「ARCADE IS DEAD」から生まれた『Returnal』

ゲーム雑記

ツインスティックシューティングの良作を連発していたHOUSEMARQUEが、それらの販売不振から「ARCADE IS DEAD」と宣告して生まれたのが『Returnal』。

ツインスティックシューティングの良作を連発

  • MATTERFALL – 72点
    2017年8月15日
  • NEX MACHINA: DEATH MACHINE – 88点
    2017年6月20日
  • ALIENATION – 79点
    2016年4月26日
  • RESOGUN: DEFENDERS – 85点
    2015年2月17日
  • RESOGUN: HEROES – 86点
    2014年6月24日
  • RESOGUN – 84点
    2013年11月15日

HOUSEMARQUEは、PS4で上記のゲームをリリースしました。点数はメタスコア。
PS3では『Super Stardust HD』や『Dead Nation』をリリースしており、ツインスティックシューティングの良作を連発しています。

「ARCADE IS DEAD」

メタスコア80点以上が当たり前で、つまずいても70点台。そんな優良ソフトメーカーのHOUSEMARQUEですが、2017年8月21日に公式ブログで「ARCADE IS DEAD」という衝撃的な記事を投稿しました。『NEX MACHINA: DEATH MACHINE』がメタスコア88点という高評価を受けた直後なので絶好調かと思いきや、スタジオは変化を求められたようです。

数々の賞を受賞し、高い評価を得ているにもかかわらず、私たちのゲームはあまり多くの数を販売していません。
今は新しいジャンルに移行する時期です。『NEX MACHINA: DEATH MACHINE』の販売が振るわなかったことから、私たちは、長年取り組んできたアーケードゲームというジャンルに終止符を打つべきだと考えました。
HOUSEMARQUEは業界に合わせて前進する時期に来ています。したがって、『NEX MACHINA: DEATH MACHINE』と『MATTERFALL』は、我々のスタジオから出る最後の作品となります。

HOUSEMARQUEの集大成と言えるような傑作『NEX MACHINA: DEATH MACHINE』が、超高評価を得ながら販売不振だった事で、アーケードゲームというジャンルに終止符を打ったと。

『Returnal』
次のプロジェクトに向けて、私たちは皆さんが期待しているものとはまったく異なるものを模索していますが、これがより魅力的なゲーム体験の創造につながると信じています。私たちの基本的な価値観は変わりません。ゲーム性を第一に考え、最高の実行力を持つことです。我々は、新しいプロジェクトに非常に興奮しており、HOUSEMARQUEの新時代からの最初のゲームを発表することを楽しみにしています。

【追記】『Stormdivers』が先に発表されて、座礁したようです。

Stormdivers – Gameplay Footage, August 2018

という背景があって完成した『Returnal』が2021年4月30日(金)にリリースされます。HOUSEMARQUEにとっては「評価が高いけど売れない」では、もうダメなんですよね。それだとアーケードゲームに終止符を打った意味がなくなってしまう。長年培っていたジャンルで固定ファンもいたけど、売れないから別方向に舵を切った。新時代の成果は評価だけじゃなくて売上もないと意味がない。

売上も求めてアーケードゲームに終止符を打ったのに、『Returnal』で魅力が弱そうな主人公にしたのは豪胆というか、HOUSEMARQUEらしいというか。ジャンルは変えても、お色気とかで売りに行かないのはブレないところ。

ジム・ライアン体制

ツインスティックシューティングの良作を作っていたけど、セールス的には問題があったHOUSEMARQUE。そこを支援して大きなプロジェクトを任せるという決断は、なかなかに刺激的だと思う。
現時点では成功か失敗かわからない。ただ、ワクワク感はある。

『Returnal』はジム・ライアンが社長に就任する前に始動していたでしょうけど、ジム・ライアン体制でこういうゲームにOKを出すかな?と、ふと考えたりもする。
ジム・ライアンが社長に就任したのは2019年4月1日。ジム・ライアン体制で生まれたゲームは今年の後半以降に顔を出すかもしれませんが、『Returnal』のような面白い挑戦を見たいものです。

ワクワクさせられるか

PS3で『アフリカ』というゲームが話題になりました。リリース後、ゲームとしてはイマイチでセールス的にも失敗に終わったかと思う。しかし、こういうプロジェクト自体は無駄ではなくて、「なんか面白そうなもんを作ってるぞ」「なんだこれは?」というワクワク感を与える事も大事。これはレトロゲームの復刻とか古いIPの復刻も同様かもしれない。『シェンムー3』もワクワクさせたが、リリース後は評価も売上も振るわなかった。ただ、発表時に強烈なワクワク感を与えた。「騒ぐだけで買わねーじゃねーか!」という話でもあるけど、ゲーム機というエンターテイメントの塊にとって、「面白いことになりそうだぞ」とコミュニティをワクワクさせること自体がとても大事でもある。特にSNSが全盛の現代では。
JAPANスタジオのゲームは売れてなかったから、解体という判断は数字上は合理的でもあるけど、ユーザーのワクワクをぶった斬って寂しい気持ちにさせた側面もある。
ゲームアーカイブスもそうかな。これ自体の売上は小さいと思う。でもこういうコアユーザーの思い入れの強いものを斬り捨てちゃうと、コミュニティを冷ましかねない。

数字にすぐ表われるものではないユーザーやコミュニティのワクワク感と熱量。これを刺激するセンスがジム・ライアン体制にあるか?ジム・ライアン体制において、ワクワクできるような新しいゲームが生まれるかどうかが、今後の発表における注目点。
Jade Raymond氏が設立したHaven Entertainment Studios Inc.に出資したり、Firewalk Studiosとマルチプレイヤーゲームの新規IPにおけるパブリッシングパートナーシップ提携したり、新しい動きもあるようですので、コストを削るばかりの人ではないと思います。……日本向けとなると弱いかもしれないですが。

近年、ゲーム実況がめちゃくちゃ巨大になり、SNSでもゲームの話題が多く、当たり前のようにデマが広がって定着するほど。ゆえに、ゲームの評価と売上だけじゃなく、上記したワクワク感のようなものを刺激するセンスも強く求められてくるんじゃないかと感じています。悪い言い方をすると「買わない奴の声がデカイから注意」とも言える。
この点、昔のSCEはワクワク感を生み出すのが上手かったんじゃないですかね。

いつものように話が逸れましたが、アーケードを愛したデベロッパーが「ARCADE IS DEAD」と宣告して生み出した『Returnal』。「別方向に舵を切った」と書きましたけど、ローグライクTPSになってもHOUSEMARQUEらしさは残っているように見えますね。そのあたりの触り心地も楽しみです。

コメント

  1. 匿名 より:

    DL版購入済です。ニーアレプリカントも出たし、弾幕が流行るかも?
    ニーアをプレイして、弾幕を避けたり破壊したり結構楽しいのに気付いちゃった

  2. nana より:

    Returnalの前に発表され、ベータ版が大不評で凍結されたStormdiversというゲームもありましたよ

    • Hamasukei Hamasukei より:

      情報ありがとうございます。
      売上を求めてバトルロイヤルに手を出して失敗するというのは、クリフBの『Radical Heights』を思い起こします。

      HOUSEMARQUEがそこで思い止まって『Returnal』が文字通り起死回生の作品になっているかどうか、ますます楽しみになりました。

  3. 匿名 より:

    リターナルが面白い大作ゲームだといいですね。

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