『FIFA 17』から追加された新ゲームモード「The Journey」。アレックス・ハンターのサッカー人生を追体験するストーリーモードのシーズン2です。
海外ドラマとサッカーゲームの融合
前作をプレイした時は映画とサッカーゲームの融合という印象でしたが、今作は連続ドラマのシーズン2みたいな位置づけですので、後付けっぽさも感じる設定も含めて海外ドラマとサッカーゲームの融合という印象。
前作はアレックス・ハンターがプロになって1シーズン目を終えるまでの物語。今作は2年目のシーズンを終えるまでの物語で、文字通りのシーズン2。
基本的な進行
基本的には、
メニュー画面から練習→メニュー画面から試合→……
の繰り返しです。
メニュー画面では、TwitterみたいなSNSで知人やファンの反応を確認できる。返信システムはないので見るだけ。
髪型、タトゥー、衣装の変更も可能。前作で髪型を変えた記憶がないので、このあたりは新要素かな?素朴なサッカー少年が都会に染まる感じを演出できます。
ストーリーイベントと重要な決断
練習と試合を繰り返すというと味気ない感じがしますが、頻繁にイベントが挿入されます。このイベントがストーリーモードの真骨頂です。前作よりもイベントの挿入頻度が増えた印象で、実際にプレイ時間も伸びている。
前作でも会話選択肢があり「情熱」「バランス」「冷静」のどれかを選択し、アレックス・ハンターの性格を自分で形成できた。今作では「重要な決断」が追加され、これがプレイする海外ドラマとしての魅力を大幅に高めた。アドベンチャーゲームではよくあるバタフライエフェクトシステムみたいなもので、自分の決断が特定のキャラクターの運命を左右する。
前作では「会話の選択や試合のプレイでは、アレックス・ハンターに自分が投影できますが、イベントムービーの多くは、映画を客席から観ている感じにはなる」という不満がありましたが、この「重要な決断」システムで自分が参加できるようになった。
前作よりも演出が大幅にパワーアップしており、「こんなパターンもあるの!?」「こんな選択もあるの!?」と驚かされるところが数回あって興奮した。演出に興奮した状態から試合を実際にプレイするのが最高。この驚きの詳細を書きたいけど、大作RPGでネタバレをしちゃうレベルなので控えます。
前作でベースを作り、今作で肉付けされているのがわかる。
全6章で構成されていますが、1章から5章までは激動のサッカーライフで楽しかった。前作の感想では「レギュラーになって安定する中盤はイベントシーンも少なくなり、淡々と試合をこなすプレイになります。ストーリーモードのストーリーを楽しむというより、キャリアモードをプレイしている感じになる」と書きましたが、今作はイベントの多さや環境の変化でテンションが持続した。ただ、最後の6章は淡々と試合をこなすという印象もあり。それでもトータルで見れば、前作よりもストーリーの濃さを体感できた。
単品フルプライスで通用する力の入りよう
クリスティアーノ・ロナウド、ティエリ・アンリ、リオ・ファーディナント、ギャシ・ザーデス、デレ・アリ、トーマス・ミュラー、アントワーヌ・グリーズマンら、実在選手・OBがアレックス・ハンターと関わる役で出演。一部の選手はプレイヤーの選択によってはアレックス・ハンターと関わらないという贅沢な使い方。
実在の選手・OBは、おそらく本人の吹替のため日本語吹替はありません。アレックスー・ハンターは日本語吹替されているので、日本語と他国語で会話する不自然さはある。
前作の感想で「主人公が既成キャラクターなところは良くも悪くもです。感情移入がしにくいところはありますが、既成キャラクターゆえの人間ドラマも描ける」と書きましたが、今作はアレックス・ハンターや周りのキャラクターに愛着を持った状態でのプレイとなりましたので、抵抗なく楽しめるどころか「好きなサッカー選手はアレックス・ハンターです」というくらい好きになっていた。ダニー・ウィリアムズも良い奴だし、ジムの存在感も良いし、マイケルも憎めない。このドラマのファンになっている。
「重要な決断」というドラマの没入感を劇的に高めるシステム、イベントシーンのボリューム、前作にあった中だるみを解消した激動のストーリー、前作以上に力の入った出来に満足ですし、次も期待できる。
クリアまで約17時間、前作は14時間でした。前作では「ちょっと長すぎてストーリーが薄味になってしまいました。ストーリーを楽しみたいストーリーモードなので、もう少し詰めて濃くしてほしい思いました」と書きましたが、今作はストーリーが濃くなったのでプレイ時間が長くなったのも悪くはない。それでも、やはりストーリー重視となると試合数を減らすかカットできるシステムは欲しい。重要な試合はともかく、消化試合みたいなところはシミュレートできれば良いと思いました。
このモードを単品で販売しても通用する内容。これはUTでもプロクラブでも同じですけどね。1つ1つのモードがハマり込める出来なので、むしろ全部のモードをまんべんなくプレイするプレイヤーのほうが少ないと思います。
『FIFA 19』でも、おそらくアレックス・ハンターが主人公のままシーズン3という形になるかと思いますが、未プレイの人にシーズン1とシーズン2をどうやって提供するか考える必要も出てくるかと思う。UTやプロクラブらのモードと違って、前作・前々作を知らないと楽しみにくいモード。スポーツゲームの旧作は安くなるので「旧作を買ってね」というスタンスでも問題ないでしょうけど、スマートな提供の仕方があっても良いかと思う。
布石となっていそうなキャラクターもいましたので、『FIFA 19』のストーリーモードも楽しみ。サッカーゲームは『ウイニングイレブン』との二大巨頭で迷うところですが、すでに来年は「ストーリーモードのシーズン3が気になるので『FIFA 19』を買う」と決められるほど好きなモードになりました。
ストーリーモードをクリアしたので、キャリアモードをJリーグでプレイします。