北米Storeで2018年5月1日にリリースされた 『Killing Floor: Incursion』($29.99)。『Killing Floor』の素材を使ったVRサバイバルホラーアドベンチャー。
基本操作
Move2本持ち専用のゲームです。
日本語には未対応。
右手Move
- □ – リロード
- T – 物を持つ/銃撃
- M – テレポート移動
- ×/〇 – 左右の視点操作
左手Move
- △ – リロード
- T – 物を持つ/銃撃
- M – 自由移動 ※SETTINGSでONにした場合のみ
- 〇 – タブレットのメニューを開く
自由移動と滑らかな視点操作
嬉しい事に自由移動と滑らかな視点操作に対応しています。デフォルトでは両方ともOFFになっていますので、SETTINGSのメニューからそれぞれONにして使用可能。
自由移動は左手Moveを進みたい方向に倒してMを押す。『ザ エルダースクロールズ V:スカイリム VR』と同じ。
視点操作も同じで、右手Moveの×で左、〇で右に視点が動く。デフォルトでは45度ごとのスナップ切替ですが、SETTINGSで滑らかな視点操作に変更可能。
この自由移動と視点操作は、Moveにおける標準操作となりそう。
武器のホルダー
胸に二丁のハンドガンホルダーがあります。ホルダーにハンドガンを近づけてTを押すとしまえる。ハンドガンを取る時も同じ。VRらしい操作です。
背中には2本のナイフホルダーがあります。ナイフの場合、Tを押しっぱなしで持ち続けるので、しまうときはTを離す。落としてしまったナイフは自動でホルダーに戻るという親切機能もある。
ナイフの持ち替えもリアルな操作で可能。
VRサバイバルホラーに必須とも言えるフラッシュライトもあります。これも胸にホルダーがあり、スイッチをONにしてからホルダーに入れておけば正面を照らせる。
落ちているアイテムを拾うには、片手に何も持っていないことが条件。ゆえにホルダーは多用する。
VRらしい操作でホラーらしい不便さでもあり、右手に銃、左手にナイフを持っていたいのに、パズルのピースを探すために片手は何も持たず探索する必要があったりする。クリーチャーと遭遇すると慌ててホルダーに手を伸ばしてワチャワチャします。ここは戦闘重視の『Killing Floor』とは大きく違うポイントかと思う。戦いやすいゲームではなく、あえて操作の難しさとか不便さも入れている感じ。『Killing Floor』そのままを求めてしまうと不便さが気になるでしょうけど、VRサバイバルホラーアドベンチャーとしての設定なら納得できる。
手榴弾は右手で持って左手でピンを抜いてから投げる。手榴弾を持って使うためだけに両手を使うので、この状態で敵に接近されるとマズい。
室内の狭い空間でスナップ切替にしているとオブジェクトに引っかかることがあり、『バイオハザード』の物真似でやられるような動きをVR内でやっている感じもある。
落ちているアイテムを拾う時に指先から線が出て、それを対象に当ててTを押すだけで拾えるのは便利。これはとてもナイスな判断。
VRゲームにおいて、物をつかむのが面倒なゲームは多々あり、しかもその操作自体に面白味は少ない。特に座りプレイ推奨のPSVRは地面に落ちている物を拾う操作がやりにくい。『Killing Floor: Incursion』には、そういう煩わしさはない。落したナイフが自動で戻る機能もそうですが、「そこを面倒(リアル)にして楽しいのか?」というところをちゃんと考えている感じ。VRらしいリアルな操作を入れつつも、何でもかんでもリアルにしては良くないのをわかっている。このあたりのVRゲーム作りのセンスは良いと思った。
STORYとHOLDOUT
ゲームモードは「STORY」と「HOLDOUT」の2種。『Killing Floor 2』のVR版ではなく、その素材を使いつつのスピンオフという印象。ですので『Killing Floor 2』のファンからしたら肩透かしな部分があったかもしれない。Steam版の評価が63%(133件)が好評という低めの評価の要因にもなったか。
「HOLDOUT」は戦闘に特化したモード。「STORY」は『バイオハザード』っぽいゾンビサバイバルと謎解き。ハンドガンとナイフでクリーチャーを倒しながら、発電機の燃料を探して発電機に注ぎ込んでシャッターを開けたり、壁の穴がパズルになっていて5つのピースを探してハメ込んだりするパズル。ゲームにおける正統派のサバイバルホラーという印象。
ゲーム開始直後のホラー感は素晴らしく、そこにいるだけで不気味さと恐怖を感じるVR世界で、気持ち悪いクリーチャーが迫ってきて、いきなり恐怖メーターが振り切れる。
そして自由移動できるVRホラーは最強だなと思える。難しい仕掛けを考えなくても、これだけで極上のホラー体験。視聴するのとは違う、クリーチャーと同じ世界にいるのはリアルな恐怖。
しかし、ホラーとしては残念な部分もあります。ゲームの舞台がシミュレーターっぽいこと。ゲームの中においてもクリーチャーはプログラムが作成した偽物。目の前に青い光が出てポップすることも多々ありますし、部分的に無限湧きですので、せっかくVR世界においてリアルな恐怖を味わえていたのも薄まってくる。ゲーム内ゲームとしてクリーチャーが緩い存在になる。
冒頭こそクリーチャーの存在は極上の恐怖でしたが、しばらくプレイすると単なるアクションゲームの敵に感じる。
難易度NORMALでプレイしていますが、『バイオハザード』よりもかなり易しい難易度設定。序盤はナイフだけで無双できます。回復アイテムもたっぷり落ちている。
ゴア表現が特徴的なゲームで、ナイフで首や腕をバッサバッサ切るのはエグい。コントローラーのボタンを押すのではなく、自分で腕を振るわけですから。しかも、切断した腕や首を持って武器にできるし、持った首がウニョウニョしている気持ち悪さ。
戦闘自体はかなり楽しい。ハンドガンの精度も手応えも悪くないですし、敵のリアクションも良い。ヘッドショッドが決まると1発で倒せるので、狙い撃つ楽しさと気持ち良さもある。ナイフのバッサバッサ感も上位の通り。
グラフィックはチラつくけど見やすい
グラフィックはチラつきが気になるところがありますが、広々としたエリアが多いせいか見やすい。
VRゲームの基準としては標準的なグラフィックレベルに入るかと思います。
不安定かもしれない
2時間ほどのプレイで、冒頭のチュートリアルで操作不能になったのが1回、トロフィーを獲得した直後にエラーで落ちたのが1回。低確率でたまたま不具合に当たっただけかもしれないが、最初の印象としては不安定さを感じました。
ただ、ナイフを振り回す時にコードを引っ張ったこともありましたので、それが不具合に繋がったのかもしれない。
VRサバイバルホラーアドベンチャーとして面白い
『Killing Floor』の素材を使っていて、ゴア表現やZed-Timeなどに「らしさ」もあるわけですが、『Killing Floor』ではないVRサバイバルホラーアドベンチャーとして見たほうが良いです。『バイオハザード』っぽいパズルとゾンビサバイバルのVRゲーム。『Killing Floor』のVR版として見ると肩透かしでもあるけど、VRサバイバルホラーアドベンチャーとしては良作なんじゃないかと思う。
Moveで自由移動できるのは良い。Move2本持ち専用という事で不安でしたが、『ザ エルダースクロールズ V:スカイリム VR』と同じ操作で安心。戦闘も面白い。しかし、ゲーム内においてもプログラムで作られた世界というのが見え過ぎてしまう部分が残念。せっかくのリアルなホラー体験を潰すような舞台設定なんじゃないかと思いました。
まだ2時間程度のプレイなので、これから印象が変わるかもしれませんが、最初の印象は良いです。