PS5と相性が良い『DiRT 5 (北米版)』

ゲームの概要・感想

2020年11月12日に北米Storeで配信された『DiRT 5』($59.99)の感想。日本語は非対応です。

カジュアルなラリーレースゲーム

『DiRT 5』はシミュレーター系かと思いきや、かなりカジュアルなラリーレースゲームでした。アクセル・ブレーキ・ハンドリングのみで勝負するシンプルなドライビング。ニトロもないし、チューニングもない。覚える事は少なく、難しい事も一切なしで、100円入れてすぐにレースで熱くなれるアーケードゲームっぽい。

『DiRT RALLY 2.0』が2020年4月のフリープレイになっていましたので、プレイした人も多いと思いますが、これと比べても『DiRT 5』は圧倒的にカジュアル。

個人的には、このカジュアルさが最高でした。車体の制御がしやすくて、ドリフトも簡単。コース幅も広いところが多くて、初めてでも気持ち良くドライビングしやすい。シミュレーター系のラリーレースは敷居が高いので、アーケードゲーム感覚で爽快にドライビングできるのが嬉しい。
逆に言うと、シミュレーター系のラリーレースゲームがやりたい人には合わないと思います。

触感フィードバック+アダプティブトリガー+“Tempest” 3Dオーディオ技術

このゲームはSIEがマーケティングするべきだったとすら思います。PS5の感想を書いた時に、SIEの3タイトル以外で名前を出したのが『DiRT 5』でした。PS5との相性が良いゲームです。
MSが優先的にマーケティングしていたゲームですけど、PS5版の出来が良くて、マーケティングしているほうを贔屓しているとか、そういうのはないです。むしろPS5の機能をしっかり生かした仕上がり。

Dirt 5: PS5 vs Xbox Series X/ Series S Comparison + Performance – Every Game Mode Tested!

PS5の大きな特徴である触感フィードバックとアダプティブトリガーの相性が良いです。アダプティブトリガーでアクセルを踏んでいる感覚があるし、微妙な動きにも細かく対応している。車が跳ねた時にL2R2が反発するのも上手かった。バウンドで足が跳ねるような感覚。触感フィードバックのようにアダプティブトリガーを使っている。

触感フィードバックではエンジンやギアチェンや路面の感覚が伝わる。でもこれ単体で機能していると言うより、触感フィードバック+アダプティブトリガー+“Tempest”3Dオーディオ技術が三位一体となって機能しているのが素晴らしいところ。もしかしたら普通の振動かもしれないところでも、アダプティブトリガーと音が錯覚を引き起こさせて「その触感」だと感じてしまう効果がある気がする。これは他のゲームでも感じた事です。グラフィックも含めて、連動させて錯覚させるのが重要だと思いました。こういう錯覚の起こさせ方はVRゲームにもある。

極上の車内視点

触感フィードバック+アダプティブトリガー+“Tempest” 3Dオーディオ技術が生きまくっている極上の車内視点プレイが最高です。

最初に車内視点に切り替えた瞬間は「見にくい!見にくすぎる!」という感想でした。でも車内視点独自の音が良かった。車体に当たる雨音、ライバル車が水溜まりを踏んで飛んだ水が自車に当たる音、タイヤが小石を飛ばす音、繊細な音の表現をしばらく聞いていたくなり、そのまま続けていたら意外と普通にドライビングできるようになっていた。
そしてPS5の三位一体の機能がめちゃくちゃハマっていて感激した、これは凄いものだぞと。VRに近いと言うと言いすぎですが、本当に車内にいるような没入感とシンクロ率を生み出している。画面に映っている映像の感触が実際に手元で感じられるという効果は大きい。前世代にはなかった音と感触の力でゲーム体験レベルが上がるというのを実感した。

これが最大のポイントであり、ゲームチェンジャーとなる。このゲームはPlayStationでいう『モーターストーム』のように豪快かつ爽快にドライビングする気持ち良さが魅力。でもグラフィックや挙動を良くするだけでは、進化の幅が狭くなっていた。「今までとあまり変わらない」という行き詰まりを感じそうな中、触感フィードバック+アダプティブトリガーがドライビングする気持ち良さの新たな評価軸を生み出した。従来からあった「音」も進化し、それに見事にハマった。
ドライビング以外のゲームでも「動かす楽しさ」は重要で、その楽しさを増強する要素となっている。

これが標準コントローラー

従来のコントローラーに加えた機能というのも凄いところ。新しいものを生み出そうとすれば、今までとはまったく違うものを考えがち。それはそれで面白いけど、一過性のブームは生み出せても定着は難しい。ビデオゲームに定着していて、もはや進化は望めないと思っていたコントローラーにおいて、ゲームチェンジャーとなる機能を実装したのは凄い。今まで通りのコントローラーとしても使えるうえに、新たな体験も提供している。

レースゲームにおいては、ハンドルコントローラーが最もリアル。でもそれなりの体験をしようと思ったら4~6万円のコントローラーが必要になるし、置いておくスペースも必要。本気でそのゲームに打ち込む人以外は買いにくいものでした。
PS5では標準コントローラーの汎用的な機能で、ラリーレースゲームの没入感とシンクロ率が増すゲーム体験ができる。ここに次世代感がある。

今のところレースゲームとFPSで素晴らしい効果を感じています。コントローラーの機能を生かす事を考えたゲームじゃなくて、従来のゲームジャンルにコントローラーがフィットする事が大事です。
PS3の6軸操作、VITAの背面タッチ、PS4のタッチパッド、特にロンチでは新機能を無理に組み込んでイマイチなものを作りがち。触感フィードバック+アダプティブトリガーは従来のレースゲームとFPSにフィットしているので良いです。

ゲームモードは弱い

PS5と相性が良くて、気持ち良くドライビングできるゲームですが、ゲームモードは弱め。シングルプレイでは、キャリアモードでひたすらイベントレースを消化するという具合。ドライビングの楽しさはあるけど、それ以外のやり込みたくなる要素は弱い。
マルチプレイがあるので、オンライン対戦をする人なら違う印象になるかもしれない。

アーケードゲームのように気軽にプレイできるので、たまに起動してドライビングを楽しむという立ち位置が丁度良いかもしれない。となると$59.99は高く感じそうですから、お気に入りに入れてセールを待つのも良いでしょう。

超高速ロードではない

PS5の特徴である触感フィードバック+アダプティブトリガー+“Tempest” 3Dオーディオ技術の魅力が伝わりやすいゲームですが、超高速ロードではありません。

レース前のロード画面が5~15秒。5秒というのは1台でドライビングする時くらいですので、大抵は10~15秒のロード待ちがあります。PS4の時なら、このクラスのレースゲームでロード待ちが10~15秒というのはかなり速いですが、PS5ではSIEのゲームが高速ロードの基準を2段階くらい引き上げていますから、10~15秒は長く感じるようになった。

気になる不具合

11月16日にPlayStationとXbox向けのアップデートがありました。
DIRT 5 Patch 1.04 Available Now! For PS5 and Xbox (1.7gb): Patch notes here – Gaming News
Digital Foundryの比較動画でもバグの可能性が指摘されており、まだ安定性を欠く印象があります。次世代機のロンチに間に合わせなくちゃいけなかった事情も感じるところ。

車操作の期待が膨らむ

SIEに『モーターストーム』を復活させてほしいと思いました。PS5は、こういうゲームとの相性が良いです。本来なら『ディストラクション オールスターズ』がロンチで、触感フィードバック+アダプティブトリガーと車操作の相性の良さを見せる予定だったんでしょうけど、延期してPS Plusのフリープレイになりましたので、こちらはこちらで楽しみです。

『DiRT 5』はサードパーティー製のマルチタイトルでありながらPS5の次世代感を感じさせてくれた。デュアルセンスでプレイする『グランツーリスモ7』にも期待しますし、『グランド・セフト・オート』のようなオープンワールドゲームでも車の操作が楽しくなりそうです。

昔はロンチの顔だった『リッジレーサー』があると良かったとも思いました。

コメント

  1. 匿名 より:

    エヴォリューションスタジオ解体はとても残念でしたね…。
    モタストシリーズは2を友人から勧められてハマりました。当時SCEJは3の販促PVで古谷徹さんを起用し、それなりに宣伝に力を入れていたように思えましたが、震災で発禁…。PS3はリージョンフリーなので輸入版を購入し私は楽しく遊べましたが、無事に国内でも販売して欲しかったです。
    その後PS4で発売されたドライブクラブも購入しましたが、レースのルールが厳しくなったお陰でとても初心者の自分が楽しめる作品ではなかったです。
    チームが解体され、スタッフの大勢がコードマスターズに移籍した後に発売したonrushというゲームもチラッとトレーラーを見ましたが、自分の欲している物とは別物でした。 
    周回で変化するステージ構成・凄まじい物量、モーターストームこそPS5世代で見てみたかった作品でした。

    • Hamasukei Hamasukei より:

      PS3の発売前、E3 2005のトレイラーの時みたいなゲームがPS5では可能でしょうから、それを現実にしてほしかった気持ちがあります。

タイトルとURLをコピーしました