2018年2月21日にリリースされた『メタルギア サヴァイブ』。シングルプレイモードをクリア直前までプレイしました。
『メタルギア』でないことは理解
βテストでも言われていましたが、タイトルに『メタルギア』とあっても従来の『メタルギア』とは違います。Fox EngineやMGSV:TPPの素材を使っての別ゲーム。サバイバルということで『7 Days To Die』の影響が濃いように感じました。
ストーリー的には『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』終了後ということなので繋がりはありますが、無理に繋げている感もあって、多少の「っぽさ」はありつつも、ほぼ『メタルギア』と関係ない印象。
冒頭1時間は「ムービーゲー」と言えるくらいムービーが多いですが、そこが終わるとムービーはあまり無い。簡易的な無線でストーリーが語られます。終盤に入るところからムービーが少し増える。
面白いのがMGSV:TPPでもあったカセットテープで語られるストーリー。これは任意で聞くものですので、気付かなければスルーしてしまうところ。よりキャラクターに深みが出るし、現場の緊張感も伝わる。しかもプレイしながら聞けるので邪魔にならない。本当に良いシステムだと思う。
ストーリーは十分に楽しめています。基本を押さえているというか「気になる謎」で気を引いたり、人間関係の面白さとか裏切りなどを丁寧に入れている。「地獄から脱出しよう」というだけの平坦なものではないです。『メタルギア』ではない、海外ドラマの『LOST』的なものという印象。
最初は食料と水の管理が最重要
このゲームに「合う」「合わない」を大きく分けると思われるのが、とても緊張感のあるサバイバル要素。戦闘ではない部分で。
このゲームには食料と水の概念があり、時間経過で減っていく。けっこう減りが早く、お腹いっぱいで出発しても、目的地に着く途中で空腹になっている状態。ベースキャンプにいるだけでもグイグイ減っていきます。でも食料の調達は簡単じゃない。特に序盤は空腹との戦い。餓死の危険を感じながらの緊張感のあるサバイバル。アクションでもステルスでもクラフトでもなく、食料調達が重要な部分を占めていますので、それこそ従来の『メタルギア』とは全然違う。
自由に探索、なんて余裕はなく。まずは食料と水の確保に命をかける。
食料が貴重だからこそ、ネズミやジャガイモに有難味を感じられる。最初は汚い水を飲んで、お腹を壊していたけど、きれいな水や水筒を量産して水の有難味も感じる。プレイ開始直後は設定が厳しすぎるんじゃないかと思いましたが、プレイしていくうちにサバイバルの緊張感が楽しめる良い設定だと思うようになりました。ゲームの軸として『サバイバル』がしっかりある。
序盤を抜けるとゲームに慣れるし、水と食料も調達しやすくなります。
5時間でやめようと思った
最初は、あまり面白くなかったです。MGSV:TPPをベースにした緊張感のあるサバイバルで悪くはないけど突き抜けた魅力もなく、テンションもモチベーションも上がらない状態でした。その中で近接戦闘のショボさとか、大量の敵がいるのに1体あたり5秒近い剥ぎ取りの面倒さとか、ミッション中に死ぬと大幅に巻き戻って30分くらい無駄にするとか、面白くない部分に押されそうになって5時間もたないくらいでやめようかと思いました。
少しずつ丁寧なアンロック
やめようと思ったところで新しい要素がアンロックされるので続ける原動力になりました。最初にチュートリアルを詰め込むタイプじゃなくて、5時間や10時間かけて新たな要素がアンロックされていく。「このゲームすごい!」と思ったのは、クリアしたかと思いきや「ここからが本番」とも思える転換。
中盤までは敵の種類も少なく単調ですが、終盤に強い敵が現われて武器やガジェットの選択肢も増えたところで急激に面白くなった。戦い方の幅の広さもあり、ステルスの重要性も増して「あれ?これメタルギアっぽい」と思った。そして、楽しい。終盤にこの状態に持ってくるのが凄いところ。「これはメタルギアとは別のゲーム」と理解してプレイしてきたところで、意表を突く転換。
少しずつアンロックされていく要素と、ゲームに慣れてきたことで「イマイチ面白味がわかりにくい」という前半のモヤモヤが吹き飛びました。
ゲームバランスも歯応えがあり、タワーディフェンスっぽいところでは、基地の耐久度がギリギリで勝てて最高でした。
面白いけどもったいない拠点開発
このゲームの一番もったいないところは拠点開発。『7 Days To Die』や『Fallout 4』の拠点開発は素晴らしくて、延々と楽しめるものでした。
『メタルギア サヴァイブ』は固定された1つのベースキャンプのみで、拠点開発も簡易的で自由度が低い。サバイバルの緊張感が素晴らしいだけに、ホッとできる拠点開発にこだわれるシステムなら良かったですが、物足りない部分となりました。
救難信号を出している人を抱えて戻り、新たな住人となる。ここも「MGSVっぽい」と思った。
防衛だけでなく、生産、住居、住民の概念もあるし、サブ要素としてみたら良い出来なのですが、サバイバルゲームにおいては大失敗というくらいのもったいなさ。ここさえ『7 Days To Die』や『Fallout 4』のようにハマれるものだったら、全ての減点要素を吹き飛ばして満点になれたかもしれないという大事な部分。私は2016年に最もプレイしたタイトルとして『7 Days To Die』を挙げていましたが、このゲームのメディア評価は赤点ですし、実際に粗だらけでチープです。でも拠点開発と「その世界で生活する楽しさ」にハマった。『メタルギア サヴァイブ』にもそれさえあれば、最高の1本になったと思う。
悪いわけじゃなくてむしろ面白いポイントだけど、限界突破で加点できるポイントを生かせていないといったところ。
拠点開発の面白さは終盤になると大きくなる。ストーリーに沿ってアンロックされていく要素が多いので、最初は自由度が少ない。
最終的にめっちゃ楽しい
最初はFox EngineやMGSV:TPPという下地の良さもあり、少し厳しめのサバイバルが緊張感を生んでいて『7 Days To Die』っぽい要素も良いけど、突き抜けた魅力がなくて70点台で及第点という印象でした。
でもプレイ続けていくうちに右肩上がりで面白くなっていった。少しずつアンロックされていく要素は、受け入れやすいし常に新鮮さがあってダレない。ゲームに慣れてきてストレスも減り、反比例で面白さが増えていく。ステルスアタックの面白さ、罠にハメる面白さ、強化していく面白さ、緊張からの緩和、そして結末が気になるストーリー。最終的にめっちゃ楽しいゲームになった。
シングルプレイのみのプレイ。トロフィー的に、もう1つ大きなミッションをクリアすればエンディングだと思います。クリア直前のわりと自由に遊べるところが楽しくてクリアしたくない。北米版が$39.99、日本版が5,378円で少し安いわりにボリュームは十分。MGSV:TPPからの使い回しが多いということで少し安くしたのでしょうけど、7,800円だったとしても不満は感じない内容。「Co-op」「タワーディフェンス」のイメージが強くて、シングルプレイはオマケみたいな存在かとも思っていましたが、がっつり中身のあるもので良かった。
私も最初の5時間はやめたくなるほどで「合わないゲーム」と感じましたし、人を選ぶゲームではあると思います。ましてや『メタルギア』というタイトルですので、サバイバル系のシミュレーションゲームみたいな管理に馴染みにくい人も多いかと思う。ゲームシステム自体の壁や『メタルギア』というイメージの壁、または一連の騒動に対する思いの壁など障害は多いのですが、素直に面白いゲームだという結論になった。
【追記】クリア後
ストーリー良かった。ありがちなネタだけど、ちゃんと伏線も張られていて驚けるし泣ける。最初は色眼鏡で見てしまったところもあり、冒頭のムービー部分は平凡に感じていましたが、また見直したくなる。「『メタルギア』ではない、海外ドラマの『LOST』的なものという印象。」と書きましたが、本当に影響受けていそう。
エンドコンテンツも楽しいので、まだまだ続けそう。
投稿時に『メタルギア サヴァイヴ』と表記していましたが、公式には『メタルギア サヴァイブ』とのことでしたので訂正しました。
「メタルギア サヴァイブ」が正式な表記です。(J)
— メタルギア公式 (METAL GEAR) (@metalgear_jp) 2018年2月23日
METAL GEAR SURVIVE 【Amazon限定特典】DLC「ゴールドハンマーパック」 配信 – PS4
- 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
- 発売日: 2018/02/21
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログを見る
コメント
>>ガマ先生さん
とても嬉しいです、ありがとうございます。私も他のブログが面白かったらコメントで伝えようと思いました。
>>あ さん
続編は本当に気になるところです。
まだ新展開1作目ですので、今回のユーザーの声を受けて洗練された2作目を見てみたい気持ちがあります。今後のアップデートでも良くなっていくと思いますが。
>>ピノコさん
拠点襲撃は……大丈夫です。後々生かされます。私も防衛重視する意味ないなーと思っていました。
空腹関連はアップデートで変更されるかどうか読めないですね。そこが良いという声もあれば、変えてほしいという声もある。
ベースキャンプ内では変動しない、くらいの変更で様子を見てきそうな気もします。
モンハンに一区切りつけて、遅れてプレイ
βをかなりやり込んだので ストイックな行動をすれば序盤は躓かないと思ったんですが
空腹と渇きシステムがかなりハードで、接近際のリスクが段違いでした
(探索準備中、トイレに行ったら腹すかせた主人公がいたのは笑った)
拠点襲撃はまだ一度だけですが、このシステムが生かされてないのは残念ですね
記事参考に購入しましたが、同じく面白くてハマっています。チープなモーションとか敵のデザインとかもっと良くできるでしょとか思ってしまうのですが…それを抜きにしても面白いですね。続編で大化けする可能性もありそうな気がしました。
ずっと拝見させて貰ってますけど このブログが面白くしょーがないです。
これからも頑張って下さい。
>>よかったさん
会話は本家MGSに強烈な味がある部分ですので、差は感じやすいですね。
冒頭は偽物感があってストーリーを軽視して見ていた部分があるのですが、中盤から終盤に入ると先が気になりました。
オリジナリティは薄く、ありがちなネタながらも上手くまとめており、良い余韻のあるストーリーでした。
ゲームシステムもストーリーも良い意味で裏切られた感じです。パッとしないんだろうなという思いもあってプレイを始め、実際に冒頭はパッとしない部分が見えた。でも徐々に楽しくなって、凡作→佳作→傑作という感じで階段を上っていった。
MGSV:TPPの下地があってこそですけど、新しい方向性で歯応えのあるゲームバランスなど良い仕事をしています。
あいかわらず中立的でいいレビューですね。感想についてはかね同感です。序盤を苦しんだ末に突破できるか、というのが一つのターニングポイントになるでしょうね。
最初はサバイバルとして厳しかったので、なんでワームホール転送が出来るのに所持重量制限があるんだよとか複雑な機械がクラフト出来るのに弓ひとつ作れないんだよとか、槍と弓どっちも持ってけるようにすればいいとか色々考えてましたが、中盤を過ぎてこの制限や遅いアンロックは仕方がなかったと思いました。もしレベルやマップでの取得物で重要な施設や道具がアンロックされていくFO4とかARK式だと、あっという間に便利な道具や施設が揃ってしまって一気にサバイバル感が失せてしまう。それと、マップ自体がOWとしては狭いので視界不良と活動時間という制限をつけて探索の進行を遅らせたかったのでしょう。加えて、イベントをクリアしないとほぼ重要な施設はアンロックされない。それが作用しているから一気に踏破できない仕組みになっているわけですね。
本家と比べてしまう部分は、会話部分ですね。なるべく分かりやすく作ったつもりなんでしょうけどキャラクターのしゃべる話というか、語彙や表現が平坦で面白味がなかった。特に序盤のシーンはどこかで見たことがあるような演出とシナリオ展開なので、非常に退屈でした。別にメタルギアじゃなければどうでもいいと思える部分ですが、これは残念だった。
しかし、フェンス越しに槍で突くというのはいいアイデアですね。自分もゾンビに襲われたときはやってみようと思います。