『スカイリムVR』が再燃して最近ずっとプレイしていたのでプラチナトロフィーを獲得。やっぱり最高だなぁと思って、ふとPSVRの2年間を振り返りました。
VRのためのゲームからゲームのためのVRへ
VRを振り返ると、本当に初期のVRのイメージは『PlayStation VR WORLDS』のサメでした。ロンチでは『サマーレッスン』も目立ちましたね。
自由移動の壁
初期は自由に動き回れないゲームが多い印象で(今もそうですけど)、私は『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』でゲロ酔いして、VRで自由移動させる事の難しさを知った。
こういう事情で既存の非VRゲームとは違う物が主流になるんだと思いました。その後のプレイ履歴を振り返ってみても、ガンシューティングやワープ移動のゲームばかりでした。2016年11月9日に『Robinson: The Journey (北米版)』をプレイしていますが、これも酔った。
自由移動が難しいというゲームとして致命的な欠点を感じていた中、状況を変えたのは『BIOHAZARD 7 TEASER – BEGINNING HOUR -』。自由移動できるVRゲームで、酔いを感じにくかった革命的ゲーム。希望の光でした。
専用タイトルよりフル対応タイトル
自分のPSVRゲームの感想記事を振り返ると、やっぱり同じようなタイプが多い。主観視点で自由移動不可のゲームがメインです。非アクションだとワープ移動で対応しているものも多い。
2016年11月29日の『Pinball FX2 VR』と12月の『STAR STRIKE ULTRA』は非VRゲームをそのままVR化したようなゲーム。ゲームのプレイ感は非VRのままで、エフェクトや雰囲気をVRで強化している。これも小さな衝撃を受け、今までの「VRゲームとはこういうもの」というイメージにヒビを入れました。非VRで楽しいゲームをそのままVR化しても全然アリどころか素晴らしいパワーアップ。
当初はVR専用のほうがVR対応よりも良いんだろうなと思っていましたが、この印象が変化して「今はPS VRフル対応タイトルが良い」と書いていました。
この考えを定着させたのが『バイオハザード7 レジデント イービル』をVRモードでクリアした時。AAA級のシリーズがVRフル対応で、しかも酔わなくて、通常モードでは良作だったのが、VRモードでは「並ぶ物がない傑作」だったと書いていました。非VRモードで85点のゲームをVRで強化して95点になるようなイメージ。これでこの時はVRフル対応最強説を決定づけた。
PlayStation VR シューティングコントローラー
『バイオハザード7 レジデント イービル』以降もソフト側に大きな変化は見られない状況でした。そんな中、北米で2017年5月にリリースされた『PlayStation VR シューティングコントローラー』と『Farpoint』もPSVRにとって革命的なものでした。
未だに解決していないPSVRのコントローラー問題。デュアルショック4は直感的でない、Moveは直感的だが移動やメニュー操作などの基本操作でデュアルショック4よりも劣る。
『PlayStation VR シューティングコントローラー』は銃撃ゲームに限定されますが、直感的であり、移動やメニュー操作もデュアルショック4と同じスティック&方向キーで行える。最適なコントローラーがあれば、こんなにもVRゲームが楽しくなるのを知ると同時に、PSVRには優れた標準コントローラーがないという問題もはっきり感じた。
このシューティングコントローラーには惚れ込み、対応タイトルは全部購入していました。
ベルトスクロールアクションとVR
2017年9月12日にリリースされた『Bloody Zombies』はクラシックなベルトスクロールアクションのVRゲーム。前述した『Pinball FX2 VR』に近い発想ではありますが、目の前に大きなジオラマのようなセットがあって、そこでベルトスクロールアクションをプレイするというもの。
初期に感じた「VRらしいゲーム」とは真逆ですが、感想では「VRの可能性を広げるゲーム」「これ作った人すごいと、素直に驚けた」と書いていました。今でも「よーし、VRゲームを作ろう」と思って、ベルトスクロールを作っちゃうのはすごいと思う。この時点で、VRゲームに持っていた固定観念が崩れた気がします。古典的なベルトスクロールアクションでも良いんだと。
VRのRTS『V!勇者のくせになまいきだR』
2017年10月14日に発売されたこのゲームはVR専用タイトルですが、非VRのシリーズをVRで作ってみたもの。これも目の前にジオラマのようなセットがあり、そこでRTSをプレイする。考え方としては非VRゲームのVR強化にも近い。
でも魔王やムスメが同じ世界の中で一緒にいるという感覚はVRならではの魅力であり、ゲーム系サイトでもムスメがかわいいと評判になりました。
VRフル対応最強説の他に、非VRゲームをVR専用ゲームとして落とし込む良さを見せた。これは後の『アストロボット』へも繋がる。非VRゲームとしての成熟した面白さのうえに、VR専用にすることでVRでしかできないこともメイン部分に導入できる。
スカイリムVR(北米版)
2017年11月17日、北米で『The Elder Scrolls V: Skyrim VR』がリリースされました。未だに私のベストVRゲームです。「完璧、そして最高のVRゲームでした」と大絶賛していますし、プラチナトロフィーを獲得した今はそれ以上の評価と満足度。
立ちプレイに変えたのですが、臨場感がアップしました。身長もリアルに感じられる。
スカイリムは非VRで95点のところVR強化で105点というバグったようなレベルに到達したイメージ。でも敷居は低くなくて、まず酔いの問題があります。VRビギナーで酔い耐性がない人はキツいと思う。Moveでの操作に関しては「プレイの壁となるのは操作だけですが、慣れれば全然問題ないどころか、動かしていてめちゃくちゃ楽しい」と楽しさにはしゃいでいますが、やっぱり慣れるまでは難しいと思う。それでもバージョン1.04で操作方法が少し変わっていますので当時よりは良くなっている。
慣れても、移動やメニュー操作がスティック&方向キーに劣りますので、このゲームを100%満足させるコントローラーは、まだないと言える。このゲームが面白すぎて「新型Moveを!」という思いが強くなりました。
VR内のテレビでゲーム
2018年5月29日に配信された『SEGA Genesis Classics』がアップデートでVR対応。このゲームはメガドライブのゲーム詰め合わせなのですが、VR世界内のテレビでゲームするというVR対応。
この発想も面白かったし、もう「VRゲームらしさ」という狭い考え方も消えた。基本、なんでもいいなと。面白いか面白くないかだけ。
VR FPSの金字塔『Firewall Zero Hour』
『The Inpatient -闇の病棟-』は好きだったけど評価が低いのは納得できて、『Bravo Team』はハマらなくて評価も低くて、SIEが販売するゲームの弱さが気になっていたところ『Firewall Zero Hour』が超高評価。私も最初の感想で「FPSゲームの世界に入り込んだ感覚が素晴らしい」と書いていましたが、「これかなり良いんじゃない?」とドキドキしながら他ユーザーの評価を待っていたところ、予想以上の超高評価でした。
非VRゲームで熟成されている対戦型FPSというジャンル、それを素直かつシンプルにVR化した印象。そしてシューティングコントローにも対応しており、操作感も良い。非VRとして面白いゲームを素直にVR化すればもっと面白くなるという好例。
黎明期の締めにふさわしい『アストロボット』
PSVRの黎明期がいつまでかは何とも言えないけど、PSVR発売日は2016年10月13日で、満2年を迎える直前の2018年10月4日に『アストロボット』がリリースされました。もう最初の2年を黎明期としてとらえ、これを最初の時代の締めの1本にしたい超高評価VRゲーム。『Firewall Zero Hour』の時に「こんな評価の高いVRゲームを見たことない!」と思いましたが、わずか1ヶ月後に超えてきました。
『スーパーマリオ64』や『スーパーマリオ オデッセイ』の影響が濃いゲームとも言われており、私もそれを感じます。『ラチェット&クランク』や『KNACK』らSIEのゲームシリーズのエッセンスとも感じられる部分もありますけどね。これは『V!勇者のくせになまいきだR』のところで書いた「非VRゲームとしての成熟した面白さのうえに、VR専用にすることでVRでしかできないこともメイン部分に導入できる」というタイプのゲームで、VR内で非VRゲームをプレイするのとは違い、プレイヤー自身もゲーム世界に入って干渉して、VR専用ゲームでしかできない遊びになっている。
ジャパンスタジオがここまで質の高いゲームを作ったことも驚きです。アイデアは素人でもいろいろ言えるけど、質は一流のクリエイターにしか作れない。「〇〇みたいなゲーム」は腐るほどあって、ヒットしたゲームに似たゲームがたくさん出て当たり前。でもオリジナルが85~95点のゲームを真似ても、出来上がるのは65~75点のゲームであり、やっぱりオリジナルの質には及ばないと知る。マリオっぽいVRゲームを作ろうという発想は普通にあると思いますし、その中でVRを生かすアイデアも当然入れる。でも普通なら、ガワを真似ただけで本質的な面白さは真似られず65~75点のゲームになる。そこが『アストロボット』は違った。なぜ急に職人集団のような質になったのか、驚きです。このチームが作る次のゲームにも期待する。
だから『アストロボット』を真似たVRゲームを他社が作っても65~75点のゲームになる可能性も高いと思う。非VRゲームでは星の数ほどあるプラットフォーム・ゲームですが、高評価を得るほどの質を持っているタイトルは少ない。超面白く作るのは難しいジャンルでもあると思います。
初期の「VRらしさ」のイメージに縛られたゲーム、移動の壁、クラシックなジャンルもVR化すると良くなること、非VRで熟成されたゲームをVRで強化するとより楽しくなること、こういったここまでの経緯を全て吸収した上で生まれた1つの答えのようなゲーム。やっぱり黎明期の締めにふさわしい。
テトリス エフェクト
これはド定番をゲームをVRで強化したゲーム。テトリスは1984年に誕生したらしいですが、それをゲームの中心においたVRゲームということで、これも初期のイメージの「VRらしさ」にはまったく縛られていない。馬鹿の一つ覚えのように言っている、VRのためのゲームではなく、ゲームのためのVR。ゲームを良くするためにVRを効果的に使っている。
2つの軸
しばらくは、
- VRフル対応(VRリメイクorリマスター含む)
- 非VRで熟成したゲームをベースにVR専用化
という2つの軸で面白いゲームが作られていくかと思います。後者は前者に比べて小規模になりがちなのが難点です。現在のVR市場では、スカイリムやバイオハザード級の作品は作りにくい。超大作となると、非VRゲームのVRフル対応のほうが現実的。
3つめに今までは実現できなかったVRでしか出来ないゲームの形も期待したいですが、最初の衝撃は大きくても普遍的に残せる面白さを生むのは中々難しい気がします。1発屋で終わりがちになるんじゃないかと。これはPS3のMoveやWiiの時に感じました。デバイスに合わせて作るのは難しく、目新しさはあっても結局は続かなくなる。目新しさは目立ちやすいし評価しやすいですけど、それだけではユーザーはついて来ないので売れなくなるから続かない。
サメやサマーレッスン自体は悪くないですが、この方向を「VRらしさ」として強く求めて走っていたら、楽しいゲームは生まれにくかったと思いますし、既に末期を感じるような状況だったかもしれないとすら思う。PS3のMoveの時みたいに。
私はVRゲームを多く遊んでいますが、VRが好きなわけではなくゲームが好きなのであり、ゲームをより楽しくしてくれるのがVRだからPSVRの利用頻度が高い。2年の短い期間でPSVRのゲームが成熟してきた感もあり、ここ最近は面白いゲームが連発している。そして面白いゲームのベースには非VRで熟成したものがあり、ゲームの作り方として良い方向を向いていると思います。
3年目に入っているPSVR、次は2018年12月14日の『ボーダーランズ2 VR』が『スカイリムVR』に続く超大作VRゲームとして期待。
PSVRには新型コントローラーも期待したいところですが、2020年末か2021年末にはPSの次世代機の登場も予想される中で、PSVRのメインコントローラーのような物を出すのは難しい時期かもしれない。
ロンチで購入したPSVRの2年間、予想以上に使っていて大満足でした。新しいゲームと映像の世界も見せてくれた。後にこの世代を振り返った時に「VRの衝撃」は外せない。
コメント
>>Nさん
やらないとわからないというのが最も難しいポイントですね。体験会などの活動もありますが、やはりネットの動画で見せられるものと比べて規模が小さすぎます。
1発ネタで盛り上がるよりも、良いゲームが定期的に出て強い地盤が作られると良いと思っていますが、市場が大きくならないと開発側がついて行けないだろうし、難しいところではあります。
なんにせよ、個人としては面白いゲームを期待するのみですが。
記事内のゲームを全てプレイしたわけではありませんが、すごく共感できる素晴らしい記事だと思います。
ただ、実際にVRで様々なゲームをプレイした人にしか伝わりにくいのだろうなというところにVRの難しさを感じます。
「VRが好きなわけではなくゲームが好き」な人に、「ゲームをより楽しくしてくれるのがVR」ということがより伝わることを願います。