グローバルな組織化で変わるJAPANスタジオ

ゲーム雑記

JAPANスタジオからの離職が目立っており、気になったので近年のJAPANスタジオの動きを調べ直してみました。

JAPANスタジオの動き 2018年~

  • 2018年2月
    ・2月8日『ワンダと巨像 (ブルーポイントゲーム)』リリース。
  • 2018年10月
    ・10月2日『ASTRO BOT:RESCUE MISSION (ASOBI! Team)』リリース。
  • 2018年11月
    ・11月6日『Déraciné (フロム・ソフトウェア)』リリース。
  • 2019年
    ・5月21日『みんなのゴルフ VR (クラップハンズ)』リリース。
  • 2020年1月
    ・1月30日『パタポン2 ドンチャカ♪ (リマスター)』をリリース。
  • 2020年2月
    ・『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』『Astro’s PLAYROOM』で知られるASOBI! Teamのドゥセ・ニコラ氏がJAPANスタジオのスタジオディレクターに就任。
  • 2020年11月
    ・11月12日『Astro’s PLAYROOM (ASOBI! Team)』『Demon’s Souls (ブルーポイントゲーム)』をリリース。
    ・11月17日を最後にSIE JAPAN Studio JPのTwitterが更新停止中。
  • 2020年12月
    ・『SILENT HILL』『SIREN』『GRAVITY DAZE』のクリエイターとして知られる外山圭一郎氏が離職。『GRAVITY DAZE』のリードデザインを務めた大倉純也氏と『人喰いの大鷲トリコ』のプロデューサーであった佐藤一信氏も離職し、Bokeh Game Studioを設立。
    ・『Bloodborne』のプロデューサーであり、『ASTRO BOT RESCUE MISSION』『Demon’s Souls』にも携わっていた鳥山晃之氏が離職。
  • 2021年1月
    ・SIEの前社長であり現副社長の小寺剛氏が今期でSIEを離職すると発表。
  • 2021年2月
    ・14年間で400以上のタイトルと約5000本もの映像に関わっていた曽我部亮氏が離職。
    ・『Bloodborne』『デラシネ』のプロデューサーを務めた山際眞晃氏が離職。

過去3年で7本のリリース

【リメイク】ワンダと巨像 (ブルーポイントゲーム)
【VR】ASTRO BOT:RESCUE MISSION (ASOBI! Team)
【VR】Déraciné (フロム・ソフトウェア)
【VR】みんなのゴルフ VR (クラップハンズ)
【リマスター】パタポン2 ドンチャカ♪
Astro’s PLAYROOM (ASOBI! Team)
【リメイク】Demon’s Souls (ブルーポイントゲーム)

JAPANスタジオは過去3年で7本のタイトルをリリースしている。
傾向がわかりやすく、4つのキーワードがあります。

  • リメイク/リマスター – 3本
  • VR – 3本
  • セカンドパーティー製(クラップハンズ/ブルーポイントゲーム/フロム・ソフトウェア) – 4本
  • ASOBI! Team – 2本

過去3年で既にこの状態。
かなり痛いのは『Bloodborne』の2人のプロデューサーが抜けてフロム・ソフトウェアとの関わりが弱くなりそうなところ。山際眞晃氏は『デラシネ』のプロデューサーでもありました。
古き良きSCEの色を残すのはクラップハンズくらいになるんじゃないかと思いますが、今のJAPANスタジオとクラップハンズだけが強い関わりを持ち続けるというのは想像しにくい。

新作ゲームの開発は、ASOBI! Team=JAPANスタジオになりそうな印象。
リメイクに定評のあるブルーポイントゲームは活用できるIP次第ですが、SCEのIPからは離れそうな気がします。
重要なポイントとしては、ワールドワイドスタジオタイトルのローカライズ。従来通りのクオリティなら良いですが、このまま縮小すると日本語音声がなくなる可能性は考えられる。

ゲームの発表会前になると、Twitterや公式サイトのコメント欄で『サイレン』『ワイルドアームズ』『サルゲッチュ』『ぼくのなつやすみ』らのタイトルを目にしますが、もうそういうタイトルを望める状況ではないように思います。独立したクリエイターが『クレヨンしんちゃん オラと博士の夏休み ~おわらない七日間の旅~』のような、過去の作風を生かした新作を作るのは期待できる。

2019年11月にジム・ライアンが「我々はよりグローバルな組織になる必要があると感じていますが、これは国レベルでの市場での強さを犠牲にするものではありません」とは言っていましたが、グローバル化を意識してプレイステーションが日本で弱くなったのは否定できないかと思う。
この時「PlayStation 5の夢を実現するために変わる必要がありました」とも言っておりましたが、2020年2月にASOBI! Teamのドゥセ・ニコラ氏がJAPANスタジオのスタジオディレクターに就任後、日本人のベテランクリエイターの離職が続いている状況。日本におけるPS5の今後を考えると、悪い方向に変わったと思います。
ソニーJim Ryan氏「PlayStation 5の夢を実現するために変わる必要がありました」 – GamesIndustry.biz Japan Edition
日本はガラパゴスな傾向が強い印象で、iPhoneが飛びぬけて売れる国だったり、Xboxが極端に売れない国だったり、欧米で大人気のゲームが日本ではさほどでもないというのは普通な話だったり、特徴的。2019年11月時点で宣言されていたグローバルな組織作りにより、今以上にプレイステーションが日本で地域性を失うのは、大きなダメージを受けそうな気がします。既に日本製の新作はあまり出ていませんが、どこかまだ日本の復権を信じていた人が諦める時も来るかと思う。

組織のグローバル化は日本のサードパーティーへの影響もあるでしょう。『龍が如く』シリーズや『ジャッジアイズ』など、日本色が濃かったゲームのマルチプラットフォーム化も、SIEがグローバル化して地域性を重視しなくなり、繋がりが薄まったというのも関係しているかもしれない。

Twitterも悲観多数です。
“ジャパンスタジオ” OR ”JAPANスタジオ” – Twitter

海外のスタジオや国内サードパーティーから良作が出るのは期待できるので良いのですが、JAPANスタジオに関しては無念です。

まだ期待できる部分としては、2020年4月に新設されたエクスターナルデベロップメント部(外部開発部)が、日本の開発会社に働きかけて、どんなゲームを作るのか。とは言っても国内を意識するというわけではなく、あくまで世界に通用するものに限られそうですが。

コメント

  1. qyr より:

    Netflix日本と状況が似てると思います。
    日本では海外作品や韓国ドラマが人気な一方、オリジナルの日本作品はごく一部を除いて見られていません。
    ゲームや映画/ドラマに限らず、日本のポップカルチャーってアニメ以外は結構きつくなってるなという気も・・・。そのアニメしても中国アニメの足音が聞こえる。音楽はK-POP勢に負けてますし…。
    ゲーム業界だけの話なのか。どの業界も同じようなことなってる。もう広い文脈で見たほうがいいかもしれません。
    任天堂の立ち位置は参考になるとは思います。ソニーがマネを必要はないですが。

  2. 匿名 より:

    有名クリエイターのSIE退社ニュースは日本市場を重視しなくなっているのはわかっていたとはいえ、ショックですね。
    Switchで和ゲーやインディーズの勢いが強い中、ペルソナや軌跡、アトリエ、スカーレットネクサスといった日本製のサードパーティタイトルがプレイステーションから撤退しないことを祈ります…

  3. Jスタジオ応援隊 より:

    はますけさんのブログいつも拝見させていただいています。鋭い視点でブログを書かれていまして、とても感心させられます。
    私もここ最近のグローバル化に進む流れはプレステにとって良く無い動きのように感じ、モヤモヤしてしまいます。海外の方にもJapanスタジオのファンも多く、退社宣言された方のTwitterのコメント欄にも多くの外国の方からの返信が送られています。結果的に海外、日本問わず悪影響を及ぼしているようにも思えます。
    気になって来年度の新卒採用をチェックしてみると、ゲームデザイナー部門の募集をおこなってないという事で、これはますますマズいような気がしてきます。
    退社された方々がまだプレステが好きで、次の会社でも良好な関係がまだ築けている事を切に願います。
    まだ良質なゲームを作ってくれているASOBOチームが残ってくれているのが最後の希望ですが、なかなか大作ゲームを作らせてもらえてないような気がしなくもなく、そこも気がかりです…
    せっかくのJapanスタジオですので、他のスタジオでは作れないよう様なゲームをたくさん作ってもらいたいものです…
    長文失礼しました。ブログ応援しています‼︎

    • Jスタ応援隊 より:

      どうやらign本家のインタビューで4月1日からASOBI!チーム中心に再編成(縮小)される模様。
      本当に悲しいです…
      翻訳チームにも影響がないことを祈ります。

      • Hamasukei Hamasukei より:

        残念です。
        「ローカライズおよびIPマネジメントなどの役割は、PlayStation Studiosのグローバル機能が担います。」との事なので、ローカライズの影響もあるかもしれません。

        テキストは多くの言語であっても、音声まで多くの言語で翻訳しているゲームは多くないので、日本であまり売れないであろう海外製のゲームに日本語音声を入れ続けるかはあやしくなってきたと思います。

  4. 匿名 より:

    日本独自のタイトルですよねー
    360の時ブルードラゴン、ラスレム、テイルズ、まさかのアイマスが出て一時的ですが日本市場も賑わいました
    ワールドワイド意識しすぎな部分はいまのソニーにあると思いますね

    • Hamasukei Hamasukei より:

      スイッチでダービースタリオンや桃鉄が復活しましたが、こういうほぼ日本でのみ売れるタイトルは、もうSIEは作らないんじゃないかと思っています。

      フロム・ソフトウェアやコジマプロダクションが手がけるワールドワイドで通用する日本のゲームなら、まだまだ期待できますね。

      • 匿名 より:

        今北米のセールでジャパンセールをやってますがこういうのなんだろうな。
        日本向けはニッチかもしれないけど僕たちが海外のニッチなゲームやるように、求めてる人は求めてる
        フロムやコジマも大事だけどコンスタントに作品をだせれる市場はもっと大事
        このままだとxboxone以降と同じになりそう

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