PS5の恩恵を受けた正統進化の『バイオハザード ヴィレッジ』

ゲームの概要・感想

2021年5月8日(土)にリリースされた『バイオハザード ヴィレッジ』の感想。

PS5版として

SIEとの繋がりの強さを感じるだけあり、ファーストタイトルばりにPS5の機能を生かしています。

超高速ロード

体験版で凄さを感じていた超高速ロードは製品版でも健在。
タイトル画面からセーブデータをロードし、2.5秒程度の自然な暗転ですぐにプレイアブル。プレイアブルになった後、「ロード待ち」は一切感じない。多数のマルチの中でPS5だけ「Loading…」画面がないのは別格。

これぞPS5が提唱したロード待ちのないゲーム体験の実現。
AAA級ゲームで、これが実現できたのは感激する。

高難易度だと死にやすいですが、死亡時のリトライも速い。
そして周回するのが楽しいゲームですから、スキップの快適さも有難い。
セーブも一瞬なので驚かされる。
超高速ロードの恩恵を受けまくっている。

3Dオーディオ

現行機はグラフィックよりもオーディオの進化を感じる世代。

『バイオハザード ヴィレッジ』の3Dオーディオは極上中の極上であり、もう3Dオーディオ非対応のホラーゲームには戻れなくなりそうなほど。

冒頭からいきなり「音」を見せまくってくる。
薄暗い雪山を歩き、視界が悪い中で音を使って恐怖をかき立てる。右後方上から雪が崩れる音が聞こえて、そっちを見ると雪が崩れ落ちる。離れた位置から聞こえる獣の唸り声、距離と方向が直感的にわかる正確な音の位置表現に衝撃を受ける。
城で追いかけられる場面でも足音の位置が正確なので、リアルでもあるし攻略的にも活用できる。

音を聞かせるというか、もう「音を見せる」というレベル。暗くて見えない部分や視野の外の世界を音で描けている。

ハプティックフィードバックとアダプティブトリガー

ハプティックフィードバックとアダプティブトリガーは銃撃とリロードで使われています。定番中の定番ですね。

L2で銃の重さが感じられるのは他のTPS・FPSにはなかった部分。ハンドガンとマグナムの重さの違いが感じられて良い。R2トリガーもマグナムは特別に重い。重いマグナムから強烈な一発が発射される感覚が良いのです。
競技的ゲームの効率として考えると不要なのですが、シングルプレイゲームが好きな私としては、こういう体験の濃さがとても嬉しい。

フルオートじゃなくて連射しにくい武器も多いので、そこでR2がスカスカになる場面は違和感を覚えるが、連射可能なタイミングを覚えれば対応できる。
撃てない時はR2をスカスカにするんじゃなくて、『Mortal Shell: Enhanced Edition』のスタミナ切れした時みたいにR2を硬くしたほうが扱いやすかった気もする。

アクティビティカード

ホーム画面のアクティビティカードからセーブデータをロードできます。ホーム画面→オートセーブの注意画面→追加コンテンツチェック→プレイアブルという具合。
マーセナリーズも対応していて、ホーム画面→オートセーブの注意画面→追加コンテンツチェック→マーセナリーズのタイトル画面という具合。
超高速ロードの効果もあり、起動が速い。

現状、これがアクティビティカードの一番有用な使い方です。

ゲームヘルプ

ゲームヘルプに対応していました。
でも、この機能やっぱりイマイチですね。多くの人がゲームヘルプに対応していることに気付きもしないと思う。
ユーザーが認知しないので、今後ますます使われなくなっていくと思います。

『アストロプレイルーム』のような、収集物回収の動画だけは便利。

グラフィックとフレームレート

グラフィックは素晴らしい。特に背景グラフィックは、もうここで進化が止まってもいいと思えるほど。頭打ちに近くなってきていて、例えばPS6がこれ以上のグラフィックになるとしても、もうそこでは強い魅力は感じにくいと思う。
体験版の感想でも書きましたが、単なるフォトリアルじゃなくて、絵画のような雰囲気が良いです。絵が語るような場所がいくつもある。

フレームレートはレイトレーシングOFFだと60fpsで安定。ONだと通常は60fpsですが、処理が重くなると55fpsくらいに落ちたり、たまに50fpsを割るようです。

Resident Evil: Village | PS5 – Xbox Series S/X Final Version | In Depth Framerate Analysis with RT

私はレイトレーシングONで不満なくプレイできています。

サイズ
  • PS5: 27.56GB
  • PS4: 30.01GB

本来、PS5版のほうが低サイズというのは驚くべきことなのですが、もはや慣れて当たり前に感じてしまい、「意外と差が少ないな」と思ってしまうほどであります。

ゲームの感想

『7』の正統進化

ざっくり言えば『バイオハザード7 レジデント イービル』の正統進化。
大きく変化を感じる部分はなく、超大型DLCと言えるくらいですが、今回は上記したハード面での進化の恩恵を受けており、強化具合に感激できる。

イーサン・ウィンターズのストーリー

衝撃的なオープニング、その真相が明らかになるクライマックスとイーサン・ウィンターズの選択。驚きあり感動ありでした。ストーリーは前作より良かったというか、大長編だからこその深く描ける強みがありました。

ベタな展開でもあり、そのベタな展開にもっていくための強引な設定もありますが、個人的にはあまり気にしない部分なので素直に楽しめた。
と言うか、最近の大作はテキストがめちゃくちゃ多くて設定の作り込みに感心するけど、肝心のストーリー展開は地味でそんなに楽しめないゲームが多いという印象もありますから、強引でも大胆な展開のあるゲームを求めています。
『バイオハザード ヴィレッジ』は少ないテキストでわかりやすく、ゲームとしてはこういうスタイルのほうが良いと思う。

前作で「おかしいだろw」と言われていた部分が実は布石になっていたのが面白い。

地味な印象だったイーサン・ウィンターズですが、2作をがっつりプレイし、『7』はVRで本人体験もしたことによって、いつの間にか思い入れが強くなっていたんだなぁとも感じた。これはゲームをプレイした人にしか味わえない大長編ゲームならではの部分。

前作は『バイオハザード7 レジデント イービル』で今作は『バイオハザード ヴィレッジ』。タイトルの中にVIIとVIIIを隠しているのは同じ仕掛けですが、今作はナンバリング『8』がありません。
もしかしたら『VII.I.AGE』は『7.1』を表しているのかもしれない。
カプコンが単にナンバリングを使わない方針になっただけか、『8』かと思わせておいて実は『7.1』だという仕掛けか。

周回が楽しい

『バイオハザード7 レジデント イービル』『バイオハザード RE:2』『バイオハザード RE:3』らと同じく、周回を楽しむ構造のゲームです。

1周目は意識して探索しても10時間前後かと思います。最速クリアを目指しているような配信者で7時間くらいでした。
2周目は急いでなくても答えを知っているので5時間台でした。
装備を引き継いでカジュアルでクリアを一直線に目指して2時間4分でした。この時はルート間違いをしていましたので、スムーズにいけば2時間切れるんじゃないかと思います。

いわゆる「New Game+(強くてニューゲーム)」があり、武器・アイテムと所持金を引き継いで2周目がプレイできます。しかも、EXTRA CONTENT SHOPで武器追加や無限弾も可能。
難易度も自由に選択でき、カジュアルで強化してから、次の周で強化を引き継いでハードコアに挑戦するのもアリ。
ちなみにEXTRA CONTENT SHOPで一番最初にアンロックしたいのはドラグーン+弾薬無限化ドラグーン。強力なアサルトライフルであり、ザコにもボスにも効果的ですし、別パートでも弾薬無限化は有効。その後に、火力を求めてS.T.A.K.E.を最大強化させて弾薬無限化。

攻略を煮詰めていく楽しさだけじゃなく、強化ゲーの楽しさがあり、周回しながら強くしていく作業にハマってしまう。この2重の魅力が強いモチベーションとなり、私は5周目に入りました。

アタッシュケースの荷物管理システムも、本領発揮するのは周回プレイ。1周だけだと意味を感じにくいですが、3周を超えてきて武器の強化を意識すると、使わない弾薬を売ったり一時的に武器を売っておく必要がある(買い戻せる)。
全ての武器強化が終わって弾薬無限化も導入すると、弾薬が不要になります。そこまで到達するとアタッシュケースをスカスカに出来て、やり込んだ末の達成感と開放感が心地良い。
これに関して、1周目で余裕がありすぎるのはセンスが良いと思う。昔のバイオなら荷物管理も定番だったけど、だからと言ってそれをそのまま引き継ぐのは思考停止に近い。現代のゲームにおいて、持ち物の制限は喜ばれにくいと思うんですよね。そこを見極めて、バイオ4らしいアタッシュケースは導入するけど、1周目のプレイで持ち物制限のストレスを与えないという判断はセンスが良い。実際、アタッシュケースを小さくしろという不満はほぼないでしょう。制限が厳しいかと思ってたけど拍子抜けだった、という感想はあると思うけど。
カプコンは『モンスターハンター:ワールド』も過去作から洗練されましたね。長く続くシリーズで定番として定着しちゃっているシステムだけど「それ現代で求められてる?」「面白い?」と考え直して遊びやすくなっている。

そして今までの『バイオハザード』シリーズに無かった超高速ロードも周回プレイとの相性が抜群。

発売前に「シリーズで比べても屈指のボリューム」という記事を見て逆に不安でもあったんですよね。1周を中途半端に長くしないでほしいという思いがあった。実際、そこの問題はなく丁度良いボリュームでしたし、やはりPS4以降の『バイオハザード』は周回プレイが真骨頂だと思った。
今回もこれが軸としてがっつりあるし、実際にハマっちゃったから大満足。

唯一、ホラーパートのような場面だけは周回時に作業になっちゃうのが難点。1周目はサバイバルホラーのホラー担当として超重要な存在なのですが、繰り返しプレイするとなるとホラーパートは怖くなくなるし作業的になる。
欲を言えば、周回プレイでオープニングとホラーパートをカットできると楽しさの密度が上がって良いと思う。

ホラーとアクション

上記したホラーパートは、バリバリのザ・ホラーゲームになっております。今回、各エリア毎に趣向が違うのにも気付く。古き良きバイオのような広い建物内を探索し、追跡者に追われつつ謎を解いて進んだり、バリバリのホラーだったり、ワラワラと敵が出て戦闘メインだったり。

どれもバイオハザードらしいエッセンスがあり、バランス良く楽しめますが、どれか1つの要素が好きな人には中途半端さを感じるかもしれない。

親切設計と安定感

マップを見るとアイテムの取り逃しがあるかどうか一目でわかります。財宝の場所まで載せてくれちゃう。
めちゃくちゃ親切でもあり、やりすぎかと思うところもあるほどなのですが、じゃあ「次回作でこのシステムなくしたほうがいいですか?」と聞かれたら、なくさないでほしいと思うので良いのでしょう。

リトライポイントが細かかったり、商人のデュークがいたるところにいたり、小骨を取ってくれている現代的な親切設計という印象。

さらに細かいところを言うと、敵から逃げるシーンが何回かある中で、死亡したことがありません。逃げるハラハラ感は毎回感じているけど、終わってみると簡単だったと気付く。これは良い設定で、こういう場面で死んでリトライを繰り返すとハラハラ感のない作業になります。ホラーは殺さないでギリギリまでハラハラさせるのが大事だと思うから、センス良し。殺さないで痛めつける拷問のプロみたいなセンス。
死にゲーではなく、命が重いからこそそれを失うかもしれない恐怖がある。

不親切な部分は目立って騒がれますが、こういう親切さは自然に受け入れて意識しにくいですから、目立たないけど地味に良い部分。
それは不具合に関しても同じ。『バイオハザード ヴィレッジ』は4周目までで1つの不具合にも遭遇しなかった。もはや大作ゲームはロンチで多少の不具合は当たり前という感じにもなっている中、この安定感は素晴らしい。

VRと『7』のPS5版が欲しい

今回、最大の物足りないポイントはVRに未対応なこと。これはPS5版ゲームがVRに対応していないから仕方ない。でも『7』のVR版が超絶素晴らしかったので、続編としての物足りなさは感じてしまう。
ただ、ゲーム自体はVRを意識していそうというか、VR対応しやすそうな作りに見える。PS5VRが出た時に『バイオハザード ヴィレッジ』のVR対応もあるんじゃないかと期待しておきます。

そして『バイオハザード ヴィレッジ』のPS5版としての魅力が大きいので、『バイオハザード7 レジデント イービル』もPS5版にアップグレードしてほしいと思いました。これもPS5VRに対応してくれれば最高ですね。

PS5の恩恵を受けた正統進化

前作が面白かったので、その正統進化である『バイオハザード ヴィレッジ』も楽しめました。ハードがアップグレードされた部分での魅力が大きいですね。特に超高速ロードと3Dオーディオは本物の次世代感を味わえた。

正統進化ゆえにハード面の進化以外では新しい刺激に欠けますが、そもそも前作が良かったので、同じ主人公の続きのストーリーであるなら正統進化という選択は正解だと思います。

『バイオハザード ヴィレッジ』と『リターナル』、どっちが個人的GOTYかと言われたら悩みますね。まぁ個人が無理に決める必要もなく、立て続けに素晴らしいゲームをプレイできたことを喜ぶのみ。

コメント

  1. 肉太肥盛 より:

    よく購入の参考にさせて頂いております。
    「7」はまだ途中ですが、ホラーパートの優しさはさながらお化け屋敷のキャストのようでトレイラーの「イーサン」連呼と相まってもはやアトラクションにしか思えませんでした(笑)
    親切過ぎるマップも作り手の心情的には複雑だったかもしれませんが英断だと思います。
    「料理」がサウンドだけだったのは変なところに力を入れるカプコンにしては意外でした。MHWのようにデュークのムービーぐらいは予想していたのですが。

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