2019年7月10日に北米Storeでリリースされた『Sairento VR (北米版)』($37.99)の感想。
基本操作とシステム
Moveモーションコントローラー2本必須のゲームです。
利き手を右をした場合の操作。
銃撃はT。
銃のリロードはMoveを下に振る操作。
剣で敵の銃弾を防御することが可能。
自由移動できるゲームです。カメラ操作は右手Moveの□/△。オプションで90度/45度/フリーの選択ができる。速度は0.5倍/1倍/2倍/3倍。
左手MoveのMで前進。前進ボタンはデフォルトでは自分が見ている方向に進む。Mを2回連続で押すとダッシュしますが、それよりもオプションで「スライドの移動速度」を最大の249にしたほうがプレイしやすかった。1回押すだけで常にダッシュ。
ミッションクリア式
1ミッション5分以内に終わります。ミッションモード/試練モード/キャンペーンモードがありますが、1ミッションごとに拠点である道場に戻ってきます。
キャンペーンモードは全10チャプター。1時間30分以内にクリアできます。ミッションはシンプルで、基本的には敵を殲滅して次の部屋に行く。『DOOM』のようなスポーツ系FPSの楽しさです。迷うところはなく、部屋を殲滅しながらゴールを目指す。たまに特定のオブジェクトを調べる必要もある。
映画的な演出はほとんどなく、無線の会話でストーリーが語られる。キャラクターモデルや演技を作らずともストーリーが語れるので『地球防衛軍』などでも用いられている手法。低予算のVRゲームでは重宝しそう。
ストーリー展開自体はそんなに面白くない。VRゲームにありがちな練り込みの浅さと、まとめ方の粗さは感じます。舞台が日本なので、外国から見た少しズレた日本の面白さはあった。こういう部分を楽しめるのは日本に住んでいる人の特権。
タイトルもSilent→サイレント→Sairentoと日本の発音に置き換えたものになっているのかなと思います。こういうスラングはWife→ワイフ→Waifuというのがあり、「俺の嫁」という意味とのこと。SairentoもSilentから派生して日本独自の意味を持つようになったものだと思われる。
オンラインCo-opにも対応。
豊富な武器種とトレジャーハンティング
武器は剣、各種銃、手裏剣、弓など多彩。両手銃、銃と剣、二刀流、好きなスタイルでプレイできてアクションの幅が広い。
防具はヘルメット、アーマー、ベルト、グローブ、ブーツの5部位。
武器と防具は1~4ヵ所のレリック(強化アイテム)装備枠があり、敵を倒すとコモン/アンコモン/レア/レジェンダリーのレリック(強化アイテム)を落とすことがある。ディアブロやデスティニーでもお馴染みのトレジャーハンティングの面白さがあります。ミッションを何度もプレイして、コツコツと育てていける。
レリック(強化アイテム)を生産するシステムもあります。
スキル
レベルが上がるとスキルポイントが得られます。
新たな技の習得や基本ステータスの強化が可能。
運要素もあるレリック集めと、コツコツと確実な成長のレベル上げによる強化の幅は広くて、自分好みの強化スタイルを選べる。これがミッションを繰り返しプレイするモチベーションになる。多くのゲームで用いられている王道のシステムでありますが、やっぱり王道は良いです。ゲームの歴史の中で勝ち残ったシステムの安定感。
レジェンダリーがドロップした時の喜びは大きいし、それを装備してすぐ次のミッションをプレイしたくなる。
全モードでレベルと装備が共通なのも嬉しい。
難易度は5段階あり、操作を覚えるまでは最低難易度でやったほうが良いけど、それだと単調に斬るだけで終わっちゃうから、徐々に難易度を上げたほうが楽しい。難易度が高いほど報酬も良くなります。
5番目の最高難易度は一撃死してしまうので難しすぎた。4番目がスリリングなアクションとしては丁度良かったです。連続で攻撃を受けると死ぬので、回復アイテムを取りながらギリギリでクリアできる。3番目以下は安定してクリアできるようになりました。
ハイスピードスタイリッシュアクション
最高速度でプレイすると、VRでは初めて体験するハイスピードなアクションゲーム。このまんま『デビル メイ クライ』や『戦国無双』や『メタルギア ライジング』がVR化できるんじゃないかと思うほど。走り回って飛び回って剣を振り回して銃を撃ちまくる。壁走りや宙返りまでしちゃう。ハイスピードで派手な動きが出来過ぎて、VRに慣れていない人は酔うと思う。
敵の種類は多くないし、AIや動きはチープです。これが非VRゲームなら三流のアクションゲームになるかもしれない。でもVRだと自分の動きが楽しくて、敵は自分のスタイリッシュアクションを引き立てる的でも良いと思える。ジェダイの騎士か無双シリーズの主人公になったみたいに暴れまわることができた。このゲームの面白さは、自分のスタイリッシュアクションを追求して形にしていくところだと思う。自分に酔えるほどカッコ良く戦えるようになると他のゲームでは替えが利かない独自の魅力がある。
剣戟はもう少し深みが欲しいですけどね。現状は無双的にザクザク斬るのがベター。SEKIROみたいにカッコ良く弾き返したり、トドメを刺したりしたい。
グラフィックは平均点にも届いていないかもしれない。PCマルチのVRゲームにありがちですが、最適化されていない印象もある。もしかしたらAAとかフレームレートの安定性を優先して、テクスチャを軽くしたのかもしれない。このゲームの場合は安定性が特に重要でしょうから。実際、あまり酔わない私でも、さすがにここまでハイスピードでジャンプしたり回転したら酔いそうなものですが、そういうことはない。
広くてプレイしやすいエリアが多いのは良かったですが、たまに段差とかオブジェクトに引っかかるのは煩わしかった。これは慣れで対応できますけどね。良くないのはジャンプのラインが出ているのに引っかかる場合があること、引っかかる場合はラインが出ないようにしてほしい。
最適化不足
最適化が甘いと感じるところがあり、メニュー画面でTを押して選択するのですが、半押しじゃないと認識しない。おそらくほとんどの人が全押しして「反応しない」と思ってしまうでしょう。これは早期アップデートで改善してほしい。
トロフィーにもミスがあり、チャプター7と10を通常難易度でクリアすると、最高難易度クリアトロフィーが獲得できるけど、通常難易度クリアトロフィーは獲得できない。つまり逆に設定してしまっている。1周1時間30未満で確認できるトロフィーの確認すらしていなかったことになる。
VRでここまでのハイスピードアクションができるとは驚き
VRアクションゲームは酔いの問題が大きくて、あまり派手な動きはできませんでした。しかし、『Sairento VR』は殻を破った感じがあります。もう非VRのハイスピードアクションゲームと変わらないようなスピードと派手さ。まだまだ粗削りですが、次世代VRでは『デビル メイ クライ』や『戦国無双』がVRで出来ちゃうなという夢が見られた。
Moveモーションコントローラーの問題は感じ、操作に慣れるまでとても難しい。特に剣と銃の組み合わせは頭がこんがらがる。スティックがないから移動操作が難しくなるので「スティックさえあれば……」と強く思いました。Oculus Questのコントローラーみたいなのがあれば、劇的に面白くなりそう。
次世代PSVRでは最高のコントローラーを期待します。
足で操作する『3dRudder for PlayStation VR』に対応しているのは気になるところです。
酔いの問題と操作の問題があるので、よっぽどPSVRに慣れていないと難しいゲームなんじゃないかと思う。両面で慣れていないと早期に脱落しそうでもあります。
このゲームが「めちゃくちゃ楽しい!」ってなるのは操作をマスターしてから。基本操作が形になった程度でも低難易度ならクリアできますし、シンプルに暴れまわる爽快さもほどほどにありますが、自分のイメージ通りのスタイリッシュなアクションが出来るようになったところで、このゲームの面白さと凄さがわかる。敷居は高いですけどね。
低空の連続ワープ移動でジグザグ移動しながら一瞬で敵に近づいたり、スローモーで銃撃に対応したり、華麗なジャンプ斬りや壁走りを決めたり、ものの数秒で次から次へと敵を倒していけるようになると、脳汁が出る面白さがある。アニメや映画のヒーローのような超人的なアクションをVRで自分が体験できる。ゲーム的な効率を求めるのではなく、自分のアクションに酔うもの。
このハイスピードなスタイリッシュアクションはVRの未来を切り開く可能性を感じた。上記したような「ちょっとこのゲームは動きが激しくてVR化は難しそう」と思えていたゲームが一気に近づいた感がある。
Steam版は89%(1,063件)が好評、メタスコアは78点(12件)という一定の評価を得ていますし、それだけの力は感じます。評価の多くは古いバージョンの時のものでしょうし、今はアップデートによってこの点数以上の物になっているでしょう。
PSVR版のメタスコアは件数が少ないですが84点(4件)。
日本語対応は限定的Ver1.02で日本語削除
初回起動時はPS4本体のシステム言語に合わせてゲームも日本語対応でした。しかし、オプションの言語メニューに日本語はなく「言語」を選択した時点で英語になって日本語に戻せなくなる。それだけなら「言語」を選択しなければ回避できるのですが、2回目の起動時に勝手に英語になって戻せなくなる。ストーリーを日本語でプレイしたいなら、初回起動時に一気にクリアするのが無難。Ver1.02で日本語削除
10月17日に日本版がリリースされるようなので、日本版を待ったほうが良いと思う。それまでに最適化が甘いところが改善されると良いです。