PS5対応ゲームが少しずつ発表されています。現状のまとめと、オンラインイベントの難しさについて考えました。
- アサシン クリード ヴァルハラ
(PS5/PS4/XSX/XBO/EpicGamesStore/Stadia) - Call of Duty:Warzone
(PS5/PS4/XSX/XBO/Windows) - CHORUS
(PS5/PS4/XSX/XBO/Stadia/PC) - DIRT 5
(PS5/PS4/XSX/XBO/Stadia/Steam) - GODFALL
(PS5/EpicGamesStore) - OBSERVER: SYSTEM REDUX
(PS5/XSX) - OUTRIDERS
(PS5/PS4/XSX/XBO/Steam) - QUANTUM ERROR
(PS5/PS4) - SCARLET NEXUS (スカーレットネクサス)
(PS5/PS4/XSX/XBO/Steam) - Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2
(PS5/PS4/XSX/XBO/EpicGamesStore/Steam)
日本ではTGS2019にてDMM GAMESがPS4版を発売すると告知しています。おそらくPS5版も発売するでしょう。
今のところインパクト不足
今のところネット上のゲームファンを激しく沸かせるようなトレーラーやIPはなく、次世代ゲーム機の発売年にしては物足りない状態が続いている気がします。とは言え、発表はまだまだこれからです。
気がかりな点は、オンライン発表の難しさを改めて感じたところ。SIEのState of Playは盛り上がりに欠けましたし(PS5は無関係ですが)、MSの「First Look Xbox Series X Gameplay」と題されたInside Xboxも同様。この件で思うのは、どちらもツボを押さえられていないということ。動画のコンセプトが練られておらず、端的に言えばメーカーから預かったゲーム映像とコメントを垂れ流すだけになっている感じ。カタログとしてはさほど問題ない作り方なのですが、ショーとしての盛り上がりやユーザーの満足度を満たすのは難しくなる。
次世代グラフィックの良さを伝えるのは難しい
次世代機(現世代でもそうですが)ではトレーラーでグラフィックの魅力を伝えるのが難しくなっている。Youtubeの映像が粗く、2018年時点で動画視聴者の約80%がスマホだから。そんな粗くて小さな画面では次世代機のグラフィックの良さを伝えるのは難しいどころか「今とあまり変わらないね……」というネガティブな印象を与えてしまう可能性も高い。次世代機の魅力を伝えるどころか逆効果になる。
さらに新型コロナの影響でYoutubeのデフォルトが480pになっており、これに気付かず視聴する人も多いでしょう。4Kにしたところで、あくまでYoutube向けにエンコードして画質が落ちている状態ですので、本当の次世代機の良さは見せられていないはず。特に動きの激しい場面ではブロックノイズが気になる。
それでもPS4 ProのYoutubeアプリから大画面で4K視聴すると、かなり迫力があってキレイな映像になってグラフィックの良さも伝わりやすいのですが、こういう視聴をしている人は5%もいないんじゃないかと思う。
さらに言うとグラフィックの進化幅が大衆に伝わりにくくなっている。ファミコン(8BIT)とスーパーファミコン(16BIT)の差は誰の目にも明らかだったと思います。スーパーファミコンのドットがメインだった時代からPS1のポリゴンやムービーへの変化もわかりやすかったはず。PS1→PS2のポリゴン数とテクスチャの進化もわかりやすい。PS2→PS3ではSDからHDへの変化が大きい。PS3→PS4でも進化しているが、この時点で進化幅が今までよりは小さく感じられるようになっていたかと思う。そして現世代から次世代は、今まで以上に進化幅が小さく感じられるんじゃないかと予想します。ちょうどIGNで「次世代グラフィックへの期待を下げる必要があるかもしれない」という記事も出ておりますが、もうグラフィックを推してもユーザーの反応は弱いんじゃないかなと思う。
You May Need to Lower Your Expectations For Next-Gen Graphics – IGN
着実に進化はしているし重要でもありますし期待もしますが、今までほどではなく、違うアプローチが求められる。ましてやYoutubeで480pの動画を見る人が多い現状では、響きにくい。
ゲームプレイを入れるべき
先のInside Xboxに関しては「Gameplay」を強調したのにユーザーが期待したものとは違うものが出てきて、Youtubeで低評価とコメント欄での指摘が目立つ。ゲームプレイの感覚は伝わらず「この世界観が好きな人」に対してだけ興味を持ってもらえるようなもので、ゲームなのに映像作品を売り込むような感覚ですらある。
今回たまたま注目されたポイントですが、これは今後の発表でも重要だと思う。もう「世界観ムービー」だけはやめてほしいと思い始めている。ゲームなのにゲームプレイを重視しない紹介は歪んでいると感じる。PS2→PS3あたりなら美麗ムービーで驚けましたが、今は見飽きている。大体は「〇〇っぽい」という別の映像作品やクリエイターの作風に似ている印象を持ち、それに対して好きか嫌いかの判断はできるわけですが、ゲームなのに初報の印象がそれだけなのは空しさも感じます。
これを強く思ったのは、PlayStation E3 EXPERIENCE – 2015 Press Conferenceを再視聴したからというのが大きい。この時『Horizon Zero Dawn』の初報でした。初報から実際にコントローラーでプレイしているような映像ががっつり入っていて、ゲームとしての面白さが伝わりやすかったし「自分もプレイしてみたい!」という気持ちが強かった。「見る体験版」にも近い手法。初報でゲームプレイ映像を入れること自体は珍しくはないのですが、パッパッパッとダイジェストで入れられることが多い。『Horizon Zero Dawn』はゲームプレイの面白さの伝え方が上手かったのです。プレイ後だからわかりやすいですけど、魅せるプレイでトレーラーを作っていた。
新規IPの初報で心を鷲掴みにされた。世界観も伝えてゲームプレイも伝える、最初に公開する映像としては現世代のゲームの中でベストだったと言える。
最初に世界観ムービーを出して、後で別枠を用意してゲームプレイを見せるパターンもありますが、それよりも初報で同時に見せる『Horizon Zero Dawn』のようなやり方がダブルインパクトで心に響くと思う。初報で動画時間が5~6分というのは長めだと思いますが、それくらい丁寧に紹介してくれたほうが嬉しいです。実際に1ハードのみの新規IPで1000万本超のヒットをしていますし、お手本になるところ。
冷静に考えると、ゲームなのに映像作品を売り込んでいるような手法が当たり前になっている現状はマヌケに思える。次世代のゲームが気になって発表動画を見ているのに、ゲームプレイ部分をほとんど見せてもらえないのが当たり前という不思議。改めて『Horizon Zero Dawn』の最初の動画を見ると、とても魅力的に見えた。
2015年のE3と言えば『ファイナルファンタジー7 リメイク』と『シェンムー3』の発表でも沸きました。このクラスのIPならロゴだけでも盛り上がるので、ゲームプレイがなくても視聴者の満足度は高いと思う。他にはフロム・ソフトウェアとかノーティードッグとか、ユーザーが期待するスタイルを持っているところであれば「新作」というだけで沸ける。こういうレベルじゃないのに世界観ムービーだけだと物足りない。
長期的な小出しの情報配信は、今の時代には合わないと思います。タイトルを覚えきれないほど大量のゲームが生まれ、情報の荒波にもまれるスピード感のある時代。
基本無料ゲームの話になりますが、超大ヒットしている『Apex Legends』と『Call of Duty:Warzone』は発表からプレイ可能になるまで早かった。長々と告知せずとも、とんでもないヒット作になれる。それどころか発表の話題性をそのままゲームプレイに繋げる手法の方が強いのかなとも思わせられます。当時の4Gamerの記事の「Apex Legendsを発表した」「すでにプレイ可能だ」のスピード感はシビれます。
世界観ムービーで気になったゲームもありますが、これからの情報に埋もれて優先度が下がる可能性が高いです。今の時代、「ちょっと気を引く動画」ではユーザーはついてきにくいと思います。あっさり忘れたり別の情報で上書きされる。特に新規IPは「初報で心を掴んで離すな」というインパクトが必要なんじゃないかと思います。
基本無料ゲームの例は極端ですが、発表したなら発売まで忘れられずに密度の濃いプロモーションをしないと無駄が大きいと感じます。業績好調のカプコン、近年は発表から発売までの感覚が短いですからね(近年にDeep Downは含まない)。
「発表の話題性をそのままゲームプレイに繋げる手法の方が強いのかなとも思わせられます」に関しては、例えば『シェンムー3』は発表の直後が最大風速だったように思います。あの勢いで早期リリースされていたらどうなっていたかと。
まったくの余談になりますが、ゲームの紹介動画で一番印象に残っているのは『ロスト オデッセイ』。初報ではないですが、ムービーシーンからプレイアブルのコマンド戦闘に繋がるシーン。カイムが背中を向けてゆっくり横歩きしている流れでコマンドが表示されたのは衝撃的でした。まだプリレンダとリアルタイムレンダ、そしてムービーとプレイアブルに大きな差を感じていた時代でしたから、衝撃の演出で忘れられない。音楽の煽りも最高。この時から、ムービーではなくゲームプレイ部分のすごさに興奮するもんだったんだなと思います。
『Horizon Zero Dawn』もこれに近いところがあり、初報だしムービーシーンだろうなぁと思っていたところからゲームプレイっぽいスタイルになる驚きがあった。
ニンテンドーダイレクトはすごい
SIEのState of Playがニンテンドーダイレクトの影響を受けたような印象を感じていた中、動画の評価や話題性は遠く及ばずという状態でありました。今回のMSのInside Xboxも同様で、ツボを押さえられていないズレた印象でした。改めて安定した評価と話題性があるニンテンドーダイレクトはすごいんだなと思った。「ツボを押さえる」が多分あるんじゃないかと思います。ここを押せばユーザーが喜ぶというのをわかっていそう。メーカー目線のカタログ動画じゃなくて、ユーザー目線で楽しめる動画作りができているんじゃないかなと思います。
次世代ゲーム機の魅力が伝わりにくい
グラフィックのすごさが伝わりにくい事とゲームプレイ映像が少ない事で、次世代ゲーム機の魅力は伝わっていないと感じます。現行機のゲーム発表と大差なく、次世代ゲーム機が発売される年という感じがしない。
今後は次世代ゲーム機の魅力が伝わるような発表を期待します。
まだPS5独占タイトルの発表はない
まだPS5独占タイトルやXbox Series X独占タイトルの発表はありません。
今回、PS5独占かどうかはかなり重要になるんじゃないかと感じています。超高速SSDによってメモリ管理のやり方が変わり、ゲーム作りに大きな影響を与えるから。
いろいろ記事を読んでPS5の超高速SSDの凄さを知る – PS4ちゃんねる Pro
こういった技術的な事情で、PS5/PS4のようなマルチだとPS5の強みを出しにくいと思う。メモリ管理が変わってレベルデザインもまったく違う感じに変えられるとなると、今までのハード毎の「最適化」とは意味が変わってきそう。PS5はマップのデザインから変えないと「最適」ではないとも言える。従来通りの「ある程度の最適化」はするでしょうけど、物足りなさは残りそう。実際にやってみないとわからない部分ですが。
となると期待するのはファーストのPS5独占タイトル。裏読みのために歩かされる事もなく、そもそもロード時間がほぼなくなるのか、その答えが早く見たい。従来のスペックの基準で良くなっただけだと、次世代の感動としては弱いかと思う。サードは思い切った動きはしにくいでしょうから縦マルチで様子見する中、ファーストがハードを引っ張れるかどうか。
ちなみにPS4(日本)ではロンチに『KNACK』と『KILLZONE SHADOW FALL』、3ヶ月後に『inFAMOUS Second Son』、9ヶ月後に『DRIVECLUB』というのがファーストの独占タイトル。今回もロンチに2本あれば嬉しいと思える。
オンラインイベントに期待と不安
TGS2020が中止になり、オンラインイベントが検討されているようです。今後、SIEの発表もそうなるでしょう。ただ、オンラインイベントや発表は高難易度なものであると改めて感じた。生半可な物を出すと低評価と皮肉コメントの嵐。サクラの観客を用意して大歓声を入れるような事もできません、オーケストラも呼べません、広い会場で音と光の演出で派手さも演出できません。入念な研究や準備をせずに足を突っ込もうとしているなら危険です。大企業がやる大事業だからちゃんとしているはずだという幻想は既に崩れています。期待も不安もありますが、どういうイベントが出てくるのか、めっちゃ楽しみです。実際のところ、あくまで「発表」の話なので気楽に見れるんですよね。発表で滑っても、どうせ後でチェックしますし、ゲーム自体が面白ければ良いですからね。魅力的な発表で興奮したい気持ちはありつつも、そこで滑っても個人的には大きな問題ではないです。
5月21日(木)や6月2日(火)にPS5関連の発表があるんじゃないかという噂があったりしますが、さすがに6月上旬までには何かあると思います。EA PLAYが6月12日(金)8時~ですので、それまでにPS5の発表をしてくれないと、EAも言いにくい部分が多くて歯切れが悪くなりそう。PS5に未発表の機能があるとして、それをサードが使用しているなら、先にSIEが情報公開してくれないとサードも勝手に言えないでしょうからね。
The next generation rises. May 21. pic.twitter.com/jUTuoCYQJW
— Edge (@edgeonline) 2020年5月7日
以前にも書きましたがPS4とXboxOneは↓のようなスケジュールでした。
- 2月21日 PS4正式発表 – PlayStation Meeting 2013
- 5月22日 XboxOne正式発表 – MS次世代Xboxイベント
- 6月10日 XboxOne価格発表 – E3プレスカンファレンス
- 6月11日 PS4価格発表 – E3プレスカンファレンス
- 8月21日 PS4発売日(欧米)発表 – gamescom 2013
- 9月5日 XboxOne発売日(欧米)発表
6月のE3の時期に価格発表、8月下旬のgamescomの時期に発売日発表でした。
次世代ゲーム機ならではの魅力が伝わるか、『Horizon Zero Dawn』みたいに初報で心を鷲掴む物が出てくるか、この2点を意識して見たいです。