4K+VR『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』

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『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』をVRモードでクリアしました。

VR“対応”タイトル

本製品は、PSVRに対応している事が話題になりましたが、PSVR“専用”ではなくPSVR“対応”タイトルであり、非VR環境でもプレイできるゲームです。

 

私はオリジナルの『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』は未プレイで、PS3のHD版を少しプレイした記憶がありますが、操作方法も覚えていない。ほぼ初プレイのゲームとして楽しめる。

VRと相性が良いグラフィック 

グラフィックはフォトリアルではなくアニメ寄りなので、VRでも粗が出にくくて良いです。アニメっぽいグラフィックはシャープに見えやすい。アニメ寄りのグラフィックは古さを感じにくいのも強み。リアルな顔グラフィックとかだと、旧世代の物は不自然さが隠せません。表情の細かな演技や質感の進化が凄いですからね。
元々はPS2のゲームなので重い処理もないでしょうし、AAも機能しており、チラチラユラユラした感じはない。

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スッキリクッキリ見やすいですけど、元々の素材や技術が古いこともあり、平坦さは感じるところがあります。あくまで古いゲームのリマスターである。そういう意味じゃ音も平坦な気がする。

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イベントシーンはシネマティックモード状態になります。でも平坦なプリレンダムービーじゃなく、立体感を感じる3D映像で、オシャレな演出もイケてて面白い映像になっている。

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イベントシーンの楽しみ方は、映画館をイメージすること。VRゲームにおいて客観的視点はあまり合わないものですが、このゲームの場合は映画館で映画を見ている感覚になった。画面下の黒い部分に客席の存在を感じるほど。小島監督の作品なだけあり、シネマティックモードが持つ映画館の雰囲気と見事に合う。
本来なら臨場感がなくなってしまうはずのシネマティックモードへの移行ですが、逆に上手く利用できている感じ。

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VRゲームとして良い

このゲームをVR対応させようと考えた人に脱帽。グラフィックもそうですが、ゲームプレイもVRにフィットしています。スピード感のある激しいゲームで、VRにおけるフリー移動と相性が悪いかと思いきや、効きすぎるくらいのロックシステムにより、ほとんどフリーカメラとフリー移動は必要としなかった。敵だけじゃなく、目的地までの道にもオートロックされるポイントが丁寧に敷いてあり、移動が便利でした。VRに慣れている人からすれば道中のオートロックポイントはなくても良いですが、まだまだ黎明期のVRにおいては慣れていない人のほうが多いはず。そこをちゃんと考えて、VR初心者でも楽しめるゲーム作りをしっかりしていると思いました。かなり丁寧。

 

ロックした状態で、前後左右へのダッシュ、近距離と遠距離攻撃、ダッシュ攻撃、バースト攻撃、掴み攻撃、サブウェポン、ガードなど、行動の選択肢が多くて楽しい戦闘ができた。スタイリッシュに戦えるので単調さを感じにくいというか、自分で様々なアプローチができる幅がある。

 

ロックが効きすぎてゴチャゴチャする事も多々ありますけどね。進みたい方向に進むのが上手くいきにくかったりもした。おそらくゲームとしての一番の難点は、このゴチャゴチャ感なんでしょうね。
そんな中で感覚を研ぎ澄ませて慣れていく感じが、パイロットとしての成長を実感できて面白くもある。アクションゲームにおいて、ゲームプレイの上達を実感できる部分は大事です。

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コックピット視点でのVRプレイはエースパイロット気分でテンションが上がります。自分がそこにいる感覚、自分が体験する感覚、これをANUBISの世界で感じられたのが素晴らしい。悔しいのは、オリジナル版に深い思い入れがなかったこと。初見プレイでも惹かれて浸れる世界ですが、積年の思い入れがある人なら感涙ものだろうなぁと思いました。

VERY EASY

VR向けに追加されたVERY EASYという難易度のおかげで、ANUBIS初心者でもストレスフリーでVRモードが楽しめる。

 

オリジナル版は三人称視点なので、VR+コックピット視点になると問題が生まれるのではないかという不安がありましたが、とりあえずはVERY EASYモードで問題を感じなかった。慣れてくると、さすがに簡単過ぎますけどね。でもこの簡単すぎる難易度が必要だった。上記したようにVR初心者でも楽しめるように作ってある。

 

一番の問題であろうゴチャゴチャ感ですが、VERY EASYがあるおかげでゴチャゴチャする場面もゴリ押しできるという良さもあります。もしVERY EASYがなくてゴチャゴチャ感で死ぬようなゲームだったら、ストレスマッハの駄ゲーになっていたかもしれない。この一手だけで、良ゲーと駄ゲーに分かれかねない。

 

困難を打開するアクションゲームとは違う形の面白さも提供してくれていて、ごっこ遊びのような演じる楽しさ。プレイヤーがこの物語の主人公になりきれて、敵も時代劇の雑魚敵のようにやられてくれる。演じる映画体験ですね。これもVRならではの魅力として、とても大事だと思う。従来のアクションゲームのような最低限の歯応えを求める考え方じゃなく、VRアトラクションとしてプレイヤーをショーの主役にして盛り上げて楽しませるようなアプローチも良いです。VRの「体験の強さ」を生かしたエンターテイメント。

1周4時間未満

4時間未満でクリアできますので、1周のボリュームは少なめです。クリア後にEXミッションモードがあります。短いのでストーリー的にはダレずにまとまりがあり、カッコいいセリフや熱い展開など映画さながらに楽しめた。

4K + VR

VRフル対応作品や旧作のVR化は、過去記事で何度か書いていますが、現状は個人的にベストだと思う形。『Firewall Zero Hour』がPSVR専用タイトルの魅力を出した後なので説得力は薄まりますが。
お金がかけられないPSVR専用タイトルでミニゲーム的になるよりも、非VRで面白いゲームをVRに対応させる方法。『スカイリムVR』『バイオハザード7』『Rez Infinite』らがその代表。『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』もこの枠組みの良作として新たに加わった。

 

PSVRがリリースされて2年近くになり、もう斬新さとかオリジナリティだけでは魅力を感じなくなってきている。いよいよゲームとしてのクオリティが求められる。Twitterを見ていても、VRを触らなくなったという声はチラホラ見る。やっぱり最初は斬新さとか目新しさに感動しても、それに慣れていってしまうと、非VRのゲームと比べて浅いゲームが多いことにも気付く。VR自体がよっぽど好きなVRファンでなければ、ゲームとして深みのある非VRのゲームに戻ってしまう。明日の『スパイダーマン』も最新ゲームの凄味をとことん味あわせてくれそうですしね。MoveやキネクトやWiiリモコンもそうですが、結局、斬新さが売りでも浅いゲームじゃ飽きられる。非VRゲームと同等以上じゃないと長期的な勝負はできない。

そんな中で『Firewall Zero Hour』の存在は大きかった。これは非VRでは替えが利かないゲーム。ジャンル自体はチーム対戦型のFPSというありふれたジャンルですが、非VRのゲームと競えるだけのクオリティがある。ゲームプレイヤーが一過性の物珍しさではなく、ゲームとしてハマって熱くなれる。こういうゲームが何本も出てくるとPSVRも大きく成長できるでしょうけど、そう上手くはいかない。定番ジャンルで『Firewall Zero Hour』のようなユーザーが大歓迎するタイトルが出ればいいんですけどね、例えばレースゲームとか。
こんなにAmazonで評価が高いゲームは初めて見たかもしれない。41件中の38件が★5。

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『スカイリムVR』『Rez Infinite』『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』のようなリマスター + VRという形が今後も続けば良いなぁと思います。非VRでも面白いゲームがVR対応、最高です。3本ともVR対応の上手さもありますが、非VRゲームとして本気で作られて、一定の評価を得ている土台があってこそ。こういう土台を新規で作るのは至難の業。

 

このゲームは北米版が$29.99で日本版が5,378円ですけど、日本版が適正価格だと思える魅力がありました。ここまで面白くVR化しているなら、不満は感じず有難味しかない。Cygames、今後も期待します。

 

ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS - PS4

ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS – PS4

 
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