『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』が凄い

HDD・SSHD・SSD

改めて調べてみて『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』の凄さを知りました。

『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』

データ圧縮率が高くて解凍も速い。ゲームソフトの容量肥大化を抑制し、超高速ロードにも繋がるのが『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』の魅力です。

圧縮フォーマットがZlib(PS4)→Kraken(PS5)に

PS4で使用していた圧縮フォーマットがZlib(圧縮比1.64:1)。
PS5ではKraken(圧縮比1.84:1)にハードウェアレベルで対応。
これだけだとPS4(Zlib)→PS5(Kraken)では圧縮率が約10%向上(1.64→1.82)したに過ぎない。

ちなみにOodle Krakenの説明は「データの圧縮・解凍に利用するロスレスコーデックSDK『Oodle』における、高圧縮率と高速解凍を特徴とするコーデック」となっている。
PS5にはOodle Krakenのハードウェアデコーダーが搭載されており、ソフトウェアではなくハードウェアで機能するようです。1秒間に5GB以上をクラックし、入力データをフォーマットできるカスタムのデコンプレッサをI/Oユニットに組み込んだとのこと。従来なら解凍はCPUの負担になりますが、このデコンプレッサはZen2コアの9個分に相当するようです。

Zlib+BCPackがKrakenより優れているはずだという意見

2020年3月にマーク・サーニー氏が「PS5はKrakenに対応したよ」と話した後、元Valveの従業員であるRichard Geldreich氏が「ゲームで扱うデータの大部分はGPUテクスチャデータであり、Krakenはテクスチャデータを念頭に置いて明示的に設計されていない汎用システムである」「BCPackはGPUデータの解凍に焦点を当てるように設計されており、マイクロソフトの圧縮技術がPS5のSSD速度を上回る可能性がある」と述べていました。

結論としてRichard Geldreich氏は「I strongly suspect that BCPack combined with zlib will be stronger than just Kraken compression.(ZlibとBCPackを組み合わせることで、Kraken圧縮よりも強力になるのではないかと強く疑っています。)」と述べた。
Google Stadiaに携わる松田白朗氏も「(XboxのZlib+BCPackとPS5のKrakenとの比較について)なんでかって言うと、ゲームのリソースのマジョリティってほぼほぼテクスチャなんですよ。テクスチャが圧縮できるのは嬉しい」と述べていて、KrakenにおけるGPUテクスチャデータの問題を指摘していた。
Zlib+BCPackがKrakenより圧縮率が高いのでは?と言うのは、この時点ではおかしくない指摘であったと思います。
ゲーム系のニュースサイトやブログでも多く取り上げられていました。
BCPack Kraken – Google

Krakenに『Oodle Texture』を組み合わせて脅威の圧縮率

「ZlibとBCPackを組み合わせることで、Kraken圧縮よりも強力になるのではないか」という指摘への解答が『Oodle Texture』。Oodle Textureは、GPUテクスチャをBC1~BC7フォーマットへとエンコードするためのSDKであり、Richard Geldreich氏らが指摘したGPUテクスチャデータに関する問題を解決している。驚くべきは、そのデータ圧縮率です。

SDK データ圧縮比
Zlib 1.64:1
Kraken 1.82:1
Zlib + Oodle Texture 2.69:1
Kraken + Oodle Texture 3:16.1

KrakenとOodle Textureを組み合わせることで、データ圧縮率は脅威の3.16:1。
3.16:1というのは最大値でしょうけど、机上の空論ではなく、既にPC版『Warframe』がOodle Textureを使用して、容量を15GBも削減したとのこと。驚異の圧縮率を実感する数字です。これより優れたものがあるという指摘もないようです。
The Great Ensmallening – Developer Workshop & Update Notes – Warframe Forums
ちなみにPS4版は「41GBから22.6GBになります」と告知されていましたが、ダウンロードしてみたら37.29GBでした(Ver1.91)。

PC版『Warframe』が容量を15GBを削減したのはPS5にとって非常に大事な出来事。1440pや4Kが当たり前になるであろう次世代は、ゲームソフトの大容量化が進む。それを劇的に抑えてくれるのが『Oodle Texture』。もしこの技術がなかったら100GB超えが当たり前になっていたかもしれない。次世代機のゲームソフトの容量肥大化を心配していた人も、かなり安心できるのではないでしょうか。開発元のRAD Game Toolsに感謝。

脅威の圧縮率ですが、多少の品質低下を受け入れる必要があるのはデメリットと言える。ですが、RAD Game Toolsのサイトにあるラーメンの画像での比較を見ると、違いがわかりにくいので問題なさそう。動画ならなおさらだと思う。
Oodle Texture Compression

Oodle KrakenもOodle Textureも幅広く使用されている技術であり、PS5の技術というわけではない。上記しているようにZlib + Oodle Textureの組み合わせも可能(Krakenの効果には遠くおよばないですが)。
PS5はOodle Krakenのハードウェアデコーダーが搭載されていて、SIEとRAD Game ToolsがOodle KrakenとOodle Textureのライセンス契約を結んでおり、使用しやすい環境になっている。両社のパートナーシップも強力なようであり、他のプラットフォームと比べて大きなアドバンテージでもある。

マーク・サーニー氏はAMDともコラボレーションしたと述べていましたし、技術提供をしつつ、各社と協力しながらゲーム機であるPS5に最適な物を作っている感じです。
あと焦ってもいないですね。「KrakenよりZlib+BCPackの方が優れているのでは?」と話題になったのが3~5月で、6月にはRAD Game Toolsとライセンス契約を結んでいるのですから、その時に否定もできたはず。でも9月24日にRAD Game ToolsのプログラマーであるCharles Bloom氏が詳細を発表するまで黙っていた。噂やデマには反応せず、マイペースでやっているようです。

余談ですがAMDの発表も気になる

10月29日1時からAMDの発表がありますが、そこでも何かPS5に絡む内容があるかもしれない。マーク・サーニー氏は「PS5の発売とほぼ同時期に、同じようなグラフィックカードが発売されるとしたら、それはAMDとのコラボレーションが成功したことを意味します。」と言っていました。Radeon RX 6900/RX 6800/RX 6700らの中にPS5と同じような仕様の物があればコラボ成功、なければ失敗ですかね。
高い周波数で動作する事と、FLOPSの値だけで性能の評価ができないと言っていたのがポイント。PS4 Proと同じくらいの性能をイメージした例を出し、36CU@1GHzと48CU@0.75GHzの場合、両方とも4.6Tflopsになる。

同じ4.6Tflopsであっても「GPUの周波数が33%高くなるとラスタライズの処理が33%速くなり、コマンドバッファの処理が大幅に速くなり、L2やその他のキャッシュの帯域幅も大幅に向上するなど、より高速に動作します。」と述べた。36CU@1GHzの方が良いパフォーマンスになるという事ですね。
The Road to PS5 「PS5への道程」 全文日本語訳 ~マーク・サーニー氏の技術解説講演~ – The Road to Next Gen Ludens
AMDのグラフィックスカードが高い周波数で動作して、FLOPSの値のわりにベンチマークの結果が良ければ、マーク・サーニー氏の言ってた感じかなと思います。

と言ってもPS5の発売間近ですから、スペック云々より現物での結果が見える事のほうが大事ではありますけどね。本来ならスペックで妄想する時期は過ぎていて、現物を見る時期だと思います。今回はPS5の発売直前にGPUに関する大きな発表が来てしまっただけ。

PS4版『The Last of Us Remastered』のロードが超高速化

急に『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』が気になりだしたのは、PS4版『The Last of Us Remastered』のVer1.11アップデートでロード速度が超高速化されたから。

The Last of Us Remastered | Loading Times Patch Comparison

1分30秒10 → 13秒86
2分3秒16 → 13秒86
1分6秒20 → 17秒53

アップデートでロードが高速化される事は珍しくないですが、このレベルでの高速化は初めて見たかもしれない。2分3秒16 → 13秒86なんてPS5に期待するレベルでの短縮効果。
これに関して、Twitterでは『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』に対応したのではないかと言う人もチラホラいる。実際のところ真偽不明であり、『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』に対応して最適化したなら、パッチではなくゲーム全体の再ダウンロードが必要なのでは?と考える人もいるし、容量自体も大幅に減るのでは?とも。PS4版『Warframe』を見た限りでは、容量やアップデート方法に大きな変化はなさそうですが。
これほどまでの超高速化を今になって可能にしたなら、『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』が関わっていそうな気がします。RAD Game Toolsとのライセンス契約にはPS4も含まれているので、PS4ゲームが対応する可能性は十分ある。もしかしたら今後もこういう展開があるかもしれない。

最近はPS5発売に向けて時間を作るためにゲームがあまり出来ておらず、次世代機の情報を追っているだけという感じにもなっておりますが、日々出てくる情報にワクワクしております。
『Oodle Kraken』と『Oodle Texture』も非常に良さそうですので、対応タイトルが増えていけば嬉しいところ。

コメント

  1. 匿名 より:

    ほんとにPS5は胸を躍らせてくれる情報ばかりです!
    それだけに早く予約して安心したい。。。ロンチで買えなかったらどこまでお預けくらうのか憂鬱ですね

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