昔のコマンドRPGを快適に遊べる喜び『英雄伝説 零の軌跡:改』感想

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2020年4月23日にリリースされた『英雄伝説 零の軌跡:改』(3,800円)をクリアしました。

英雄伝説シリーズ

そもそも『英雄伝説シリーズ』とは何かと思って調べたら、1989年に発売された『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』から始まるRPGシリーズということです。

 

PS4においては『閃の軌跡』が4作ともリリースされていますが、これは英雄伝説VIII(8)というくくりでした。
4/23にリリースされた『英雄伝説 零の軌跡:改』と5/28にリリースされる『英雄伝説 碧の軌跡:改』が英雄伝説VII(7)になります。

  • ドラゴンスレイヤー英雄伝説
  • ドラゴンスレイヤー英雄伝説II
  • 英雄伝説III 白き魔女
  • 英雄伝説IV 朱紅い雫
  • 英雄伝説V 海の檻歌
  • 英雄伝説VI 空の軌跡
    英雄伝説 空の軌跡FC
    英雄伝説 空の軌跡SC
    英雄伝説 空の軌跡 the 3rd
  • 英雄伝説VII
    英雄伝説 零の軌跡
    英雄伝説 碧の軌跡
  • 英雄伝説VIII
    英雄伝説 閃の軌跡I
    英雄伝説 閃の軌跡II
    英雄伝説 閃の軌跡III
    英雄伝説 閃の軌跡IV

英雄伝説I~VIIIが「期」としても分かれており、VI、VII、VIIIが『第3期 軌跡シリーズ』と呼ばれています。
8月27日には最新作『英雄伝説 創の軌跡』が発売予定。「15年続いた軌跡シリーズの最新作で、シリーズの完結へ向けてスタートを切る作品であることから『創の軌跡』と命名された」との事なので、これが第3期の完結編の第一部になると思います。

英雄伝説VII 零の軌跡

『英雄伝説 零の軌跡』は二部構成となっている英雄伝説VIIの前編となる。前編とは言っても、クリアした感想としては1本の長編RPGとして納得のいくピリオドが打てていて、良い余韻を残してくれました。ストーリーの満足度は高い。いくつかの謎が残ったままですが、後編『碧の軌跡』でスッキリするのかな?と期待しています。ピリオドの打ち方に納得しつつ、後編への期待もあり、上手いまとめ方だと思いました。

PSP版との違い

オリジナル『英雄伝説 零の軌跡』は2010年9月30日にPSPでリリースされました。2012年10月18日に『英雄伝説 零の軌跡 Evolution』としてパワーアップしてVITAでリリース。そして今回、2020年4月23日に『英雄伝説 零の軌跡:改』としてPS4でリリースとなったわけです。

 

『英雄伝説 零の軌跡』(PSP)と『英雄伝説 零の軌跡:改』(PS4)の違いは、

  • メインストーリーのフルボイス化
  • 高速スキップモード搭載
    ボタンひとつでイベント&フィールド2倍速、戦闘4倍速切り替えが可能。
  • 演出スキップ機能
    戦闘時の演出スキップ機能。
  • 60fps対応+高画質&高音質化
  • PS4にあわせて各種UIを調整
  • トロフィーとSHAREに対応

PSP版との違いであり、フルボイス化やスキップ機能はVITA版『英雄伝説 零の軌跡 Evolution』でも実装されていたようです。当然トロフィーも。

 

最重要は高速モードかと思います。かつては大人気だったコマンドRPGが減った理由の1つにテンポの悪さがあるかと思う。アクションとは違い、自分で入力する手応えのない演出を繰り返し見る必要があるというのは、現代的なスピード感について行きにくいシステムです。実際、高速モードでプレイしていても、同じザコ敵に「攻撃」を繰り返し連打するのは退屈さを感じます。アクションゲームなら幅広い攻撃の選択肢と爽快さがあるところ。

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最近ではPS4版『ファイナルファンタジーVIII リマスタード』が3倍速モードで非常に快適になり、このゲームの面白い部分が抽出されました。Twitterでも3倍速が好評です。
FF8 3倍 – Twitter Search
コマンドRPGに限らず、PS1~2やPSPのゲームはテンポの悪さやロードの長さが気になる事が多いです。そこを劇的に改善する倍速・スキップ機能を実装してくれるのは有難い。FF8と同じように、ゲームの面白い部分が抽出されやすくなると思う。ゲームの再評価にも繋がる。
『英雄伝説 零の軌跡』はストーリーに魅力があるゲームでもありますので、そこを楽しみやすくなります。おつかい系の支援要請(サブクエスト)も多く、フィールドでの2倍速は有難い。倍速でもボイスは通常速度ですし、セリフはボタンを押して送るので会話イベントでの不便はない。
難点もあり、フィールドで敵に攻撃して動きを止めたり、敵の背後からアタックすると有利になるシステムがあり、これが2倍速だと少し難しくなる。

 

ロード待ちもほとんどなくて快適です。プレイしながらPS5への期待も大きく膨らんだ。ロード待ちがないゲームプレイは快適さが劇的に違いますので、これがPS5の標準になれば最高です。

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グラフィックは粗い

フルHD化されてシャープになっているのはわかりますが、元々のテクスチャ自体が粗いです。現代のPS4のゲームに慣れていると、高画質化を楽しむというよりレトロなグラフィックを楽しむ感覚のほうが強い。
粗いと言うと悪い点になりますが、個人的には悪くない点でもあります。約10年前のJRPGの味を感じつつ、シャープになってUIも調整されていて見やすい。

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近年はリマスター版のリリースが多いですが、昔のコマンドRPGをテンポアップしてリリースしてほしい気持ちも大きい。グラフィックよりもテンポアップが重要ですね。JRPGではストーリー、育成、戦略性を重視して遊べる。

やや不満なボタン割り当て

フィールドでメニュー画面を開くのはボタン。マップはOPTIONS+方向キー左で捜査手帳、+方向キー右で戦闘手帳、+方向キー上で料理手帳。スキップのON/OFFはL2R2に設定可能。タッチパッドは使用しない。
タッチパッドが一番押しやすいので、メニューかマップはタッチパッドを使いたかった。戦闘演出のショートカットがOPTIONSに割り当てられており、これも押しやすいタッチパッドのほうが良かったです。

 

デュアルショック4向けの操作はこだわってほしかった。

プラチナトロフィーは大変

トロフィーはVITA版と同じです。攻略情報も出揃っているかと思います。

 

昔ながらのトロフィー設定という印象で、基本的には最高難易度も含めて3周必要。最初から攻略情報と分割セーブを駆使すれば2周でもいけるらしいですが、3周で考えておいたほうが無難かと思います。
時限要素が多く、プラチナトロフィーを狙うなら攻略情報をなぞってプレイしないと難しいと思います。攻略情報も1つの見落としでトロフィー獲得が次周に持ち越しになるので、慎重に見る必要がある。

 

最近のゲームはプラチナトロフィーが獲得しやすいゲームが多く、攻略情報を見なくても狙いやすかったりします。この変化の重要性を改めて感じた。時限要素と長い周回要素が最低3周あり、攻略情報を見ながらプレイする事が前提になってしまうと、ゲームを楽しむというよりトロフィーのための作業になって面白さを感じにくい。攻略情報を追って全回収するという遊びの良さもありますけどね。

3,800円(税込)

パッケージ版は4,378円(税込)、ダウンロード版が3,800円(税込)。PS Storeの価格設定はカプコンがしっかりしている印象ですが、税込で4桁目の数字を抑える価格設定が美しいので、ダウンロード版が3,800円(税込)というのは好印象。これが3,800円+税になってしまうと、4,180円(税込)という4桁目が無駄に上がってしまう最低な表示価格になります。1000円単位でポイントを買うと5,000円必要になる無駄もある。

 

パッケージ版は4,378円(税込)でも問題なく、AmazonやGEOなどでは定価で販売される事はあまりありません。ちなみにAmazonでは3,255円で販売されていました。定価はダウンロード版より高くても、値引きで実売価格は安くなるのが常。
PS Storeは基本的に定価販売で税込表示なので、販売元が意識して値付けしないと、中途半端な販売価格になります。

 

ただ、4,378円(税込)/3,800円(税込)という価格設定は、ファン向けのやや高めな設定かなと感じました。約10年前に6,090円で発売されたゲームの2回目のバージョンアップ版にしては、追加・変更要素も多くないです。

古き良きJRPGを楽しめた

ゲームの歴史が長いので10年前くらいだとレトロとも言えないですが、古き良きJRPGを楽しめました。

 

現代のゲームよりも魅力的な部分はセリフの豊富さですね。行かなくてもいい場所のNPCのセリフも細かく作ってありますし、パーティーの変化によっても細かくセリフが変化しますし、ちょっとした会話イベントが発生したりもする。1周したくらいじゃ1/3も見られていないんじゃないかという贅沢な作り。
現代のゲームだと会話イベントを1つ作るにもモーションを細かく作りますし、NPCやロケーション作りも大変なので、ここまで細かいNPCのセリフ作りは難しい。

 

前述したストーリーとキャラクターも良かった。主人公は警察官になったばかりのロイド・バニングス。配属された部署は新設された特務支援課で、なんでも屋みたいな存在。警察がギルドをパクったとも言われるいわくつきの部署でもある。市長の孫娘エリィ、遊び人気質の元警備隊員ランディ、人並み外れた五感と感応力を持つ14歳のティオら同期4人で青春臭さのある絡みを見せる。JRPGとしては王道的。

 

オリジナル版のレビューを見てもストーリーの評価は高い。ポイントとしては「パーティーがギスギスしない」というのがあると思います。メインの4人には重い過去や事情があったりして悩んだりするけど、暴走したりギスギスしたりはしないで支え合って助けあう。みんな良い奴です。RPGのレビューを見て気付くのが、ギスギスさせるようなキャラクターがメインメンバーにいると不評になりがち。単純にリアルにそういう人が同僚にいたら嫌だから嫌悪感を持つというのもあると思います。パーティー外ならいいけど、メインパーティ―にいると地雷的な物にもなって旅が楽しくなりにくい。
4人とも好きになれるキャラクターで、その4人がいわくつきでもある特務支援課で活躍し、認められていくサクセスストーリーみたいなところも良い。
序盤は引き込みは弱かったですが、2章終盤くらいから盛り上がってきた印象です。

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難易度調整もやや歯応えがあって良いです。Normalでも全滅するポイントがけっこうあり、きちんと装備を整えて戦略も考える必要がある。国民的RPGであるFFやDQシリーズより難しいです。サクサク進めたいならEasyもありますけどね。

 

ストーリーを追いつつ、イベント収集、レベル上げ、装備収集、クオーツによる強化・属性の設定、アーツ(魔法)やクラフト(特技)の使い分け、JRPGらしいJRPGを楽しめました。

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一番強く感じたのは、昔のJRPGを快適に遊べるリマスター版が今後も出てくれれば嬉しいなという事。たまにコマンドRPGがやりたくなります。『英雄伝説 零の軌跡』は未プレイでしたが、今回こういう快適な環境で遊べて、ストーリーやキャラクターの魅力に触れられて良かったです。昔のJRPGのリマスター版ではグラフィックより快適さが大事だなと思いました。

 

英雄伝説 零の軌跡:改

英雄伝説 零の軌跡:改

  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: Video Game
 
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