業に面白味は感じにくかった。スパイダーマンやインファマスのような優れたゲームをやった後だと、イースがこの方向で勝負しても悪い面に見えてしまう。移動が便利で快適になるという部分ではプラス面しか感じませんが、この要素で何かさせるとなるとマイナス面も感じる。
非戦闘のサブクエストがチラホラある事と異能アクションを生かした収集要素が加わった事で、相対的に戦闘の割合が減っています。これは個人的にはマイナスポイントという印象で、イースの楽しい戦闘の割合を減らしてまで入れる要素ではないなと思いました。ここは良い悪いで判断できるものではなく、個人の好み。
異能アクションは素晴らしいけど、そこに引っ張られてしまった感もある。前半は監獄都市バルドゥークがメインとなり、あまり冒険している感じがしなかった。行動範囲が広がって外に出られるとイースらしい冒険を感じました。
自由度は低くてわりとリニアなゲーム進行。サブクエストを3個ほどクリアしてNOXポイントを100貯める→グリムワルドの夜で障壁を除去して新たなエリア開放→メインクエスト進行、の繰り返しっぽい。
キーコンフィグが素晴らしい
最近プレイした『Control』『DEAD OR SCHOOL』『ボーダーランズ3』にもキーコンフィグがあって、これもトレンドと言える。イースは前から対応していますけどね。プレイヤーのやりやすいようにボタン設定できるようになるのは良い流れです。数億円や数十億円かけたゲームで、ボタン設定が好みじゃなくて操作がしっくりこないなんてもったいないですからね。
イース9のキーコンフィグは素晴らしくて、タッチパネルのフリック4方向と左右の押し分けにまで対応している。おまけに同じ操作に2つのボタンを割り振ったりもできる。自分に合った操作方法にコンフィグして快適さがグッと増した。
デフォルトだとダッシュと回避が同じボタンですが、それを分けることも可能。
マルチタイトルだとここまで細かい設定ができないのがほとんどですが、今のところPS4独占のイース9は、その強みを生かしています。
他のゲームでも、メニューを開く→タブを選択、という2回に分ける操作だけじゃなくて、フリックでショートカットとかやってほしい。ウィッチャー3はやっていましたけどね。開きたいメニューを開く時の2回に分ける操作は快適さを大幅に損ねる。
ストーリーも楽しめた
アプリリスという謎の女性に銃弾を撃たれて怪人になってしまったアドル。怪人は6人おり、グリムワルドの夜という魔物の襲撃を受ける現象に対応するのが怪人の役目。
怪人は「呪い」であり、異能アクションという特別な力が使えるけど、障壁に囲まれた都市から出る事は出来ず、グリムワルドの夜で戦い続けなければならない。
怪人とは何なのか、グリムワルドの夜は何なのかというところがストーリーの中心にあります。監獄都市バルドゥークはグリアという国が支配していましたが、ロムン帝国によって滅ぼされたという歴史もあり、さらに教会の騎士団である星刻騎士団も重要な存在。怪人、グリムワルドの夜、グリア、ロムン帝国、星刻騎士団らが絡みあい。謎の散りばめ方が良くて結末が気になるストーリーでした。
全9章構成となっており、アドル以外の5人の怪人にスポットが当たる章があります。最初はいわゆる中二病的な印象を受けて少し引いてしまいましたが、各キャラクターが深く描かれていくと5人とも好きになれました。勝手に暴走したりギクシャクさせたりするやっかいな人がいないのも良い点で、みんないい奴。
非戦闘のサブクエストがチラホラあると書きましたが、そういった部分でのエピソードは力が入っていると思いました。ちょっと泣けたり笑わせたりしてくれる。戦闘の割合が減って残念と言いつつも、サブクエストのエピソードは魅力的な部分。
ちゃんと完結して旅立つという冒険後の余韻もイースらしい素晴らしさがあり、次回作も楽しみです。
ロードが多い
今作の最大の問題点はロードが多い事。エリア移動、建物の出入り、ファストトラベル、イベント前にロードを挟む。PS4 Pro + SSDでロード時間は10秒前後の場合がほとんどですが、頻繁にロードが入って気になる問題になっている。
エリア移動とファストトラベルは仕方ない。ただ、小さな建物に出入りするのにロード待ちは残念。そしてクエスト中のちょっとした会話イベントでいちいちロードが入るのはとても残念。
他のゲームと比べると10秒前後のロード時間は長くはない、しかしロード回数は多い。イースだから特別気になるという部分もあります。前作のイース8はPS4のRPGで最もロード周りが快適だったと言っても過言ではないゲームでした。そこからガクンと落ちてロードが気になるゲームになってしまった。
そして異能アクションによって移動が快適になったので、目的地まですぐ到達できるというのもロードの頻繁さが気になる要因であると思う。ちょっと動いてロード→ちょっと動いてロード、の繰り返しになる場面もある。
ロードの問題をアップデートで解決できれば、飛躍的に良いゲームになりそうです。戦闘の割合が減って不満に感じるのは、サブクエストでの頻繁なロードの問題もあるから。ロードさえ短くなれば、そこの不満も大幅に改善される。
次世代PlayStationでロードが1秒未満になれば素晴らしいことだと思う。「ロード問題が解決すれば劇的に良くなるゲームのリスト」に加えておきたい。
大都市を舞台にしたことで処理が重くなっており、都市ではフレームレートが不安定になる時もある。特に都市でのグリムワルドの夜・破壊戦ではカクカクが激しくなる時もありました。ダンジョンや外では安定していたので、全体を通してはフレームレートに不満を感じるほどではなかったです。あくまで極一部の場面。
やや退屈なアドルの単独行動パート
イース8のダーナ編みたいに、今作でもアドルの単独行動パートがあります。ストーリー的には意味があるものですが、このパートはあまり面白くなかった。スキルと異能アクションが使えない、装備の変更ができない、レベルが固定、戦闘が地味だし成長の楽しさもない。
グラフィックとモーションは前世代感がある
イース8はVITAからのリマスター版っぽくもあってグラフィックは前世代感がありましたが、PS4専用になったイース9でもあまり成長しておらず前世代感があります。イベントムービー中のモーションも少し滑稽に見えたりする。
もう割り切っているというか、ここに力を注ぎ込むような開発姿勢ではないんでしょうね。
プラチナトロフィーは狙いやすかった
前作よりは短くなっていると思う。引き継いでの2周目はかなり早く終わるので、1周目ノーマル→ボスラッシュイージー→2周目ナイトメアでプラチナトロフィーも獲得できた。2周目ナイトメアのほうが簡単でしたね。アドルの単独行動パートが難しいかと思いきや、そこはノーマルと大きな差は感じなかった。
1周目の取り逃しも2周目でカバーできるし、プラチナトロフィーは2周前提のほうが楽だと思う。ストーリー的にも結末を知ってから見返すと見方が変わって面白いです。
地図と冒険日誌のおかげで取り逃しも確認しやすいです。提示されている要素をコンプリートすればプラチナトロフィーに近づく。
見逃しやすいのは、
- ザ・サードアイを習得後に繁華街の桟橋で仲間にできるモルビアン。
- 再訪できないバルドゥーク監獄・地下で倒せるグレイム・ガノ。これはアドルの単独行動パートで出現する剣では倒せない敵なのですが、見た目が似ていてグレイム・ギルとガノの2種類います(剣タイプと銃タイプ)。メインパーティーで戦うタイミングが一度だけあり、溜め攻撃で倒せる。
- グリムワルドの夜・破壊戦でボスを倒さずクリアしてしまうとモンスター図鑑の取り逃しになる。
- 最終局面になるとルシアンは星刻騎士団支部にいます。1周目ではダンデリオンからいなくなったから好感度が上げられなくなったと思っていました。
各キャラの好感度アップアイテムは終盤にショップに追加される。第9部になったらショップを全て見直したほうが良いです。サラディだけは石切り場跡の宝箱で入手しました。 - 中盤以降、100NOXを貯めてグリムワルドの夜(赤)をクリアした後にすぐ次の部へ進んでしまうと、いくつかのサイドクエストが失敗となる。追加で100NOX貯めてグリムワルドの夜(青)を出現させて、そのエリアのサイドクエストも消化しておく必要がある。
- ダンデリオンに戻った時は毎回主要人物に話しかけて人物ノートが更新されないかチェックしておく。
- 100万貯めるトロフィーは手動セーブしてから装備品や素材を全部売れば到達できる可能性がある。私は2周目のデータで総額80万以上で売れました。
クリア後の回収は不可能。ラスボス前の最終局面で手動セーブを残しておくしかない。トロフィー回収を意識するなら各部の開始時点で手動セーブを残しておけば取り逃しに気付いてもやり直しやすい。
イースらしさを残しつつ変化も加えた
イースに一番期待していた戦闘の面白さがしっかりあり、冒険家アドルのその土地でのストーリーも心に残るもので、イースらしさを感じることができました。もちろん音楽も。
イースらしさを残しつつ、異能アクションとアサシンクリードみたいな都市の探索を取り入れてマンネリ化しないような変化があり、制作陣が新たな挑戦をしているのも見てとれた。
8からの変化があるから好みは分かれるところだと思う。個人的には異能アクションは素晴らしかったですが、それを使わせ過ぎる要素の入れ方はやや残念なところもあったという感じ。あと大都市を舞台にするより、外に出て未知の領域を冒険するほうが良いと思った。
小さな不満より楽しい部分が大きくて満足度は非常に高いですが、アップデートで少しでも改善できるならロードは何とかしてほしいと思う。次点でカメラが上を向けないところ。
Apple Arcadeにハマっていた中、大作RPGの良さを再確認できました。大作ゲームに求めるエンディング後の余韻が素晴らしくて、アドルの冒険の1つを共有できた満足感があります。次回作が出たら迷わずプレイしたいと思えました。
それにしても『L.A.ノワール: VR事件簿』『CODE VEIN』『魂斗羅 ローグ コープス』『WORLD WAR Z』『イースIX -Monstrum NOX-』『ライザのアトリエ』『トロピコ6』『FIFA 20』が同じ週に発売ということで大激戦区ですね。Twitterでもプレイしているゲームがバラバラですし、さすがにセールス的には伸び悩むんじゃないでしょうか。私は次に『L.A.ノワール: VR事件簿』をプレイしたいです。