2018年8月2日にリリースされた『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』をプレイしました。
ラスボスに負けたので、少し前のセーブデータからいろいろ巡って遊んでいる状態。
ゲームの進行
ワールドマップは20の州に分かれており、州をまたぐ移動はエリアチェンジとなる。
1つの州(エリア)には10ヵ所ぐらいの施設・地形があります。自由に移動して、施設・地形に入る。移動中のエンカウントはありません。
施設・地形に入るとイベントが発生したり、街では鍛冶屋/派遣/特産品らの行動ができたり、1~3回のバトルが発生したりする。フィールドのような自由移動はありません。
イベントシーンはキャラクターの絵とテキストというシンプルな演出。重要なイベントはボイスがありますが、ボイス無しイベントのほうが多いです。1つのイベントのテキストは少なめで、会話はサッと終わる感じ。昔のRPGらしいとも思える。ほとんど脈絡もないような展開から選択肢1つで仲間が増えたりするのはSaGaらしい。
基本的には施設・地形に入ってイベント・バトルを繰り返し、次の州に移動するという具合。ダンジョンが無いので探索要素も少ないですし、イベントも複雑な仕掛けは無く、ゲーム進行のシステムと演出は簡素です。ボードゲームっぽさも感じる。簡素な分、施設・地形は多く、様々なイベントが楽しめるし、フリーシナリオが売りでもあるSaGaらしくて攻略の自由度も高い。
複雑な仕掛けはなくても、選択次第で結果が変わるイベントもあり、そのヒントがどこかで語られていたりする。情報を得て、行動して、結果が出る手応え。
JRPGと聞いて思い浮かべるゲームとシステムが全然違うのはもちろんのこと、SaGaシリーズの中でも独特なシステムですので、従来の物を求めると全然違う物が出てきてコレジャナイとなりがちかと思う。このゲーム独特の味を楽しむという向き合い方が良いです。
戦闘
戦略性が高く、難易度も高い戦闘は大きな魅力。デッキを組むところから悩み、バトルでも1手のミスが勝敗を分けるようなカードゲームやパズルの要素も感じます。覚える事も多いので、最初は「わからん」「難しい」と感じますが、理解してきて狙いがハマるようになってくると非常に楽しい。知的ゲームの楽しさ。
戦闘で「最後の敵を連撃で倒す」「敵にインタラプト技を出させない」といったオマケの課題があり、これを達成すると特別報酬が貰える。最初は戦闘で勝利するだけでも難しいのに、こんな課題まで狙いようがないと思っていましたが、戦闘に慣れてくると課題の達成も狙えるようになってきて上達を感じる。慣れても戦闘を単調にさせない良い味付けだなと思いました。
戦闘が難しいから強化も重要であり、良い武器が作れた時の喜びは大きい。良い武器を作るための素材集めは、各地の施設・地形でバトルイベントをこなす。このサイクルが上手く噛み合っていて、噛めば噛むほど味が出るスルメゲーになっている。とっつきの悪さはあるので、最初の1噛み2噛みは「味がしない」「噛めない」と覚悟していれば精神的に楽かと思う。この味がしないと思っていたものの味がわかっていく感覚も不思議であり面白い。
戦闘が難しすぎると感じれば難易度を下げるオプションもあります。「弱め」にすると敵のHP、攻撃力、防御力が低くなり、敵の思考パターンが変わるという傾向も若干あるとのこと。
ロード快適
VITA版ではロードの長さが問題視されていましたが、これは改善しています。まったく問題なく、かなり快適。「□戦闘準備を飛ばしてバトルへ」を選択してからNow Loadingの表示時間は1.26秒、キー入力が可能になるまで約6秒でした。
戦闘準備を挟むと、そこからのNow Loadingは一瞬。通常は戦闘準備を挟みますので、Now Loadingの存在はほとんど感じない。この速さならNow Loadingと表示せずに暗転だけの方が良いんじゃないかとも思った。
移動スピードも速く、快適に移動できます。VITA版より速くなっているとのこと。
UIは洗練されていない
UIは据置機向けに改良されているとの事でしたが、スマホと携帯ゲーム機とのマルチであるがゆえの不便さが残っており、やや残念なものでした。
基本は△でメニューを開いてから方向キーでカーソルを動かして〇決定。操作の快適さとしては洗練されていない。例えばワールドマップとオプションの項目を開くのにどちらも△と方向キーと〇を合わせて6回押す必要がある。タッチパッドとOPTIONSが未使用になっているのだから、ワールドマップはタッチパッド1回で出せれば良かったし、オプションもOPTIONS1回で出せれば良かった。他のゲームで当たり前にある操作の便利さがない。
戦闘準備画面の左上の陣形名やキャラクター名が画面上半分しか使っていないので5つしか表示できず見にくい。
技・術を見ながら編成をいじりたいと思ったりするなど、細かい不便さを感じる。
VITA版は未プレイ
VITA版をプレイしていないので、アップグレード版としての魅力は伝わりにくい。VITA版をプレイしていたら「いろいろ良くなってる!すげー!」と歓喜できても、PS4版が初見プレイだと、普通とか普通未満とか思える部分がある。VITA版をプレイしているかしていないかで、本作の印象は全然違うでしょうね。
グラフィックが高解像度になったと言ってもPS4の中では見劣りしますし、UIが据置機向けに改良されたと言ってもPS4の中では満足できるレベルにはなっていない。ボイスも限定的なものですので普通ですし、ボイス無しを体験してから追加される喜びを感じる事もない。
ロードの速さと移動の速さは他との比較なしに良い部分。
イベントの追加やバランス調整も実感はできないですが、おそらく良くなっているだろうと思える嬉しさはある。
安っぽそうだったけど職人技が光る
最初の印象は、スマホアプリや低予算のインディーズゲームのようでした。簡素な作りでグラフィックも平凡です。ゲームとしてもとっつきが悪かったので面白さが感じにくくて、これで6,264円はSaGaのブランド料が乗っかりすぎなんじゃないかとも思うほど。しかし、プレイを続けてゲームに慣れてくると、職人が作ったゲームという部分が随所に感じられ、凄味がわかってきた。
実際に予算は少なかったと思います。ゴージャスさが無いのは間違いない。でも取捨選択のポイントを押さえており、フリーシナリオの魅力、戦闘の魅力、デッキ構築のような編成と強化の魅力、面白さのツボを押さえていて、それらが上手く回転する仕組みになっているし、バランス調整も良い。職人技だなと。
SaGaシリーズへの愛着と信頼があれば最初から楽しみやすいと思いますが、そうでないと馴染まで時間がかかると思います。現代のゲームは親切設計なゲームが多いですが、このゲームはわかりにくさとか不親切に思える部分もありますので、馴染むまでの壁は高め。私も『No Man’s Sky』の再ブレイクの波に乗っていたところでしたので、最初の1時間くらいは「No Man’s Skyに戻りたいなぁ」と思っていましたし、プレイしていて気分が乗らなかった。でも1つ1つ理解して、その手応えを感じる度に面白さが感じられ、そしてゲーム全体のサイクルが心地良く噛み合う。まさに噛めば噛むほどに味が出るゲームでした。