2021年1月28日(木)14:00から『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』のPS5版が配信されました。基本無料です。
PS5版にアップグレードする意味
公式サイトに「あまり期待値が上がりすぎても困っちゃうので、まず最初にお伝えしておくと基本的に、内容はPS4版と同じです!!すでにPS5本体でPS4版バトオペ2が遊べる状況ではありますが、PS4版のままではPS5の機能が使えない事もあり、改めてPS5版としてリリースすることとなりました。」と書いてあります。このメッセージは大きな意味があると思います。
インフォメーション | 【PS4】機動戦士ガンダム バトルオペレーション2 | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
PS5には後方互換機能があり、PS4 Pro2みたいな状態でPS4版ゲームの解像度やフレームレートの向上に対応する事も可能。そのため、従来の感覚であればPS5版にアップグレードする事に疑問を持つ人も少なくないと思う。このメッセージの中にある「PS4版のままではPS5の機能が使えない」というところが重要で、実際に『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』はPS5ならではの機能を見せている。
DualSenseの機能
- ハプティックフィードバック
PS5版では振動データを一新。PS4版と比較してより繊細でプレミアムな振動を体感できます。
兵装カテゴリ(マシンガンやビームライフルなど)に応じた振動パターンの追加も行っています。 - アダプティブトリガー
L2ボタンまたはR2ボタンで入力時、「現実の銃の引き鉄を引くときの負荷を模した」抵抗が各ボタンに発生。
また、ノックバックのような衝撃も付与されている兵装もあり、より高い次元の臨場感を味わえます。 - コントローラー内蔵のスピーカー
テレビからだけではなく、手に持つコントローラーから発射音が発生。
DualSenseの機能はPS5の特徴として非常にわかりやすい。
BEAM SMART GUNでは、押し始めからR2の圧が重く、強力な武器を発射する感がある。BEAM CANNONはR2が2ステージ・トリガー。VULCAN GUNでは連射される弾に合わせてR2の反動があり、弾切れ時のスカスカ感も良い。武器種による違いが楽しめる。
高速ロード
- ロード時間を短縮
一部のゲームプレイでのロード時間が高速化します。
残念ながら最も重要な「出撃時のロード」に関しては、全プレイヤーで同期を取らなければいけない関係上、劇的に早くなることはないのですが、1人でプレイするモードであればその早さを体験できます。
バトルシミュレーターのTRIALソロプレイで、ミッション出撃前のロードが、
- PS4版:16.03秒
- PS5版:5.35秒
「PS5版にアップグレードする意味」を考えた時に、高速ロードは誤解されやすい部分があると思う。“魔法のSSD”や“超高速SSD”などと言われて、SSD自体が高速だと思われていると、PS4版ゲームでも高速ロードになると誤解されがちですし、実際にPS4(HDD)やPS4 Pro(HDD)よりは高速だから紛らわしい。
SSD自体もそれなりに速いですが、PS5はカスタム・デコンプレッサーの存在や統合されたカスタムI/Oによって高速ロードを実現しており、PS4版ゲームを後方互換でプレイしても従来のHDD→SSDに毛が生えた程度の速度向上効果しかない。PS5版ゲームにアップグレードして初めて高速ロードの土俵に上がった状態で、さらにそこから最適化具合によってソフト毎の差も大きい。
今回の『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』のロード時間も、同じPS5本体での比較でPS4版が16.03秒、PS5版が5.35秒ですから、大きな差があります。なのでロード時間の差だけで考えても、PS5版へのアップグレードを望む。
メニュー画面がサクサク
高速ロードはロード画面の待ち時間以外にも効果があります。MSのカスタマイズ画面で、PS4版はMSが表示されるまで2秒くらい待つ時もありますが、PS5版は瞬時。メニュー画面のサクサク感は、他のゲームでも重要になる。
容量削減
PS5版は15.38GB、PS4版は24.43GBです。
ゲーム容量の肥大化は近年の問題の1つですが、PS5は容量削減に成功しています。
それを可能にしたのは『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』による驚異の圧縮率。
SDK | データ圧縮比 |
---|---|
Zlib | 1.64:1 |
Kraken | 1.82:1 |
Zlib + Oodle Texture | 2.69:1 |
Kraken + Oodle Texture | 3:16.1 |
これらのツールを開発しているRAD Game ToolsがEpic Gamesに買収されたのは2021年最初の大きなニュースでした。PS5にとっても非常に良い事だと思います。PS5は『Oodle Kraken』専用のハードウェアデコーダー(デコンプレッサ)が搭載されています。SIEとRAD Game Toolsはライセンス契約を結んでおり、PS4とPS5向けのゲームに同社のツールを使用しやすい環境になっている。SIEにとっては、ゲーム業界全体に『Oodle Kraken』や『Oodle Texture』が広がってくれた方が都合が良い。
RAD Game ToolsがEpic Gamesに買収された事で、『ファイナルファンタジー7 リメイク』や『ドラゴンクエスト11』でも使用された、世界一の高性能な汎用ゲームエンジンと言える『Unreal Engine』に、RAD Game Toolsの『Oodle Kraken』や『Oodle Texture』が組み込まれるとなると、爆発的に普及しそうであります。
フレームレート
- フレームレートの向上
PS5版はゲーム全体のフレームレート(動きのなめらかさ)が向上しています。
具体的な数値は不明ですが、フレームレートが向上したとのこと。
謳っていないので120fpsには対応していないと思われる。
PS4版をPS5向けアップデートするよりも、PS5版にアップグレードしたほうがフレームレートも向上させやすいかは気になるところ。カスタム・デコンプレッサーの存在や統合されたカスタムI/Oがフレームレートに影響するなら、高速ロードと同じくフレームレートもPS5版が優位なはず。
PS4版はPS5のレガシーモードを使用して動かしているので、おそらく上限は60fpsだと思う。PS4やPS4 Proが120fpsに対応していないのに、レガシーモードで対応しても意味がなさげと言うか、不具合の原因にもなりそう。なので120fpsを目指すなら「PS5版にアップグレードする意味」が生まれるんじゃないでしょうか。
セーブデータとマッチング
- セーブデータの共有について
同一のPlayStation Networkのアカウントであれば、必要な手続きなくPS5版とPS4版でセーブデータを共有できます。 - マッチングについて
PS5版とPS4版でマッチング可能です。
特別な操作は必要なく、PS5版を起動したらPS4版のセーブデータが引き継がれていた。『Warframe』や『Mortal Kombat 11』も同じパターンでした。
『No Man’s Sky』『ボーダーランズ3』『Marvel’s SPIDER-MAN(スパイダーマン)』らは、PS4版ゲームを起動してゲーム内でアップロードし、PS5版を起動してゲーム内でダウンロードするシステム。
PS4版は×決定に対応
PS5版は×決定ですが、PS4版も×決定に対応しています。PS4のシステム設定で「×ボタンで決定する」にチェックをいれると×決定になります。
2019年以降に発売されたPS4ゲームは、ほぼ全てのゲームが×決定に対応しています。
『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』は2018年7月26日にPS4でサービス開始されましたが、2019年8月29日のアップデートで×決定に対応していました。
PS4版と交互にプレイする事はあまりないと思いますが、いずれPS5を購入するなら×決定に慣れておいがほうが良いです。私もPS4の時から本体システムを「×ボタンで決定する」にしていたので、スムーズに移行でき、PS5の決定ボタン統一の有難味を感じています。UBIのゲームは統一されていないようですが。
トロフィー
全てのPS5版ゲームはPS4版とトロフィーが別枠です。
『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』も、PS4のデータを引き継いでもPS5版のトロフィーは0%から。
『No Man’s Sky』『Marvel’s SPIDER-MAN(スパイダーマン)』らはPS4版でトロフィー100%のデータを引き継ぐと、PS5版のタイトル画面で全てのトロフィーが同期されてPS5版もトロフィー100%になりましたが、『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』はトロフィーの同期はしませんでした。チュートリアルで獲得できるトロフィーが、データ引き継ぎプレイだと獲得できなくなる可能性があるんじゃないかと思います。
PS5版とPS4版のトロフィーが別枠なのも「PS5版にアップグレードする意味」になる。
ここは好みが分かれるところで、またPS5版で0%からトロフィー獲得できる事を喜ぶ人もいれば、データ引き継ぎで同期して一気にトロフィーレベルを上げたい人もいれば、1つのゲームで100%になった状態に満足感を感じていてリセットされるのが嫌な人もいるんじゃないかと思う。
グラフィックに縛られない
グラフィックに関しては言及されておらず、基本的にPS4版と同じかと思います。これがとても面白い事象。従来なら、ゲームハードの進化と言えば真っ先に「グラフィック」がありましたが、PS4→PS5においては最重要ってわけではない。グラフィックが旧世代のままでも次世代の体験がある。特にDualSenseの機能と高速ロードは象徴的。
PS5の特徴として、アクティビティカードとゲームヘルプもあるのですが、これらはあまり機能していないように感じる。ゲームヘルプは『アストロプレイルーム』などSIEの初期タイトルで使われた後、廃れていきそうな気がする。アクティビティカードは、各モードのダイレクト起動として定着されれば良さげなのですが、こちらもイマイチ使っていない。
PS5の特徴として忘れちゃいけないのはTempest 3Dオーディオ技術。これは最近だと『MAIDEN』で凄さを感じた。
3Dオーディオ機能は基本的にすべてのゲームで楽しむ事ができるが、ゲームが最適化している場合は特に深い体験が味わえるとの事なので、最適化しているゲームとそうでないゲームで大きな差がある。『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』は特にアピールされていないので最適化されていないと思う。
従来の「グラフィック」に縛られず、PS5版にする意味を理解している『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』のPS5版アップグレードは嬉しかったですね。
グラフィックはPS4版のままで、Tempest 3Dオーディオ技術に最適化していなくてもPS5版の魅力はありますから、他のゲームも積極的にPS5版にアップグレードしてほしいです。ついでに2018年以前のPS4ゲームは×決定に対応してほしい。
新作ゲームが少ない時期ですから、PS4→PS5のアップグレードを楽しみやすい時期。2/2には『CONTROL アルティメット・エディション』、2/4には『仁王』『仁王2』のPS5版がリリースされますので、違いを体験するのが楽しみです。