昨日の今日でJAPANスタジオの再編に関する続報がありました。
SIE JAPAN Studioの再編が明らかに Team ASOBIを中心に再統合が行われるも、事実上の縮小か
JAPANスタジオは、大雑把に分けて「内製」「外製」「ローカライズ」があると思います。今回の再編で、一番不安なのは「ローカライズ」なんじゃないかなと思いました。
内製
- KNACK
- GRAVITY DAZE REMASTERED
- 人喰いの大鷲トリコ
- GRAVITY DAZE 2
- パラッパラッパー (リマスター)
- ロコロコ (リマスター)
- KNACK ふたりの英雄と古代兵団
- パタポン (リマスター)
- ASTRO BOT:RESCUE MISSION
- パタポン2 ドンチャカ♪
- Astro’s PLAYROOM
『GRAVITY DAZE』の外山圭一郎氏は離職してBokeh Game Studioを設立しています。
『人喰いの大鷲トリコ』の上田文人氏は2011年時点で離職しています。現在はgen DESIGNに所属。
リマスター以外で残っているのは『KNACK』と『ASTRO』のみ。JAPANスタジオはASOBI! Teamに再統合されるという事で、『ASTRO』シリーズは今後も展開されるかと思います。
PS3末期から内製ソフトは国内でも苦戦した印象ですし、実際のところPS5に向けてのダメージは0に近い。それどころか、企画を通してもらえずゲームが作れない状況にいたクリエイターが独立し、そこから生まれる新作への期待値が増した。
ただ、『SIREN』『ワイルドアームズ』『どこでもいっしょ』『ぼくのなつやすみ ※ミレニアムキッチン』『サルゲッチュ』らの復活を望む声が根強くありましたので、それがほぼ断たれたという失望はあったと思います。しかしこれに関しても、ロト6を買って「6億円当たるかもしれない、可能性は0じゃない」という感じの、まず叶わない夢を見ている状態でもありましたから、踏ん切りがついて良かったとも思える。
ほぼ叶わない夢を見てズルズルと時間が過ぎるより、クリエイターが独立して新たなゲームを作り始めている事のほうが現実的には嬉しい事になるんじゃないでしょうか。
外製
- Bloodborne (フロム・ソフトウェア)
- The Tomorrow Children (キュー・ゲームス)
- New みんなのGOLF (クラップハンズ)
- V!勇者のくせになまいきだR (アクワイア)
- ワンダと巨像 (ブルーポイントゲーム)
- Déraciné (フロム・ソフトウェア)
- みんなのゴルフ VR (クラップハンズ)
- Demon’s Souls (ブルーポイントゲーム)
「JAPAN Studioタイトルの外部制作、ソフトウェアのローカライズおよびIPマネジメントなどの役割は、PlayStation Studiosのグローバル機能が担います。」という事ですので、ワールドワイドで通用しそうなタイトルの外部制作は、引き続き行われると思います。
この中で言えば、フロム・ソフトウェアが関わるタイトルですかね。しかし、『Bloodborne』『デラシネ』のプロデューサーを務めた山際眞晃氏、『Bloodborne』のもう1人のプロデューサーである鳥山晃之氏が離職しており、簡単にはいかないかもしれません。このあたりはPlayStation Studiosのグローバル機能の力次第。どんな展開を見せるか。
期待できるとしたら、中規模のゲームやローカルヒットを狙わない分、大規模なグローバルヒットを狙えるゲームに関しては、今までにないほど力が入るかもしれない。
中規模のタイトルは制作されなくなると思うので、長きに渡ってPSでリリースされてきた『みんなのGOLF』は厳しいかもしれない。あくまでグローバルヒットを狙えるタイトルのみで、ローカルヒットは考えないだろうから。
【追記】クラップハンズが『CLAP HANZ GOLF』という商標を出願していましたので、独自ブランドで新たにやっていく可能性が高そうです。
ローカライズ
これが今回の最大の痛手になると予想します。「PS3末期から内製タイトルは弱かったし、外製は世界に通用するAA級以上を狙ってくれるなら、そこまで大きな問題ではなくない?」とまでは思えますが、SIEワールドワイド・スタジオのローカライズは替えが効かない。PCと違ってユーザーが手を加える事もできない。
上記したように「ソフトウェアのローカライズおよびIPマネジメントなどの役割は、PlayStation Studiosのグローバル機能が担います。」とあるので、ローカライズも今までとは状況が変わる。
おそらくXboxと同じ道を辿るかと思う。
例えば『ギアーズ オブ ウォー』は1~3までは日本語吹替に対応していました。日本語吹替の評価も高かった。それが4以降は無し。
『ライオットアクト(Crackdown)』は2まで日本語吹替に対応していたけど、3は吹替どころかテキストも日本語には対応しなかった。
SIEワールドワイド・スタジオのタイトルが、日本でそこまで売れるわけではない。PS4の現状を維持できれば良いですが、大幅に落ちる可能性もあります。グローバル化による日本での影響力(宣伝)の低下や、日本軽視と受け止められてユーザーの熱量の低下、PS5が買えないストレス、PSから離れる人も少なくないと思っている。通常版本体が54,978円ですし、ソフトも8,690円に値上がりしている事もあり、新体制後の最初の判断材料となる『Returnal』も、その次の『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』も、セールス的には厳しい結果になると予想できる。この結果を見て今のSIEがどういう判断をするかという不安がある。
欧米に比べてソフトが売れない日本に対し、PlayStation Studiosのグローバル機能によるローカライズで、日本語吹替を入れ続ける可能性は低いんじゃないかなと思います。それどころか、『ライオットアクト(Crackdown)』のように、テキストが日本語化されないタイトルも増えてくるかもしれない。表現規制の事情も違うので、日本版のために修正するよりも販売しない事を選択するかもしれない。
台本が薄いならまだしも、最近のゲームは台本のページ数どころか冊数に驚かされるほどなので、今後は大作ゲームに注力しそうなSIEワールドワイド・スタジオにおいて、日本語吹替はハードルが高いと思う。
今まで日本のローカライズ環境は良かった。日本語吹替があって当たり前だったし、相対的に見て優遇されていたと思う。それがPlayStation Studiosのグローバル機能によるローカライズで公平になると、日本語吹替のサポートは継続されないんじゃないかとネガティブに考えてしまう。今のXboxが置かれている状況に近くなってくるかと予想します。
2022年以降、SIEワールドワイド・スタジオの日本版に日本語吹替がなくなる覚悟はしておきたい。その時に大きなショックを受けないように。
ソフトが売れさえすれば問題ないでしょうけどね。JAPANスタジオも売れていれば再編を迫られなかったでしょうし。今はネガティブな情報を意識しすぎていますが、フタを開けてみれば景気よくソフトが売れる、そんな未来も期待しておきたい。
ちなみに本日配信された『アウトライダーズ 体験版』も日本語吹替がありません。最近のゲームは激しいアクションをしながらキャラクターが喋るので、字幕だと読むのが大変です。最近また話題になった『アンセム』も、アクションしながら字幕がバンバン表示されるゲームでした。
最近のアクションゲームにおける、日本語吹替の有難味は大きかった。
これも本日、『バイオハザード ヴィレッジ』のキャストが発表されて、ドミトレスク夫人を井上喜久子さんが演じると話題になっていました。これからは日本語吹替が当たり前のように思わず、感謝を忘れないようにしたい。JAPANスタジオの再編で今後に思うのは「今までの当たり前がこれからの当たり前ではない」という事。
まとめ
内製ゲームに関しては、叶わない夢であろう古いIPの復活に諦めがつき、今回の騒動がクリエイター独立のきっかけになった事で、新たなゲームが生まれる期待はある。8日前に発表されていた『クレヨンしんちゃん オラと博士の夏休み ~おわらない七日間の旅~』のように。もしくはクラウドファンディングの可能性もありますね。
ASOBI! Teamが中心になるという事で、こちらも今まで以上に力の入ったゲームに期待できる。
外製ゲームに関しては、世界に通用するゲームはPlayStation Studiosのグローバル機能によってこれからも企画され、日本だけで売れるようなゲームは出なくなるでしょう。プレイステーション独占タイトルとしての幅は狭くなりますが、大手サードパーティーやインディーズ、そしてSIEから独立したクリエイターのスタジオから多種多様なゲームがリリースされるでしょう。
ローカライズに関しては大きな不安。なにせSIEワールドワイド・スタジオからはGOTY級のゲームがバンバン出ますから、それら全てに関わる問題。
まだ日本語吹替がなくなったり、日本語テキスト自体がなくなると決まったわけではないが、まったく楽観視できないのが正直なところ。ジム・ライアンが「そこは大丈夫です」と言ったとしても、数年後の結果を見るまで信じられない。
翻訳の質や有無だけじゃなく、プレイステーションと日本との距離が大きく開く世代になるという寂しさもあります。
これが杞憂で終われば一番なのですが、2022年や2023年にどうなっているか、その時が来るまでわからない。
今回の再編に関しては仕方ないとも思う。PS3の頃からJAPANスタジオは良い結果を残せていたとは言えず、内製タイトルを見直してみても、ローカルヒットすら出せていたとは言えない。海外のスタジオが容赦なく解散させられているし、2016年にSIEがアメリカに設立された事により、日本の庇護も弱まり、結果が残せていないJAPANスタジオにもメスが入れられたという話。
どうせなら最後は復活が望まれたIPで勝負してほしかったですけどね。これがコケたんだから文句ないでしょ?という。消化不良のまま終わった印象もあります。
企画が通らないという話を聞くけどKNACKで2本行っちゃう判断は謎でした。本体同梱分を「売れた」と思っちゃったのかな。カルト的な人気(?)はあって、全否定するほどではなくて私もそこそこ楽しんだのですが、客観的に見て評価がかなり低かったゲームです。メタスコア54点、ユーザースコア6.4点でした。
JAPANスタジオの再編によって名称が変わったりするのかはわかりませんが、1993年に設立されたJAPANスタジオの区切りをつける事になると思います。27年5ヶ月、1つの時代の終わりを見る感覚であります。
独立したクリエイターの新作とASOBI! Teamへの期待、ローカライズがどうなるかの不安を残す。
コメント
山本正美さんも辞めていたようです
主要メンバーで残る人はいないのかな
本当に日本らしさみたいなのは終わりだと感じた
PSstoreで言語の韓国・中国が優先表示されてるのは何なんですかね?
あれめちゃくちゃ気持ち悪いんですけど
河野さんや盛田さんポジションの人がいなくなって一気に親近感がなくなった印象です
PSブログでの新年の挨拶とか気さくな感じよかったんですけどね
あの人達の存在は大きかったんだなといなくなって気づくんですよね…
PSの新世代突入で嬉しいより不安が上回ってしまうとは
1、2年経ってこれが杞憂だったねと言えるようになっていて欲しいです
残念ながら、State of Play では既にローカライズは破綻し始めています。しかも去年の夏から。
https://twitter.com/k0ta0uchi/status/1291517813048217603
字幕が中華系の漢字になっていたりタイムスタンプが表示されていたり…
石立さんとニイナさんがかなりのファーストタイトルの翻訳に関わっているので、この二人が退社してしまったら本当にヤバイかもしれませんね…
一応経験者採用でローカライズプロデューサーの募集をまだ掲載していることだけが最後の頼みの綱かもしれません。
xboxと違ってPSのファーストは日本でも数十万本売れるくらい需要があるから心配無いと思ってましたがそれでも採算が取れてない可能性もあるのでしょうか?
PS5でソフトが安定して数十万本売れれば大丈夫だと思います。売れれば、結果が出れば悪い方向には行かないはずです。
直近の大きな不安は、新体制後の最初の判断材料である『Returnal』と『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』が「思ったよりも売れない」という結果になってしまうこと。それを今のSIEがどう判断するかというところです。コストをかけ続けて粘ってくれると良いのですが、もう日本の庇護はなくシビアな判断をする可能性もあると思っているので、今は早期の結果が求められるんじゃないかというところです。
あくまで、ネガティブな情報を意識している中での「可能性がある」「怖い」という最悪の事態の想定でもあります。
楽観的な見方をすれば、新体制になって日本でソフトが売れなくなるとカッコつかないので、頑張ってくれるかもしれない。
なんにしてもソフトが売れないかもしれないという不安が杞憂に終わってくれれば万事解決で、そうなるのが一番です。
今回の放送でも日本語吹き替えがあまりなかったですね
でトリはFF7Rという矛盾
日本のメディアは突っ込んで取材してほしいところ
xboxoneと同じ流れになってしまってる。吉田さんはあまり発言権ないのかな?今