PS5に最適なテレビ「Ready For PlayStation 5」が海外で発表

テレビ・モニター

7月29日に欧州でPS5対応テレビを謳う「Ready For PlayStation 5」が発表されました。良い発表なのですが、日本では今のところ発売予定がない2機種のテレビです。
Sony announces ‘Ready for PlayStation 5’ for current BRAVIA TVs – Sony Europe

2機種のテレビ

  • X900H(北米) / XH90(英国)
    4K/120fps対応 ※8Kは非対応
    入力遅延7.2ms
    応答速度4ms以下 tvfindr.com
    LEDバックライト:直下型(フルアレイ)
    55型($999.99)/65型($1,399.99)/75型($2,199.99)/85型($2,799.99)
  • Z8H(米国) / ZH8(英国)
    4K/120fps対応 8K対応
    入力遅延不明
    応答速度不明
    LEDバックライト:直下型(フルアレイ)
    75型($5,999.99)/85型($8,999.99)

DualSenseコントローラーでPS5とテレビを同時起動できたり、TVリモコンでPS5が操作できるということも紹介されています。
VRR(Variable Refresh Rate=可変リフレッシュレート)やALLM(Auto Low Latency Mode=自動低遅延モード)にも対応しているようですが、このあたりの機能はHDMI2.1のテレビなら珍しくないのかなと思います。

今のところPS5に最適なテレビはX900H(北米)/XH90(英国)になるかと思います。8KテレビのZ8H(米国)/ZH8(英国)ほうは入力遅延のアピールがなく、価格も60万円~でゲーム向けとしてはオススメしにくい。
X900H(北米)/XH90(英国)の55型は$999.99(約10万5千円)という買いやすい価格。HDMI2.1対応テレビのエントリーモデルとして最適なんじゃないでしょうか。

入力遅延

X900H(北米)/XH90(英国)の入力遅延は7.2msとアピールされています。

けっこう勘違いされている人も多いですが、入力遅延(Input Lag)と応答速度(Response Time)は別です。テレビ・モニターのカタログに応答速度が表記されることは多いですが、入力遅延が表記されることはあまりありません。
応答速度だと1~5msが標準ですが、応答速度が速くても入力遅延が大きい場合もあるでしょうから、個々の数値に意味はあっても応答速度と入力遅延の直接比較には意味がありません。

Sonyが入力遅延をアピールするくらいですから速さに自信があるのは感じますが、7.2msという数値の捉え方も難しい。と言うのは入力遅延の測定方法は統一されていないから。テレビのカタログだと内部遅延だけを1msとか表記している場合も多いので、それと比較すると7.2msは大きく感じますが、7.2msはパネルの遅延も含んだ数値でしょうから比較する意味がない。
ちなみに私が愛用しているREGZA 43G20Xは「4Kレグザ史上最速の約0.05フレーム(0.83ms)※」とカタログで紹介されていましたが、Video Signal Input Lag Testerでの測定結果は11.3msでした。この結果から2つの答えが浮かびます。まずカタログ記載の内部遅延0.05フレーム(0.83ms)と実際の入力遅延は大きく違うこと。だから「レグザは1msと書いてあったのにBraviaの7.2msは遅い」というのは大間違い。そして11.3msの入力遅延も速くて満足ということ。当時の4Kレグザ史上最速でしたし、4Kテレビでゲーミングモニターと同等の速さは驚異的。

テレビ・モニターの実際の入力遅延を測定しているサイトのdisplaylag.comでは、600機種以上のテレビ・モニターの入力遅延データが公開されています。この中で最速は9.0msです。これと比較すると7.2msは史上最速ってことになりますが、この比較も測定方法が違うでしょうから意味を感じにくい。測定方法を変えれば4.0msとか5.0msという結果になる場合もあるでしょうし、違う測定方法で出した数値の比較も意味を感じにくい。displaylag.comのように同じ測定方法で比較しているのは良いと思います。600機種以上ある中の半数以上が30ms以上の入力遅延があり、最速の9msとかREGZA 43G20Xの11.3msがかなり速い部類だというのもわかります。

なんにせよSonyが入力遅延7.2msをアピールしているわけですから、優れているところなのでしょう。少なくともZ8H(米国)/ZH8(英国)より速いのは想像できます。
私はVideo Signal Input Lag Testerを購入してテレビとゲーミングモニターの入力遅延を調べたことがありますが、この測定機器だとゲーミングモニターで9~10msが最速となり、displaylag.comの結果とほぼ同じです。だから7.2msというのは今までの壁を超えた速さに思えますが、結局のところ測定方法が違えば比較にならない。

入力遅延は捉え方の難しい数値ですので、Twitterなどでも間違った感覚での感想がバンバン出ています。捉え方の難しい数値だというのを理解して見たほうが良いでしょう。

日本では未発表

PS5に最適なテレビ「Ready For PlayStation 5」の企画は海外でのみ発表されており、今のところ日本は無関係です。X900H(北米)/XH90(英国)Z8H(米国)/ZH8(英国)も日本での発売予定がありません。

気になるのはX900H(北米)/XH90(英国)で、今年の4月2日に日本でのBRAVIA新機種の発表が行われましたが、X8000HX8500HX8550HX9500Hが発表され、X9000Hがスッポリ抜けていました。日本だけHDMI2.1対応モデルが発売できない事情があるのかどうか。

以前の記事でも紹介しましたが、Sonyの4Kテレビ(2020年モデル)でHDMI2.1の各種機能に対応予定なのはX900H(北米)/XH90(英国)だけです。下位機種はともかく、上位機種のH950H(北米)/XH95(英国)/X9500H(日本)は対応予定がないのが意外です。

そしてこれも以前の記事で書きましたが、Sonyの4Kテレビ(2020年モデル)でX900H(北米)/XH90(英国)だけがHDMI2.1の各種機能に対応した「Ready For PlayStation 5」であるなら、ユーザーは迷わず購入できるので有難いです。テレビって機種が多すぎてわかりにくいんですよね。よくわからない機能も多くて判断が難しい。例えばH950H(北米)/XH95(英国)もHDMI2.1に対応するとなったら、価格とよくわからない機能を見比べて決めないといけなくなる。PS5向けに1機種推しというは、かなりわかりやすくて便利だったりします。

でも残念すぎるのは、その1機種のX900H(北米)/XH90(英国)が日本で発売予定がないこと。せっかくのPS5発売年にSonyのテレビが対応していないのはもったいないです。

EVE Spectrum

大型テレビではなく小型モニターの話。デスクに置けるような小型モニターでのHDMI2.1対応製品はほとんど(まったく?)ありません。そんな中でEVEのSpectrumは目を引く製品。
Spectrum

Spectrumは3機種あり、Spectrum 4K 144HZはHDMI2.1に対応している。応答速度は1msで入力遅延は不明、G-Sync(FreeSync)にも対応とのこと。ゲーミングモニターとして使いやすい27型であり、価格も今のところ$649と悪くない(価格は変わる可能性があります)。

PS5向けゲーミングモニターとしてはこれ一択かと思いきや、落とし穴になるかもしれない注意する点があります。
Spectrumは世界初のクラウドファンディングにて開発されるモニターであり、クラウドファンディングである以上、最悪の結末も考えられます。EVEはタブレットPCのクラウドファンディングを成功させてはいますが、1年以上の遅れという大幅な遅延が発生していたとのこと。Spectrumは2020年の10~12月の発売を予定していますが、ここから大幅に遅れるとなると、他社のモニターも増えてくるでしょうし、Spectrumの価値は大幅に下がる。遅れても手元に届けばいいですが、まだ他社が販売できていない27型HDMI2.1対応モニターをクラウドファンディングで成功させられるかについても懐疑的です。海外との取引となるとサポートも受けにくいので、かなりリスクのある注文になると思います。

予定通りに届けば「疑ってごめんなさい」ですが、今のところ存在していない27型HDMI2.1対応モニターのクラウドファンディングは、失敗する可能性も理解したうえで検討したほうが良いでしょう。

4K/120fpsよりもVRRやダイナミックHDR

PS5やXbox Series Xでも4K/120fpsのゲームは少ないと思います。シンプルなゲームならともかく、4Kの解像度が生きるような高精細なテクスチャとハイポリゴンを使った3Dゲームとなれば皆無と言えるんじゃないでしょうか。となるとHDMI2.1の魅力は4K/120fps以外が重要になってくると思います。

PS5は「VRR対応(HDMI2.1規格による)」と発表されており、VRRはVariable Refresh Rateの略で、可変リフレッシュレートを意味します。この機能によってフレームレートが変動するゲームにおいて「ゲームのインタラクションラグの低減」「フレームのスタッター、スキップ、フリーズの低減」「フレームティアリングの低減」という効果があります。より滑らかな映像になり、ティアリングも発生しにくくなる。

ALLM(Auto Low Latency Mode=自動低遅延モード)、ダイナミックHDR、eARC(エンハンスド・オーディオ・リターン・チャンネル)らもHDMI2.1と一緒にアピールされやすい機能(eARCはHDMI2.0でも対応できるようですが)。
帯域幅がHDMI2.0は18GbpsでHDMI2.1は48Gbps。

今のところLGが優勢だが

HDMI2.1のテレビ・モニターを調べてみると、LGの2020年モデルであるNANO91/NANO86が一番注目されているように思います。
49型/55型/65型/75型/86型があり、49型だけがNANO86で、55~86型がNANO91シリーズ。NANO86はLEDバックライトがエッジ型で、NANO91は直下型(フルアレイ)ですから、画質ではNANO91が優位。

この製品に関する情報が不安定に感じ、HDMI端子が4つともHDMI2.1と言う人もいれば、背面の2つだけがHDMI2.1と言う人もいる。NANO91の公式サイトにはHDMI2.1の表記はない。
帯域幅に関してもひと騒動あり、当初は48Gbpsと表記されていたのが40Gbpsに訂正されたようです。48Gbpsだと4K120p 4:4:4 12bitが可能ですが、40Gbpsだと4K120p 4:4:4 10bitとなる。12bitか10bitかの差になりますが、これがPS5やXbox Series Xでどういう影響を受けるかはわからない。大きな影響はないと見込んでいるとは思いますが、40Gbpsであることを正しく発表しなかった不信感もあり、いざPS5やXbox Series Xが発売された時に何か問題があるかもしれない怖さもある。
こういう事情を見ると、Sonyや東芝が国内でHDMI2.1対応4Kテレビを発表できていない難しさがあるのかなと思います。

HDMI2.1のテレビ・モニター事情は霧がかかったような状態に感じます。だからこそ「Ready For PlayStation 5」という企画が有難いのですが、日本では発表されていないテレビだから手が出せない。日本での展開を期待して待ちます。

PS5やXbox Series Xの発売まで4ヶ月を切っているかと思いますが、それまでにHDMI2.1に対応したテレビ・モニターの事情は変わらない可能性が高くなってきたように思います。とりあえずは今使っている4Kテレビをそのまま使うことになりそうです。

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