北米Storeで配信中の『We Happy Few』($59.99)をクリアしました。
最初の感想と大きくは変わらない。世界の設定とストーリーは面白く、それ以外のゲームプレイは現代基準のゲームと比べて見劣りする。
『We Happy Few (北米版)』最初の感想 – PS4ちゃんねる Pro
3話構成の良し悪し
ACT 1~ACT 3までの3話で構成されている群像劇です。3話構成の良いところと悪いところがはっきり出ました。
良いところはメインキャラ3人が絡み合うストーリー。群像劇の魅力がしっかり出ていて、視点が変わると見方も変わるし隠れていた真実も見える。ACT 1だけでもストーリーは面白かったですが、ACT 2以降には鳥肌の立つようなところもあり、群像劇だからこそ出せるストーリーの深みがありました。
仮面を発見すると失われた記憶の一部が見られるのですが、これも上手くハマっていた。少しずつ真相が見えてくるのが良かった。
悪いところはACTが変わると全てリセットされるところ。収集や強化要素のあるゲームなのですが、ACT 1でやり込んでもACT 2に進めば全て消えますし、戻ることもできない。このためメインストーリーだけを効率良く進める気になりました。オープンワールド系のゲームで収集・強化要素もあるのに、それをやる気になれない仕様。寄り道する気にならなかったのは、メインストーリーが面白かったからでもあります。
世界の設定、ストーリー、キャラクターがとても良かったので、この世界に住んで生活できるようなゲームでもあれば良かったのですが、ストーリーベースの3話構成とは相性が悪かったようです。サンドボックスモードが後日追加されるようですので、そのモードでは、じっくり生活できるようになっているかもしれない。
ストーリーは面白いですけど、日本語の場合は5%未満でありますが未翻訳のところがあります。エンディングの重要な部分が翻訳されていなかったり、日本版としては未完成。字幕の表示もおかしい時があります。
長距離移動のおつかい
ACT 1は初めて行くエリアばかりで新鮮さもあり、冒険している感じがありました。しかし、ACT 2は同じ場所を何度も行き来して、ボリューム水増しのおつかいっぽくなりました。ストーリーは気になる展開を見せて魅力がありましたが、ゲームとしての面白味は欠けた。
このゲームの無駄な移動距離の長さは大きな問題。ゲーム内で1000m級の移動を何度もする事になりました。ダッシュ→歩いて休む、をひたすら繰り返す作業。技術的問題もあり、ダッシュ中にロード画面が挟まれる事もありました。
ほぼクリアだけを目指しても25~30時間ほどのボリュームはあるのですが、むしろ12時間くらいで終われた方が良かったように思う。水増しされたようなおつかいと長距離の移動でプレイ時間が増えてしまっている。ゲームプレイ自体は引き延ばされた薄味で、あまり楽しいとは思えない。でもストーリーは面白いので、先に進めたくなる魅力がありました。
低評価は納得ですが独自の魅力
同じようなエリア構成で敵がテキトーに配置されているようなレベルデザイン、AIの悪さ、そのためステルスゲームとして出来が悪い。戦闘も平均未満のアクション。バグや技術的な問題も多く、UIもイマイチ。調べられる場所とそうでない場所がわかりにくいところがある。長距離移動のおつかい。収集や強化をやり込む気になれない仕様。減点ポイントが多く、PC版のメタスコア64点(37件)/ユーザースコア5.6点(69件)は納得できます。
ここまで低い評価になったのは、最近のゲームの進化が凄すぎるからというのもあると思います。ステルスゲームなら敵のAIが状況を理解して人間っぽく捜索しつつ、でもプレイヤーに隙を見せるゲーム的な動きもあって遊びやすかったり、プレイヤーに手札がたくさんあり、自分好みの攻略ができてアサシンごっこを楽しめる。サバイバル系のゲームなら自分の生活拠点を強化していくようなシステムがあって、危険な世界だからこそ安心できる基地作りが楽しい。高すぎる現代基準のゲームと比べると『We Happy Few』は明らかに見劣りする。
粗くて雑なところがカオスで楽しいと思えるところもある。洗練されたものを求めず、割り切って遊べば楽しめる。
しかし、このゲームで一番気になっていた世界の設定とストーリー。そこは満足できたので良かった。脚本はAlex EpsteinとLisa Hunterとのこと。両者ともゲーム以外の脚本で活躍している方のようです。
ACT 2の途中で、このゲームを止めようかどうか迷いましたが、やっぱりストーリーが気になって続けて、最後まで引っ張ってくれる魅力がありました。世界の悪と戦うというわけじゃなく、3人の個人的な事情を描くもの。クリア後には良い余韻を残してくれました。