『バイオハザード RE:2』ばっかりやるほど楽しかったです。
原点回帰だけど現代的
1998年にリリースされた『バイオハザード2』のリメイクなんですけど、どちらかと言えば初代『バイオハザード』のようなサバイバルホラーの味がある。動きが遅いけどしぶといゾンビ、それに弾を撃ちまくって弾不足になるので、うまくスルーしながら無駄弾を減らす。シューティングとスルーのバランスの良さが光った。音を立てず敵に気付かれない事も大事。
『バイオハザード』は1~3と4~6にグループ分けされる事が多いですが、1と2もけっこう違う印象があり、2はライト層も意識したような遊びやすい調整になっていた感じ。そういう印象から『バイオハザード RE:2』は初代っぽい味を感じた。
『バイオハザード リベレーションズ』の頃から「原点回帰」が強調されるようになっていましたが、それでもまだシューティングゲームだった。『7』も『6』の流れを断ち切って大幅に変わり、原点回帰に近い路線も感じさせましたが、それでも敵を倒して先に進むシューティングゲームっぽさは根強く残った。今回の『バイオハザード RE:2』は、これぞ原点回帰という感じがする。本当に「サバイバルホラーのバイオハザードやってるなぁ」という。「原点回帰」を追い求めて、ようやくその完成形に近づいた印象。
原点回帰を感じさせる味を抽出しつつも、現代的なゲームとしてプレイしやすいところも優れている。大胆にリメイクしていて別ゲーっぽくなるはずなのに、初代の味がする。マップの仕様とかオートセーブ&コンティニューとか、旧作に比べて親切過ぎるところもあるのですが、現代に通用するゲームとして必要な部分は現代的にしている。
『1』の味があるけど、実際は『2』よりも簡単で親切かもしれない。でも現代の感覚でプレイして『1』の味がする「原点回帰」っぷりが凄いトリック。
しぶといゾンビ
撃っても撃っても簡単には倒れないゾンビ。動かなくなって倒したかと思いきや、また動き始めるしぶとさ。とにかく今回のゾンビはしぶとい。まともに倒していくと弾不足に陥る。これも久々に「ゾンビと戦ってるなぁ」という感じ。頭1発で死んでくれるゾンビではなく、ゾンビらしい驚異的なしぶとさを見せる。
壁際で迫ってくるゾンビを銃撃し、遅いし距離もあるから大丈夫だろうと思っていたらジワジワと距離を詰められる。パンパンパンと撃って「何で死なないんだコイツ!」と焦ってくる。遅いけどしぶといゾンビの恐怖を味わえる。
しかし、見た目はそんなに怖くない。グラフィックは良くて本来なら怖いはずだけど、映画や海外ドラマやゲームでゾンビは見慣れていますのでね。腐った死体がワーキャー叫ぶ事に、今さら恐怖を感じにくい。VRで怖いゲームも体験しているし。だからこそ、しぶといゾンビがジワジワ迫る今回のバイオハザードは良かった。見た目だけの怖さじゃない恐怖。久々に怖いゾンビだった。
しぶとい恐怖だけじゃなくて、上記した「シューティングとスルーのバランスの良さ」もある。しぶといから弾を無駄にせず脚だけ撃ってスルーとか、重要なポイントでは片づけておいた方が楽だから倒すとか、判断の面白さがあります。
リッカーもショットガン4発で丁度良い。これも倒すか逃げるかのバランスの良さがある。これが2発だったら、倒す1択になってシューティングゲームになる。
タイラントに追われるスリル
タイラントは『エイリアン アイソレーション』っぽい鬼ごっこ&かくれんぼ。固定ルートではないので、常に追われるスリルがある。サバイバルホラーとして面白く、足音で近くにいるかどうか判断できるのですが、それが近くなってくる恐怖は素晴らしい。「そこを歩く、という恐怖」どころか、警察署内にいるだけで怖い。恐怖に支配される感じが出ています。
ゲーム的な効率を考えると非常にやっかいない存在で、難易度を高めている大きな要因でもあります。タイラントだけなら鈍足なので逃げやすいですが、これにリッカーとゾンビが加わると、走っても歩いてもダメという絶体絶命な状況になる。アイテムを使って怯ませて逃げられますけどね。特に初見は難しいので、理不尽に思えてストレスを感じるのもわかります。でも、安全地帯がある事を知ったり、タイラント以外の敵の配置やルートを覚えたりすると、さほど難しくはないと気付く。ゲーム全体で見てもそうですが、最初は「難しすぎる!」と思えていた部分が、ボロボロと剥がれ落ちてくる感じも好きです。最初の大きな恐怖があった分、それに打ち勝つような気持ち良さもある。
音
今回は「音」も大事な要素であり、面白く機能していた。音を立てないように歩き、ゾンビ、リッカー、タイラントをやりすごす緊張感も良かった。逆にタイラントを足音で警戒するのも重要でした。
リアルに化物だらけの建物にいたら、当然ながら音を立てないようにしますよね。そういう息を殺すような感覚も出せていた。視覚だけじゃない、聴覚からの恐怖も印象的です。
変化を加えたエイダパートとシェリーパート
エイダパートとシェリーパートは一工夫あるものでした。ただ、どちらかと言えばあまり良くなかった。ゲームプレイに変化を加えようとして、それがあまり面白くない時間になってしまうのはよくあること。『スパイダーマン』のスパイダーマン以外のステルスとか。
エイダパートではスキャンしてハッキングするシステムがありますが、この作業に面白味は感じなかった。
シェリーパートで危ないオジサンから逃げるのは恐怖ですが、シンプルな固定ルートで逃げられるし、このゲームの周回プレイの面白さから考えても上手くハマってない印象。
どちらも短いので良いのですが、この方向性で長時間だったらキツい。例えばDLCがあったとして、こういう感じだとあまり面白くはないかなと思う。
パズルのようなレベルデザイン
レベルデザインが凄い。最初は理不尽に感じたほどなのに、マップとアイテムと敵を把握すると、とても遊びやすくデザインされている事に気付く。これに気付く楽しさもあり、周回プレイが楽しい。なので何周もしてしまった。スピードランが盛り上がるシリーズらしい洗練されたレベルデザイン。他の人がこれと似たようなゲームを作ろうとしても、このレベルデザインが大きな差になると思う。素人が見様見真似では真似できないような職人技。
解き方に気付かないと絶対解けないけど、解き方がわかればスッと解けるパズルみたい。ゆえに、難易度VERY EASYを用意できないとも思う。それがあるとパズル理解せずに解けてしまうから、面白さを感じにくい。それでも70点ぐらいの面白さは提供できるでしょうからあっても悪くはないんでしょうけど、最初の壁にぶつかった人がVERY EASYに行って、そのまま終わってしまったりもするかと思う。『エースコンバット5』の操作もそうでしたが、最初にちゃんとしたやり方を覚えれば難しくないどころか超楽しい。ここを間違えてしまうと面白い部分に辿り着けなくなってしまう。
逆に言うと発売後しばらくしてから難易度VERY EASYを追加するのはアリだと思う。
レオン編とクレア編があり、それぞれ2nd(裏)があるのはオリジナル版と同じですが、本作は各パートに繋がりはない。
これは良いところと悪いところがあり、良いところとしては職人技のレベルデザインを4回楽しめる。
悪いところはストーリーが噛み合わない。4回とも同じように進む部分が多いし、同じボスを倒したりもする。それぞれがIFストーリーに感じる。
戦略が優れているカプコン
近年のカプコンの戦略の上手さには驚かされます。3年連続で1月下旬に大作を合わせているので、見事に計画通りやれているんだと思います。2020年1月下旬にも何か出そうです。
2015年1月20日 バイオハザード HD REMASTER (PS4版)
2016年1月21日 バイオハザード0 HDリマスター
2017年1月26日 バイオハザード7 レジデント イービル
2018年1月26日 モンスターハンター:ワールド
2019年1月25日 バイオハザード RE:2
しっかりしてる片鱗は前々から見えていて、カプコンはダウンロード版の価格設定もユーザー視点で買いやすい価格に設定されていた。
私は人一倍ダウンロード版ゲームを購入しているので、このカプコンの値付けの良さも人一倍わかる。1,980円だと前のめるけど、2,138円だと「ちょっと高いな」と感じる差の大きさよ。
そして『バイオハザード7 レジデント イービル』の時から見えたプロモーションの上手さも継続中。『7』の時は最初に『Kitchen』というVRゲームを発表していて、E3 2016で「これは『Kitchen』っぽいなぁ」と思っていた映像が実は『バイオハザード7』だったという衝撃からスタートした。私も当時の感想で「『Kitchen』からこの発表までの展開、誰が作ったのか気になるセンス」と興奮気味でした。
『バイオハザード RE:2』は30分限定の”1-Shot Demo”が面白かった。限定されているし、長時間でもないから挑戦してみたくなる。逆転の発想でもあり、例えばTGSでは長時間並んで15分程度のプレイしかできないけど、ダウンロードする体験版なら時間を気にせず遊べる良さがあるはずであった。しかし、今回の”1-Shot Demo”は、家にいながらイベント会場でプレイするような1回30分に集中するプレイが楽しめた。そして「もっとプレイしたい」と思える終わり方で、待たされもせずに2週間後に発売。
プロモーションの効果はTwitterやYoutubeでの盛り上がりで感じました。『エースコンバット7』や『キングダムハーツ3』と発売日が近い中で、3日で300万本の大ヒットは凄い。オリジナル版の『バイオハザード2』が496万本ですので、最終的には大幅に超えると思います。
物議を醸すのは表現規制ですね。私は北米版の”1-Shot Demo”をプレイして、かなり苦手な部類のグロさでしたので、国内Z版をメインにしようと決めていました。
残念な点はVRに対応していないところ。今回は三人称視点ですし、対応させるとなると『7』以上のコストと難しさがあったと思います。そのうえセールスの上乗せも500~1000万本規模のタイトルからしたら誤差程度でしょうし、仕方なしか。でも、リッカーの近くを静かに歩くとか、タイラントに追われるVR体験があれば最高だっただろうなという夢を見る。
素晴らしいリメイクでした。最初の難しさで評価が割れるかもと思っていたけど、そうでもなかったですね。metacritic.comのユーザースコアは9.2点(718件)、Steamのユーザーレビューは96%が好評(7,368件)でした。

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